不調改善

“細胞レベル”ですすむ猛暑バテを改善するには食事から!漢方カウンセラーが教えるおすすめ食材と解消レシピ

薬剤師で国際中医美容師の大久保愛さん
薬剤師で国際中医美容師の大久保愛さん
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パリオリンピックの熱い戦いは終わったものの、連日の殺人的な暑さとの闘いは現在も進行中。もはや冷房と照り付ける日差しで心身のダメージも限界に……。9月末まで続くという猛暑を乗り切り、夏バテや体調不良を改善して健やかに過ごすための秘策はないものか。日本初の国際中医美容師で薬剤師の漢方カウンセラー・大久保愛さんに食事による改善や予防法を聞きました。

自律神経の乱れから夏バテに

以前の日本は8月の旧盆明けには暑さのピークが過ぎ、徐々に秋に向かっていったものだが、気象庁からは「9、10月になっても残暑が厳しい可能性があり、この先もしばらく暑さ対策が欠かせない」と発表が。秋はまだ、遠いようだ。

「猛暑への対処に精一杯で、夏バテから回復しきれない状況が続くのが問題」と言うのは、薬剤師で国際中医美容師の大久保愛さん。

「漢方では、季節の移り変わりに対応するように体も移り変わり、そのさまざまな変化に適応するための調節機能が、体内に備わっていると考えられています。

夏はエアコンと外気の温度差や低気圧、強い紫外線、暑苦しさによる寝不足、冷たい飲食物で胃腸の機能が低下、高湿度による体温調節の不調、暑さによる偏食(栄養不足)、発汗に追いつかない水分補給など、心身に負担がかかることばかり。このすべてに対応しようと体は休む間もなく働いた結果、調整役である自律神経が乱れて、夏バテになるのです」(大久保さん・以下同)

夏の気候が自律神経に影響
夏の気候が自律神経に影響(写真/photoAC)
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夏の疲労感は紫外線で発生する活性酸素の影響

そもそも夏には、不眠や思考力の低下、夏バテになる危険があるため、猛暑であればあるほど、その症状は重症化しやすいという。

「外出した際に、太陽の下にいるだけでかなりの疲労感を覚えるのは、紫外線より発生する活性酸素の影響です。活性酸素は体を動かすエネルギーを作る『ミトコンドリア』にダメージを与え、夏バテ状態を引き起こします」

このミトコンドリアは全身の細胞の1つ1つに存在する。なかでも常に活発に動いている脳、血管、胃腸、膀胱、気管、目などに多く存在するため、活性酸素が大量に発生すると、これらが反応し、全身で疲れを感じ、思考力の低下や目の疲れ、頭痛などが起こるという。

「このような状態では、紫外線対策や生活リズムを整えるのは難しく、どんどん“バテ”状態が蓄積され、進行してしまいます。細胞レベルでのバテは、そのうち改善するはずと甘く見てはダメ。いまから少しずつでも解消しておかないと、自律神経が乱れに乱れ、夏の疲れが慢性化して秋の深刻な体調不良に陥りかねません」

紫外線によって発生する活性酸素が夏バテを引き起こす
紫外線によって発生する活性酸素が夏バテを引き起こす(写真/kotoru/PIXTA)
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気候と体調の変化に対応する食材とレシピを紹介

そこで、季節と体はどう変化するのか、そのポイントを紹介。強烈な太陽による紫外線の影響で、細胞レベルでバテバテの体を立て直すには、食事が肝心! 9月から1週間ごとの気候と体調の変化を解説し、その時期におすすめの食材とレシピを紹介します。あなたの元気に何が必要か、チェックしておこう。

「これに基づいた食生活を行えば、体調不良を改善するほか、これから起こるかもしれない不調にも負けない体が作れます。できることから1つでもいいので取り入れて、心も体も“調子がいい”生活を楽しんでください」

胃腸を整え、腸内細菌を育てる9月第1週

9月に入ってもまだまだ暑いこの時期は、麺類だけなど炭水化物に偏った食事や、清涼飲料水やビールといった冷たいものの摂りすぎが原因で弱った胃腸を整えるのが基本。

「腸内細菌には、腸を動かして老廃物の排出を促す短鎖脂肪酸を増やす働きがあります。短鎖脂肪酸は肝臓、腎臓、筋肉のエネルギー源になったり、免疫力の強化に関与しています。気合を入れて自分が動くより、腸内細菌を育てて働いてもらい、体の重だるさから脱しましょう」

《おすすめ食材》かぶ

酵素入り野菜で消化を助ける
夏に疲れてしまった胃腸を休ませるには、消化を助ける酵素が豊富なものを食べるといい。

「かぶにはジアスターゼというでんぷんを分解する消化酵素がありますが、皮に多く成分が含まれているので、なるべく皮をむかずにそのまま食べると効果的。また、抗酸化作用のあるβ-カロテンは根よりも葉に多いので、スープにして一緒に摂りましょう」

《解消レシピ》かぶと塩麹のスープ

「かぶと塩麹のスープ」のイメージ(イラスト/うえだのぶ)
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【1】手羽先4本に塩麹大さじ1をもみ込んで下味をつける。
【2】かぶ2個の根と葉、キャベツ3枚を食べやすい大きさに切る。
【3】フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、しょうが1片分のせん切りと【1】を軽く炒めて、【2】とひたひたの水を入れて煮込む。火が通ったら塩麹で調味する。

《おすすめ食材》納豆

腸を温め、腸内細菌のエサを摂る

冷えを感じていなくても、お腹を触ってみて冷たければ、腸冷えを起こしている可能性大。腸を含めた内臓は冷えると機能が低下し、胃の不調、便秘、下痢、感染症、アレルギー、疲労感などを感じさせる。

「まだまだ暑いですが、発酵食品やネバネバ食材を摂り、少し早めに温活をスタートすると、季節の変わり目の体調不良を回避できます」

《解消レシピ》納豆もずく酢スープ

「納豆もずく酢スープ」のイメージ(イラスト/うえだのぶ)
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【1】市販のもずく酢1パックを汁ごと鍋に入れ、塩昆布ひとつまみ、水カップ1と1/2を加えて火にかけ、沸騰直前に火を止める。
【2】器に盛り、混ぜておいた納豆1パック分を入れる。もずくのネバネバ成分には、胃腸の働きを助け、免疫機能の強化が期待できる。

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