女子レスリングの吉田沙保里や、新日本プロレスの棚橋弘至など、トップアスリートをけがから復活させたと話題の忍者秘伝の指圧術があるのをご存じですか。
人呼んで“忍者マッサージ”。それは700年以上前から甲賀に伝わる秘術。日本酒を用いて行うその手技は、15秒で不調を改善するといいます。自宅でできるそのツボを、しかと伝授いたしまする。
患部に日本酒をつけ、ツボ周辺をコリコリ
過酷なトレーニングに試合と、体を酷使し続けるアスリート。けがをしたり、かなりのダメージを受けている彼らが、どんなメンテナンスを行っているかなど、考えてみたこともなかったが、彼らには“駆け込み寺”があったのだ。
それが、『忍者マッサージ』(扶桑社刊)の著者で芳原指圧治療院院長の芳原雅司さん。彼の施術は、最後の忍者と呼ばれる甲賀流忍術14世の藤田西湖から伝わる秘伝だ。ほんの少しだけ歴史を紹介すると、藤田は大日本帝国陸軍でスパイなどの養成を行っていた人物で、その際、日本酒を使ったマッサージも伝授したといわれる。その教え子である小山田秀雄は上海で死刑が確定したが、拷問の傷を治し、脱獄して帰国。戦後も技は受け継がれて、アントニオ猪木(74才)をはじめ、アスリートたちに長年重宝されてきたのだとか。
「忍者はその技でけがを治して敵と戦ったり、関節を調整して柵をくぐり抜けたりしたそうです」(芳原さん、以下「」は同)
指圧する指または患部に日本酒をつけ、ツボ周辺のコリコリする塊を指圧するというのが忍者マッサージの基本。患部ごとに垢が出るまで15秒ほどさすると、塊とともに痛みもスーッと消え去る。この早業には、マッサージ効果に加え、日本酒の効能が大きい。腰痛も体のゆがみも、血行不良が1つの要因だが、日本酒のアルコールと米ぬかは、余分な熱をとる消炎作用があり、患部の痛みを鎮める。
また、収縮した血管を拡張し、血行を促進することで患部に酸素などの栄養が行きわたり、筋肉のこりをほぐし、けがの回復に役立つのだ。
日本酒のさまざまな効能に期待
「鎮痛剤が効かないと悩んでいた患者さんが、痛みが緩和されたと喜んでいます。それは、日本酒が血行を促進することで、薬の成分が患部に行き届くからでしょう」
日本酒にはコラーゲンの生成を活性化するアミノ酸や、美白・保湿成分も豊富なので、美肌効果も期待できるのだという。
使う日本酒は、不純物が少ない純米酒が最適。料理酒でも問題ないが、敏感肌で染みる場合は、水で薄めて使うこと。指圧中に日本酒が乾いたら、肌への摩擦を避けるためにも、随時、つけ直して。
忍者マッサージの基本
指圧する指または患部に日本酒をつけ、ツボ周辺のコリコリする塊を指圧。患部ごとに垢が出るまで15秒ほどさすると、塊とともに痛みもスーッと消え去る。