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《老後ひとり暮らしの壁》おひとりさまは死亡リスクが高くなる?孤独・孤立を避ける人間関係の作り方

カップを手に持つ3人の女性
おひとりさまの老後を楽しく過ごすために(写真/photoAC)
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遺品整理・生前整理などの事業を展開する山村秀炯さんは、多様なおひとりさまシニアのサポートを行ってきた経験から『老後ひとり暮らしの壁』(アスコム)を上梓。本書では、おひとりさまのメリットに触れながらも、立ちはだかる壁を回避する方法について詳しく紹介している。そんな山村さんに、おひとりさまが陥りがちな「孤立」について詳しく教えてもらった。

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おひとりさまの老後をよりよいものにするために

配偶者や同居家族がいないおひとりさまは、意識的に人との関わりをつくるようにしなければ、人間関係が希薄になりやすい。

「NHK健康チャンネルによれば、死亡リスクを増加させる要因として、肥満、過度の飲酒、喫煙などと並べて『孤立(社会とのつながりが少ない)』を挙げています。なんと、この4つの中で、『孤立』が最も死亡リスクを上げてしまうというのです」(山村さん)

同番組では、「社会的なつながりが少なくて、孤独感を感じていて、一人暮らし」である場合、そうでない人と比較して、死亡リスクが1.9倍になるというデータを発表している。

項垂れる女性
孤独感と死亡率には関係がある(写真/photoAC)
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孤独・孤立感が及ぼす健康への影響

「孤独により、全身の炎症が強まる」と報告された研究もあり、精神的な問題だと思われがちな孤独や孤立が体の不調につながることがあるという。

山村さんは、「孤独感というのは純粋に身体に影響する」と考える、精神科医の江越正敏先生の言葉を紹介する。

「風邪による炎症は一時的ですが、孤独による炎症はずっと続いてしまいます。孤独が続くと体がずっと風邪を引いているような状態になってしまうので、うつや認知症、心臓病などさまざまな病気を引き起こしてしまうんですね」

さらに、孤独研究の第一人者であるカシオッポ博士は「孤独感は睡眠不足や血圧上昇を招き、ストレスホルモンであるコルチゾールの上昇や、免疫細胞の遺伝子レベルでの変化などを引き起こす」としている、と同書では紹介している。

肩を触る女性
孤独感は体調にも影響する(写真/photoAC)
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「孤独」と「孤立」の違い

孤独の解決策として手っ取り早いのは結婚という選択肢だが、人にはそれぞれの事情があり、結婚しようと思ったからといって簡単にできるものではない。

それを踏まえて、「孤独」と「孤立」という言葉の使い分けに注目したい、と山村さんはいう。

「『孤独』というのは『寂しい』という心理状態です。一方、『孤立』と言うのは他者との接触やコミュニケーションが少ないという物理状態です。この『孤独』や『孤立』を解消できるのであれば、結婚だけにこだわる必要はありません」(山村さん・以下同)

コミュニティーへの所属とアイデンティティーの変化

「おひとりさまが心の壁を越えるために必要なのは、自分はここにいてもいい、と所属欲求を満たすことができる場所です」と、山村さん。

そのためには、職場など今所属していてもいずれ外されてしまうコミュニティー以外に、老後の安定した所属先になるような別のコミュニティーに所属することを検討するのがよいだろう。将来のことを見据えて、「徐々にアイデンティティーを変化させていくことが必要」だと、山村さんは続ける。

では、そのような所属先を探すにはどうしたらいいのだろうか。山村さんはその条件が「居心地がいいこと」、たったひとつだと語る。

「家族でも仕事でもないのに、イヤイヤ人間関係を築くことほどストレスになることはありません」

乾杯している
居心地のいいコミュニティーを見つけるのが◎(写真/photoAC)
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身近な友人や知人との関係を見直す

新しいコミュニティーに参加することも有効だが、知り合いのいない場所にひとりでいることに疎外感を感じてしまう場合もある。そこで山村さんがすすめるのが、身近な友人や知人との関係を見直してみることだ。

「特に年代の近い友人や知人は貴重な存在です。結局、なんでも話せて信頼できる人は、同年代の友人や、付き合いの長い知人だったりするものです」

社会奉仕活動に参加する

もう1つ、山村さんがおすすめだと言うのが、「ボランティアなどの社会奉仕活動に参加すること」だ。

「社会奉仕活動は、常に人手を欲しがっていますから誰でも歓迎されますし、自他ともに社会の役に立っているという感覚が得られやすいので、承認も受け取りやすくなります。困っている人を助けて自分も幸せになれるのであれば一石二鳥です」

オンラインを活用する

対面での人付き合いが苦手な場合、オンラインで人とつながるという手もある。シニアになってから、XやYouTube、インスタグラムなどをはじめて活躍している人もいるため、今から始めたとしても遅くはないだろう。

スマートフォンを見る女性
オンライン上で人間関係を作るという方法も(写真/photoAC)
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「ネット上のつながりであろうと、誰かが見ていてくれたり、ときにはメッセージをくれたりすることで、意外とたしかな居場所になります。それに、新しいことへの挑戦は刺激に満ちていて、認知症の予防や生きる活力になったりもするでしょう」

加えて、山村さんは「ネットだからといって、大勢とつながっていないと価値がないわけではありません。たったひとりでも気の合う人が見つかれば十分、というくらいの気持ちで始めるほうが気楽でいいかもしれません」とアドバイスする。

また、気が合いそうと思った人に気軽に近づけるのが、オンラインのメリットだ。そこで、特定の相手にこだわらず、合わないと思ったならば適度な距離をとるようにするのが、無理のない人付き合いのコツといえる。

◆教えてくれたのは:山村秀炯さん

ネイビーのスーツ姿の男性
山村秀炯さん
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やまむら・しゅうけい。株式会社GoodService代表。愛知県を中心に遺品整理、生前整理などの事業を行う中で、ひとり暮らしシニアのさまざまな問題に直面。親族や友人に頼れない、頼りたくない「おひとりさま」という生き方を尊重し、なおかつ不安やトラブルなく生きていくためのサポート事業を新たに立ち上げる。メディアへの出演・取材協力も多数。著書に『老後ひとり暮らしの壁』(アスコム)。https://shukei-yamamura.com/

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