スマホ社会のいま、現代人の約8割が発症しているといわれる「スマホ首」。スマホの長時間使用など悪い姿勢が続くことで首の骨のカーブがなくなり、まっすぐになるスマホ首は、首や肩への負荷増加に加え、頭痛やめまい、手足のしびれ、さらにはうつ症状を引き起こすこともある。そんな不調を招かないために、プロが教える改善法を実践したい。
手&腕押しから始めてマッサージ効果をアップ!
自分の手や腕を押すと、押す手は握力が増進し、押される手にはマッサージ効果があり、首押しの効果も上がる。教えてくれたのは、上部頸椎カイロプラクターの島崎広彦さん。
【1】手を上から握る
左手の指を右手で包むイメージで、左手の甲に右の手のひらを重ねて右手に力を入れて左手をぎゅっと握って押圧。力を入れたり緩めたりを3回繰り返す。手を変えて同様に。
【2】手の甲の骨の間をほぐす
手の甲にある5つの骨を中手骨というが、その骨と骨の間を指の付け根から手首方向に少しずつずらしながら7秒ほど動かしてほぐす。痛いところは手の疲れがたまっているところ。
【3】合谷(ごうこく)のツボを押す
合谷のツボは、人差し指と親指の付け根の少しへこんでいるところにある。ここに30秒ほど圧をかける。このときジーンと心地よい痛さを感じる強さで。反対の手も行う。
【4】手三里(てさんり)のツボを押す
ひじを軽く曲げ、ひじ関節から5cmくらい下を押して、響く部分が手三里のツボ。ここを痛気持ちいい程度の力で5秒ほど押す。次に、ひじから手首に向かって少しずつ場所を変えて押していく。反対の手も同様に。
【5】腕の内側を押す
左手を体の横に自然に下ろし、右手の親指を左ひじの中心に当て、ほかの4指を腕に引っかけ、親指に力を入れて押圧。ひじから手首に向かい、押しながら少しずつ場所を変えていく。
スマホ首を改善するクロス首押し
首にこりや痛みがあるときはもちろん、いつでも、何度行ってもOK。気になるたびにこりをほぐそう!
スマホ首の改善は、関節の固着を取り除き、可動域を広げて整える「クロス首押し」が基本。右手で首の左側、左手で首の右側というように、首の後ろで手をクロスさせて行う。首の後ろ側は力が入りにくいため、人差し指、中指、薬指の3本を使い、後ろから首の筋肉を引っ張るようにして押すのがポイントだ(イラスト参照)。
「このとき、首の後ろに並んでいる頸椎の棘突起のすぐ横(1)、少し前側(2)、首の真横よりも少し後ろ側(3)の順番に押していきます。
まず首の右側の(1)の位置に左手指を置き、横に引くようにして力をかけつつ、ゆっくりと首を上下に5回動かします。続いて、首を左右に5回動かした後、右斜め上に顔を上げ、自然な呼吸を続けながら30秒ほどキープします。(2)、(3)も同様に行います。
向きにくい(可動域の少ない)方を重点的に行ってもよいのですが、スマホ首の可動域の改善のためには、左右両方を行うとよいでしょう。後頸部には太い動脈がないので、強く長く押しても問題ありません」(島崎さん・以下同)
血流を促し、脳もスッキリする両サイド押し
硬くなった筋肉をほぐして血流を促す「首の両サイド押し」は、短時間でこりが解消され、楽になる。
首の骨と筋肉を指で挟むように押圧することで、首の血管や神経のつまりを取り除く。脳への血流や神経伝達がスムーズになるため全身が整う。
【1】両手を後頭部に回し、親指以外の指を組む。両手の親指の腹で首の両サイドを挟むようにして押圧する。
【2】次に、頭の付け根から首の付け根まで、少しずつ位置をずらしながら押圧していく。押すタイミングで息を吐くと力が入りやすい。
【3】親指が疲れたら、人差し指、中指、薬指の3本の指を使った三指圧に切り替える。首の横にある肩甲挙筋(背骨と肩甲骨をつなぐ筋肉)を押圧。
【4】筋肉に沿って上から下へ、数ミリずつ位置を変えながら、1か所7秒ずつ押していく。これを3回繰り返す。
【5】3本の指先の位置がバラバラだと押す力が分散され、指を傷めやすくなるので、必ず指をそろえて押すこと。中指の先にほかの2本の指をそろえると、圧を集中させられる。
「イラスト1と2のように親指を使って押圧するだけでも血流改善効果がありますが、3、4、5のように3本の指で押圧すれば、さらに効果が高まります。押圧中にバランスを崩してふらつくことのないよう、背もたれのある椅子に座って行うのがおすすめです」
毎日続ければ全身が温まって冷え症が改善し、呼吸も楽になって寝つきがよくなり、不眠症改善効果も。
ひじを前に寄せると圧が強くなる
イラスト【1】の際、指先だけに力を入れて押すより、脇を締めてひじを寄せると、指先に強い圧が集まる。
「ひじを寄せれば親指が首にめりこむように力が入るので、無理に押さなくても充分効果があります」(島崎さん)