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《秋が旬》「いも類」をおいしく食べる保存法 調理の手間が省ける冷凍保存のコツも紹介

じゃがいもとさつまいも
秋の味覚・いも類をよりおいしく食べるための保存方法まとめ(写真/photoAC)
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食欲の秋といわれるだけあって、秋はさまざまな食べ物が旬を迎える。中でも、ほくほくとした、いも類を好む人も多いだろう。「じゃがいも、さつまいも、里いも、長いもなど、旬の味覚は正しく保存することによって、おいしさをキープすることができます」と話すのは、野菜ソムリエプロの福島玲子さん。4つの野菜の保存のポイントを教えてもらった。

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基本は常温!じゃがいもとさつまいもの保存法

じゃがいもとさつまいもは、基本的に常温保存が適した野菜です。どちらも長く保存できますが、極端に暑い日が続いたり、芽が出てくるのが気になったりなど、常温保存が心配な場合は、冷蔵ではなく冷凍で保存しましょう。常温と冷凍保存の際のポイントをお話しします。

じゃがいもの保存は光・温度・傷を避ける

じゃがいもを常温保存するときは、光・温度・傷の3つを避ければ、2〜3か月保存することが可能です。日光だけでなく蛍光灯も含めて、光が当たると皮が緑色に変化して有害物質が生成されるので気をつけてください。

変色したじゃがいも
光・温度・傷の3つを避けて変色に気をつけて保存(写真/photoAC)
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また、暑さにも寒さにも弱いので、基本的には新聞紙や紙袋に包んで光を避けたうえで、風通しのよい冷暗所、気温の高い時期は冷蔵庫の野菜室に置くのがベストです。傷がついた場合も、光が当たったときと同様に有害物質が増えるので早めに食べましょう。

じゃがいもは加熱してから冷凍します。ただし、そのままの状態やカットした状態で冷凍保存すると解凍した際に食感が落ちるので、おいしくいただくにはマッシュする必要があります。フリーザーバッグへ入れ、平らにしてから冷凍庫へ。保存期間は1か月ほど。

解凍方法は自然解凍やレンジ加熱です。マッシュしてあるので、じゃがいもを潰す手間を省いてポテトサラダやコロッケを作ることができます。

さつまいもも加熱してから冷凍

さつまいもは、じゃがいもと同様に新聞紙や紙袋で包んでから風通しのよい冷暗所に置きましょう。1か月ほど保存できます。カットした場合は、切り口から腐りはじめるので、断面にぴったりとラップをしてポリ袋などに入れて野菜室に置き、早めに食べきってください。

生のまま冷凍すると解凍したときに水分が抜けて、ホクホク食感が失われます。必ず、焼く、茹でる、ペーストにするなど、加熱調理してから冷凍しましょう。1か月ほどもちます。

冷凍焼き芋
加熱したさつまいもは冷凍保存可能(写真/photoAC)
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食べる際には自然解凍や電子レンジで解凍しましょう。ちなみに、冷凍した蒸しいもや焼きいもを半解凍状態で食べると、アイスのように楽しむことができます。

デリケートな里いもと長いもの正しい保存の仕方

里いもと長いもは、いも類の中でも繊細なので、正しく保存することがおいしさを保つ秘訣です。

泥付き里いもは洗わずに保存が◎

里いもの保存は10℃前後が適温です。秋冬は、新聞紙で包んでから冷暗所に置けば1か月ほど、泥付きのものは洗わずに保存すれば2か月程度保存できます。適度に吸湿性と通気性がある新聞紙は、乾燥を防ぎ、湿度を適切に保つことができます。

暑い時期は泥付きのものは泥を落とし、新聞紙で包んでからさらにポリ袋へ入れて、野菜室に置きましょう。

冷凍でも1か月ほど保存することができます。皮をむいてから水洗いをして、使いやすい大きさにカットしてから水気を拭き取り、保存袋に入れて冷凍すればOK。ただし、解凍するときに水分が失われて食感が悪くなるので、煮物や汁物など加熱調理で使ってください。

ゆでた里芋
里芋を冷凍保存する場合はゆでてから(写真/photoAC)
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また、茹でてから冷凍することもできます。里いもの皮をむき、水から茹でてやわらかくなってきたところで皿に上げ、粗熱がとれたらフリーザーバッグに入れて冷凍室で保存。そのまま煮物にしたり、マッシュにしてサラダにしたりして食べるとよいでしょう。

変色を防ぐ長いもの正しい保存法

長いもを丸ごと保存するときは、新聞紙で包んでから冷暗所に置きます。生食なら5日以内、加熱調理なら10日程度で食べきるのがよいでしょう。

カットした長いもの保存は、切り口を密封することが大切です。切り口が乾燥するにつれて変色するため、切り口をラップでぴったりと包んでから輪ゴムでとめ、さらにポリ袋に入れてから野菜室に置きます。また、酢水にさらして酸化を抑えることでも、変色を防ぐことができます。

冷蔵の場合、保存期間は1週間から10日程度です。ちなみに、変色しても、その部分をカットすれば食べることができます。

長いもも冷凍保存が可能です。皮をむいてから使いやすい大きさにカットし、水気を拭き取ってフリーザーバッグへ入れます。空気を抜いて冷凍すれば、1か月程度保存できます。

とろろ
長いもは冷凍してからすりおろしても、すりおろしてから冷凍してもOK(写真/photoAC)
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冷凍した長いもを使うときは、サラダや和え物なら自然解凍、加熱するときはそのまま鍋に入れましょう。とろろにするときは凍ったまますりおろしてOKです。

すりおろしたものを、フリーザーバッグに入れて冷凍することもできます。その場合は、厚みを均等に平たくして凍らせると、使いたい分だけ割って取り出すことができるので使い勝手がいいですよ。カットしたものと同様に、自然解凍もしくは凍ったまま加熱調理が可能です。

◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

野菜ソムリエの福島玲子さん
野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
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ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/

構成/イワイユウ

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