健康・医療

内臓脂肪を減らすのにつらい運動は不要!医師がすすめる“軽い運動”「ニート」と食べ物

階段を登る女性
医師がすすめる軽い運動を紹介(写真/Photo AC)
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脂質や糖質のとり過ぎで内臓脂肪が体につくと、さまざまな病気の原因となる。そんな内臓脂肪を落とすには運動が効果的だと『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)を上梓した医師の五藤良将さん。一方で五藤さんは、つらい運動をする必要はないと話す。そこで、内臓脂肪を落とすために必要な運動と食事について話を聞いた。

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血管にダメージを与え病気のリスクを高める内臓脂肪

コレステロールや中性脂肪などの脂質異常症、肥満が原因の病気による死者は年間34万人ほどいるとされる。死因に多い心臓や脳の病気は、動脈硬化など血液や血管が関係しており、内臓脂肪がたまることによってそのリスクも高くなる。

内臓脂肪がたまることの具体的なリスクとしては、高血糖状態を導く「インスリンの働きの低下」、免疫力低下につながる「体内の炎症の慢性化」、血中コレステロールが増加し「血圧が上昇したり、血栓ができやすくなったり」することだ。

筋肉増加が内臓脂肪減少につながる

内臓脂肪を落とすには運動が効果を発揮するものの、「それができれば苦労しない」といった声は五藤さんも理解している。

そこで、運動習慣がない人でも実践しやすい、内臓脂肪を落とすための生活のコツを紹介する。

お腹を触る女性
肥満が原因の病気は死にいたることも(写真/Photo AC)
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つらい運動を無理にする必要はない

まず、五藤さんがすすめるのは「ニート」と呼ばれる、運動とまでもいかない行動を意識すること。

「ニートと聞くと、ヒモみたいな人を思い浮かべると思いますが(笑)、ここでいうニートとは、『Non-Exercise Activity Thermogenesis』(非運動性熱産生)というものです」

具体的には下記のような行動を指す。

・エレベーター・エスカレーターを使わずに階段を使う
・ひと駅分手前で降りて歩く
・少しの距離であれば自転車や車を使わない

「ある調査では、肥満者と非肥満者を比べると、肥満者は歩行なども含めて立っている時間が、平均で1日約150分も少なかったという報告があります。なるべく座っている時間を減らして、日常生活の中で積極的に体を動かすようにすることも、スムーズに『あぶら』を落とす秘訣といえます」

つらい運動を無理にする必要はなく、座っている時間を減らそうと心掛けるだけでも健康な体を目指す第一歩になるといえそうだ。

たんぱく質で運動効果をアップ

そして、五藤さんはたんぱく質を意識的に摂るようにすすめる。それは、エネルギーや糖の消費量が多い器官である、筋肉の材料になるのがたんぱく質だからだ。筋肉が多いということは、余計なあぶらや糖をためにくい体といえる。

「筋肉量のピークは、一般的に30代前後といわれていて、運動習慣がない人は加齢とともに徐々に減少していきます。お尻や太ももなどの大きな筋肉は、40代以降は約1%ずつ落ちていくといわれます。40歳の人なら、80歳になると40%減。太ももの筋肉は約半分になってしまうということですから、怖い老化現象です」

たらと豆腐の鍋
たんぱく質豊富な食材を食事に取り入れて(写真/Photo AC)
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筋肉量の減少を食い止めるには、たんぱく質をとることと、運動を欠かさないことが必要だという。とはいえ、筋肉量の意地を目標としている場合は頑張ってきつい運動を続ける必要はなく、「散歩やウォーキングなどの軽い運動で十分」だと五藤さん。

たんぱく質はいろいろな食品に含まれているが、たんぱく質を構成しているアミノ酸のうち、人体で作ることのできない9種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品がよいとのこと。

「具体的には、肉や魚、卵、牛乳、大豆製品などになります。中でも、肉は少量で良質なたんぱく質がとれるすぐれた食品ですが、その一方で、飽和脂肪酸を多く含んでいることが難点です。脂身のほとんどない赤身であればいいのですが、歯の悪い方には硬い肉はつらいですよね…。やはり、よいあぶらも摂れることを考えると、魚や大豆製品をたくさん食べるのがおすすめです」

◆教えてくれたのは:医師・五藤良将さん

白衣を着てマグカップをもた男性
医師の五藤良将さん
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ごとう・よしまさ。医療法人社団五良会理事長。竹内内科小児科医院院長。1978年、 千葉県生まれ。 防衛医科大学校卒業後、自衛隊医官として勤務。その後、津田沼中央総合病院などを経て、2019年9月に竹内内科小児科医院を継承し院長となる。生活習慣病をはじめ、診療は多岐にわたる。https://www.youtube.com/channel/UCpJjtOyjF22s3NY5MEgeRbA

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