女性ホルモンによって大きく影響を受ける更年期の悩みには、あずきがおすすめだと野菜ソムリエプロの福島玲子さんは話す。「とくに年始によく使われるあずきは、イソフラボンが豊富で女性ホルモンの働きをカバーする働きが期待できます」と語る福島さん。さらにダイエットにも向いているという、あずきの栄養素について詳しく話を聞いた。
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女性の悩みやダイエットに効果的な栄養豊富
大豆や落花生は脂質を多く含む豆ですが、あずきは食物繊維と糖質、つまり炭水化物が主体の豆です。たんぱく質も豊富で、低脂質・高たんぱくなパワーフード。ダイエット向きなうえに、女性の悩みにも効果が期待できます。
女性ホルモンに効果抜群!あずきの栄養素
あずきの特徴は、たっぷりと含まれるイソフラボン。植物性のエストロゲンとも呼ばれ、不足した女性ホルモンの働きをカバーしてくれる栄養素です。
イソフラボンには女性ホルモンのバランスを整える作用もあるので、女性ホルモンの減少に対しては女性ホルモンの代わりになり、女性ホルモンが過剰なときには女性ホルモンを減らす働きをします。
さらに、あずきは豆類の中でもとくにポリフェノールの含有量が多く、抗酸化作用による生活習慣病の予防や、美肌効果やシワ予防などアンチエイジング効果、血圧低下などの効果が期待されています。
便秘やダイエットにもあずきがおすすめ
あずきには不溶性食物繊維が多く含まれており、排便の促進や便のカサ増しの効果があるため、便秘の人には特におすすめです。また、少量でも満腹感を感じることができ、ダイエットにも効果的だといわれています。
文部科学省. 日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、乾燥あずきの食物繊維含有量は100gあたり21.1gですが、茹であずきの場合は33.5gに増えます。これは、あずきを茹でることで、でんぷんが難消化性でんぷんに変化するからだと考えられています。
ほかにも、エネルギー代謝にかかわるビタミンB1やビタミンB2、むくみを解消するカリウム、骨や歯を丈夫にするカルシウムなどもたっぷりです。
サポニンが豊富な茹で汁の活用法
栄養豊富なあずきですが、茹でると栄養素が流れ出すので、せっかくならば茹で汁まで活用して余すところなく取り入れたいものです。どんな効果があり、アレンジができるのか、あずきの茹で汁の使い方をご紹介します。
あずきは茹で汁まで栄養素が豊富!
あずきの外皮にはサポニンという栄養素が含まれています。サポニンには血中のコレステロールや中性脂肪を低下させたり、血糖値の上昇を抑制したりする効果があります。さらに、血流を改善して動脈硬化の予防にも役立ちます。
サポニンは苦味や渋味の成分で、茹で汁に流れ出ます。あずきを煮るときは3回ほど茹でますが、1回目の茹で汁はアクが多いので、2回目以降の茹で汁を活用しましょう。茹で汁までいただくことで、サポニンを効率よく摂取することができます。
あずきの茹で汁のカンタン活用法
あずきの茹で汁は、そのまま飲んでもいいですし、お茶を淹れるのに使ってもよいでしょう。寒天ゼリーにすれば、ほんのりあずきの風味を楽しめるヘルシーなデザートに。ごはんを炊くときや、パンを焼くときに使えばあずき風味に仕上がります。
逆に風味が気になる場合は、カレーやみそ汁など、しっかりとした味付けの料理に活用するのもいいでしょう。栄養たっぷりの茹で汁まで余すことなく使うことをおすすめします。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ