不調改善

注意したい「夏太り」、3つの原因と対策 改善に役立つ食べ物は豚肉、うなぎ、乳製品

ズボンのボタンをとめようとしている人
実は太りやすい夏
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暑くてよく汗をかく夏は自然とやせられそうなイメージがあるが、代謝が低下しやすい季節であるため体重増に注意が必要だという。そう教えてくれた薬剤師の山形ゆかりさんに、夏に太りやすい理由や夏太りの効果的な対策などについて聞いた。

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夏に太りやすくなる理由3つと対策方法

体質や運動量の変化などによって、夏場に体重が増えてしまうことを夏太りといいます。夏太りには主に3つの理由があります。自分が当てはまるものを自覚し、対策をすることが、夏太り解消への近道といえます。

基礎代謝の低下

私たちの体は、体内の糖分や脂質などを燃焼させてエネルギーを生み出すことで体温を調整しています。これが基礎代謝と呼ばれるもので、体温を上げる際にはカロリーが消費されます。

しかし、夏は気温が高いため、ほかの季節に比べると自ら熱を生み出して体温を上げる必要性があまりなく、基礎代謝は下がる傾向にあります。暑さで汗をかくことが増えるため、カロリーが消費されて痩せやすいと感じるかもしれませんが、これは体の熱を下げるための発汗のため、カロリーはほとんど消費されません。

さらに、暑さをしのぐためにアイスクリームやそうめんなどの冷たい食品ばかりを摂っていると、内臓が冷えて働きが悪くなって消化不良が起こり、体に必要な栄養素の吸収や代謝する機能も低下するため、基礎代謝が下がりやすくなります。

アイスクリーム
内臓が冷える冷たい食べ物には要注意
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基礎代謝が下がるとカロリーの消費量が減るため、今までと同じような食事でも、脂肪として蓄えられやすくなります。さらに、基礎代謝が落ちているときに「夏バテしないようにスタミナをつけよう!」と考えて高カロリーのものを食べると、さらに肥満につながってしまうでしょう。

夏太りを防ぐためには、カロリーの摂りすぎに注意しながら、基礎代謝を高める食事をすることが大切です。そのためには、高カロリーな食事や冷たい食品を控え、体を温める食材やたんぱく質を積極的に摂取すると、基礎代謝のアップが期待できます。

自律神経の乱れ

夏は、冷房で冷えた室内と暑い屋外との寒暖差で自律神経が乱れやすくなります。

体温を調整する機能を担っている自律神経は、急激な温度変化に対応しようと負担がかかると、バランスが崩れやすくなります。自律神経と基礎代謝は密接に関わっており、自律神経のバランスが崩れると、体温調整や内臓機能の低下などが起こり、基礎代謝の低下につながります。

さらに、交感神経が優位になると心身が高ぶった状態になってリラックスできず、寝つきが悪くなることもあります。もともと、夏は寝苦しくて睡眠の質が悪化しがちな季節ですが、睡眠を十分にとれないことも自律神経の乱れにつながります。

そのため、自律神経を整えることも夏太り対策の1つといえます。

入眠時には快適な睡眠環境である室温26℃、湿度50〜60%(環境省「 ヒートアイランド対策の計画的実施に関する調査報告」https://www.env.go.jp/air/report/h21-06/01.pdf)をキープできるように冷房やサーキュレーターを使用し、寝苦しさを解消しましょう。

浴槽
入浴でリラックスするのも有効
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入浴にも体をリラックスさせて副交感神経を優位にする効果があるため、就寝の2〜3時間前に37〜39度くらいのお湯につかるのがおすすめです。また、ストレッチにも自律神経のバランスを整える効果があります。リラックスできるように、ゆっくりと呼吸することを意識しながら、体側を伸ばしたり首や肩周りをほぐしたりするストレッチをおこない、体の緊張をほぐしましょう。

運動量の低下

夏は厳しい暑さを避けるために、家にこもりがちになったり、外出時に車の利用が増えたりする場合もあります。すると、体を動かす機会が減るため、消費カロリーも減少してします。

炎天下を避けて、早朝や夕方にジョギングをする、徒歩や自転車で移動するなど、なるべく体を動かす機会を増やしましょう。建物の中を移動するときに、エレベーターやエスカレーターではなくできるだけ階段を利用することも効果的です。

屋内であれば、家でのストレッチやラジオ体操なども、習慣化しやすい運動です。なお、活発に運動をしたいという人には、プールでの水泳がおすすめです。水泳は消費カロリーが多いので、ひんやりとした水の冷たさを楽しみながら、効果的に脂肪を燃焼させることができます。

夏太り改善に役立つ食材

夏太りを解消するには、糖質や脂質、たんぱく質の消化吸収や代謝を促し、エネルギーを作る働きに関わるビタミンB群の豊富な食材を取り入れましょう。ビタミンB群は、豚肉やうなぎ、乳製品、赤身の魚などに豊富に含まれています。

野菜がのったそうめん
冷たい麺類を食べるときはトマトやオクラなどの夏野菜も一緒に
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また、そうめんや冷やし中華などの冷たいものを食べる場合は、代謝アップや脂肪燃焼を助けるビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含む、トマトやオクラなどの夏野菜も一緒に食べるのがおすすめです。

さらに、体を温める食材には、血行を促進して代謝を高める作用があります。納豆やみそなどの発酵食品、ねぎやしょうがなどの薬味を日ごろの食事にプラスするのも効果的です。

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