年を重ねると、体のあちこちにガタがくる。なかでももっとも老化を感じ、日常生活に支障をきたすのは視力の衰えや目の病だろう。老眼は等しく訪れ、予防法もない。白内障はいまや80代になればほぼ100%の人がかかるといわれる。「見えない」ことは仕事や家事の手も妨げ、読書や刺繍など趣味も奪い、認知症など病のリスクをもたらす。そんな恐ろしい老化現象に寄り添い、治療してくれる名医を探そう。ジャーナリストの鳥集徹氏と女性セブン取材班がレポートする。第2回では「老眼」にスポットを当てる。【全4回の第2回。第1回を読む】
老眼の症状が出たら老眼鏡は早める使い始めた方がいいのか
「最近、疲れると目がかすんで、スマホやパソコンの文字が見えづらくなるときがあります。老眼鏡は持っているのですが、かけなくても何とか見ることはできています。それに老眼鏡をかけると違和感があるので、かけたくない。それでもやはり、早めに老眼鏡をかけた方がいいのでしょうか」(46才・女性)
老眼年齢に差しかかると、まずぶつかる壁が「老眼鏡をいつからかけ始めるか」ということ。
「老眼鏡は早めに使い始めた方がいいという向きもありますが、早くかけたからといって老眼の進行が緩やかになることはありません。逆に先延ばしにすればいいということもない」
そう話すのは、本や動画などで目の病気について積極的に情報発信している二本松眼科病院副院長の平松類医師だ。では、どのような場合に老眼鏡デビューするのが“正解”なのか。
「目の疲労、いわゆる眼精疲労が強い場合や、それによって頭痛や肩こりが起きるのであれば、早めにかけた方がいいと思います。老眼鏡をかけただけで、目の疲れや頭痛、肩こりが治ったという人は多いです。老眼はどこの眼科でも診ることができますので、もし『老眼かも』と思ったら、早めに眼科を受診することをおすすめします」(平松医師)
老眼鏡は100円ショップのものでもいいのか
とはいえ、加齢現象である老眼で、眼科にかかっていいのかと、足踏みする人は少なくないはず。平松医師が続ける。
「老眼鏡をかけてもレンズの度数が合っていないと、眼精疲労や頭痛、肩こりが起こる場合があるし、ほかの病気を見逃してはいけないので直接眼鏡店に行くより、一度は眼科で検眼してもらい、レンズの処方箋を作ってもらう方がいいと思います」
低価格を売りにするチェーン店に加えて、100円ショップでも老眼鏡を買うことができる。そのような店で買った老眼鏡を使っても大丈夫だろうか。札幌かとう眼科院長の加藤祐司医師が話す。
「目の病気ではなく軽い老眼程度なら、100円ショップでもいいので、『老眼鏡を買ったら?』とおすすめすることはあります。高いレンズの方が薄くて見た目がいいというのはあるでしょう。だからといって、『安いから悪い』というわけではないと私は思います。
ただ、自分に合った老眼鏡を作りたいなら、国家検定資格である『眼鏡作製技能士』がいるお店がいいかもしれません。鼻に当たるパッドだとか、全体的なフィット感だとか、ちょっとした調整で視力が変わることもあります」
遠近両用の老眼鏡もあるが、仕事や家事で細かいものを見ることが多い人には合わないこともある。生活スタイルも踏まえたうえで、どんな眼鏡が合っているのか、専門店舗で相談しながら選ぶのがおすすめだ。
(第3回につづく。第1回から読む)
レポート/鳥集徹(ジャーナリスト)と本誌取材班
※女性セブン2024年11月7日号