社会

《追及レポート》何も知らない利用者が損をしている【火葬場のタブー】「キックバック」「割引利権」など”利権構造”うずまく不公平な因習の実態

区民葬の仕組みを担う「特別区区民葬儀運営協議会」の今年度幹事区である東京都北区の担当者が説明する。

「公金などは一切出ておらず、葬祭業者さんと火葬業者さんの善意で成り立っています。運営協議会は23区各区の部長級と、20名ほどの組合関係者で構成されています。

死亡数に占める区民葬の葬儀券発行率は昨年の北区で13%でした。2019年頃まで、23区全域でも交付枚数は3000件ほどでしたが、昨年は1万件を超えるなど、年々、数を増やしています」

桐ヶ谷斎場の外観。(写真はホームページより)
桐ヶ谷斎場の外観(写真はホームページより)
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もともとは、生活困窮者のセーフティーネットとして設けられたが、火葬料金が3万円も割引されるのだから、利用者が増えているのも当たり前だろう。

「“善意で成り立っている”というと聞こえはいいが、火葬料金の減額に関しては民間の火葬業者の”持ち出し”によって成り立っているんです。たとえば、都内の民間火葬業者『東京博善』だけで、区民葬で割り引く費用は年間で2億4000万円に上る計算です。

この区民葬の費用負担やキックバックがなくなれば、一般の火葬料金をもっと安く提供できる可能性もあるでしょう。古くからの慣習なのかもしれませんが、不明朗なカネの流れは、時代に合わないのではないか」(前出・都政関係者)

そうしたキックバックや「割引利権」は全東葬連に加盟する葬儀社だけで、非加盟社にはない。ある非加盟の葬儀社の経営幹部はこう憤る。

「不平等そのものでしょう。なぜ彼らだけに、利権があるのか。そうした歪なルールは、“葬祭業界の闇”と言っていいですよ。

私の知人の業者が以前、全東葬連に加入しようとしたことがあるのですが、門前払いされたそうです。高額な入会金を求められたり、『組合の秩序を守り、悪徳業者が加入するのを防ぐための身体検査』などと称した不透明な審査があったりと、新規加入は実際にほとんどできない。既得権益を守るためにほかなりません。

葬祭業者の自由な競争を完全に妨げていますね」

「不公平だという意見も頂戴する」

火葬の現場で働くスタッフに、遺族が現金を手渡しする「心づけ」という慣習も存在する。

「最近は減っているようで、ある民間火葬業者ではこの『心づけ』が禁止されたと聞きました。社員のかたによれば、社内で罰則規定が設けられ、『心づけ』を受け取ると処分されるそうです。慣習的に給与の一部という認識でしたが、『心づけ』を廃止した分、給与体制も見直されたそうです」(前出・都内の葬儀社経営者)

一連の因習について、当事者たちはどう答えるのか。

全東葬連は女性セブンの取材にこう答えた。

「日本の古くからの商習慣として、キックバック、いわゆる“もどし”はたしかに存在します。ただし、それは本来、私たち葬祭業者が遺族に売るはずの『骨壺』を、火葬業者側が売っているから、その分の販売手数料をもらっているという認識です。

また、区民葬については長い年月をかけて組合が行政や火葬業者と話し合いを重ねてきた歴史があります。資質のある会社であれば、組合加入を拒否することはありませんし、加入せず区民葬だけ使わせろというのは承服できない」

23区内に9つある火葬場のうち6か所を運営する民間企業「東京博善」はこう回答した。

「古くからの習慣として、全東葬連系の組合に加入する葬儀社のかたがたとの商習慣が残っていることは事実です。また、実際に、それをご存じの、全東葬連系の組合外の葬儀社様からは不公平であるというご意見を頂戴することもございます。

(区民葬については)当社は、『特別区区民葬儀運営協議会』の主体ではなく、協議会からの要請を受け、自主的に協力させていただいている協力団体・協力事業者という立場です。従いまして、区民葬そのものに関する見解についてコメントすることは控えさせていただきます。なお、公的な補助は受けておらず、当社の費用負担でご協力させていただいております」

また、「心づけ」の廃止についてはこう回答した。

「火葬料金には透明性が求められます。古くから続いてきた『心づけ』の慣習は、火葬料金を不透明にしておりました。『心づけ』の廃止は、火葬料金の透明性を高める目的が1つ、また、実際に、ご喪家様に火葬料金プラスアルファの費用負担を強いてしまうことでもあり、実質的な火葬料金の低減として廃止しました」

前出の都議が声を大にして言う。

「都は特別区からの要請があれば、都営火葬場建設のために臨海部の土地を用意すると言っているが、区側が火葬場建設に積極的でない実態もある。都営火葬場の瑞江葬儀所も場所が遠く古いなどの理由で都民に敬遠されることがあるとのことで、抜本的な改革が必要なのは間違いないでしょう」

火葬場には、一面的には捉えられない根深い問題がある。不透明な因習から脱却し、公平な料金で私たちが最期を迎えられる体制を構築することが急務だ。

※女性セブン2024年12月19日号

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