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《カード、スマホが使えない…》を防ぐ「海外旅行の新常識」 安全・安心に楽しむために準備したい3つのこと

イギリス街中
そろそろ海外旅行!そんなときにチェックしたい新常識とは?
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新しい年もスタートし、「今年こそ海外旅行へ!」と考えている人も多いのでは。コロナ禍を経て海外旅行の環境も変化し、「必要な準備も大きく変わってきた」と、旅行ジャーナリストの村田和子さんは言う。久しぶりの海外旅行を安全・安心に楽しむために備えたいことを聞いた。

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私も海外へ行く機会が徐々に増えていますが、環境変化に驚くことが多々あります。今回は特に安全・安心に、そして海外旅行をとことん楽しむために、準備したいことを3つご紹介します。

クレジットカードは複数持参!現金が使えないところも増えている

クレジットカードの持参は必須、さらに複数枚を持っていくことを強く推奨します。というのも、電子決済が主流となり、渡航先によっては「カードが使える」ではなく、「現金が使えない・使いにくい」という国も増えています。

例えば、イギリス・ロンドンの地下鉄では、タッチ決済対応のクレジット―カードなら、切符を購入せず、改札にクレジットカードをタッチするだけで乗車ができ、料金も現金よりお得。オーストラリアでは少額でもクレジットカード利用がスタンダードで、私は用意していった現地通貨の現金は手をつけないまま帰国となりました。チップの習慣がある国を除いては、現金はなくてもさほど困らない、逆にクレジットカードはないと困るという国が増えていると感じます。

ロンドンの地下鉄。タッチ対応カードならきっぷを買う必要もなく割安。さらに一日の運賃が一定以上になると課金されない仕組みも
ロンドンの地下鉄。タッチ対応カードならきっぷを買う必要もなく割安。さらに一日の運賃が一定以上になると課金されない仕組みも
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また、昨今インターネット上でのなりすまし犯罪なども多く、カード会社がセキュリティを強化した結果、クレジットカードがいつの間にか利用停止になっていることも珍しくありません。私も渡航前にホテル予約でクレジットカードが使えず問い合わせると、「怪しい取引がネットで感知され、セキュリティ観点から利用停止となっていました」との返答が。

また今回のクレジットカード会社では、セキュリティで停止となった場合に、カードを持っている本人への確認や連絡はせず、本人が気が付いて問い合わせがあって初めて利用再開となるそう(ちょっとびっくりですが、連絡ができないほど頻繁に発生すると窓口の方)。

クレジットカードイメージ
クレジットカードイメージ(写真/イメージマート)
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海外旅行中に突然カードが使えなったら大変です。出発前にカードが機能しているかをチェックし、1枚ではなく必ず複数枚、できれば利用範囲が広いVISAをいれて持っていくのがおすすめです。なお、今回は海外旅行の期間を伝えることで、その間はセキュリティでのロックをかけないように手配ができました。心配な場合は、各クレジット会社へ確認・連絡をしておくといいでしょう。

知らない土地だからこそスマホ利用を!eSIM(イーシム)は安価で手軽!

「海外でのデーターローミングは高額だから、旅行中は機内モードにしておけば安心」と、現地Wi-Fiだけを頼りに海外旅行をしていた人も多いのでは? 実は私もそのひとりでした。

ただ、やはり街中での散策中など、好きなところでいつでもネットに繋がれるというのは、安心感もありますし、旅を楽しむうえでも必要性を強く感じます。Google Mapsがあれば、目的地までの経路検索もできますし、近くの施設なども把握できます。レストランのメニューはGoogleレンズで翻訳すれば好きなものを見つけられるし、コミュニケーションに困ったら翻訳アプリを使って会話もOK。気になる観光スポットがあれば、リアルタイムに日本語の解説なども見ることができるなど、やはりスマホは、海外旅行の強い味方になります。

携帯電話を使う女性
スマホが自由につながることで快適に(写真/イメージマート)
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海外でインターネットに接続する方法はいくつかありますが、私がおすすめするのはスマホ一体型のeSIM(イーシム)。SIMの入れ替えや紛失の心配もなく、スマホ上の設定だけでOKです。

準備は出発前に旅行する地域や期間、利用容量にあったプランをネットで購入、説明に従ってセッティング。あとは飛行機に乗る際に「eSIMを有効にしたうえで、日本の携帯キャリアのSIMを無効にし(※)機内モードにしておく」だけ。渡航先で機内モードをオフにすると自動的に現地の携帯会社へアクセスしインターネットが利用できるようになります。事前に購入したプラン内での利用となるので、使い過ぎて高額になる心配もなく安心です。(※通話をしたい場合は別の設定が必要です)

地域や期間、容量などを設定して好みを選択/アプリを入れておくと、現在のプランの利用残量などもわかる(World eSIM)
地域や期間、容量などを設定して好みを選択/アプリを入れておくと、現在のプランの利用残量などもわかる(World eSIM)
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料金も最近はとっても手頃。私が利用したWorld eSIMなら、例えばオーストラリアで有効期間7日間なら、容量1GBで970円、3GBは1280円。先日は複数の国へ渡航するのでヨーロッパ周遊プランを利用しましたが、30日有効で容量10GBのプランは3034円、国が変わっても自動で利用できる携帯会社へ接続してくれるので便利でした。

いずれも1日や1GBのライトなプランから、日数を設定し無制限で利用できるヘビーなプランまであります。最初は抵抗があるかもしれませんが、一度試すとその快適さに必ずよかったと感じるはず。もちろんホテルなどではWi-Fiを併用して容量を節約するのも重要です。

なお、eSIMについては、利用対応の機種かどうかは必ずチェックしましょう。また、通話はサポートしていないプランが一般的。家族との連絡などなら、ネット経由で話せるLINE電話を利用するのも手です。

電子渡航認証の有無をチェック!エアラインのwebチェックインでスムーズに

渡航先で入国審査を受ける前に、インターネット上で適格性を確認する「電子渡航認証システム」を導入する国が増えています。例えば米国ならESTA、オーストラリアのETAなど。イギリスも2025年1月8日からETAが導入され、EU加盟国でも2025年半ばからETIASが導入されるなど、ヨーロッパでも年内に動きがある予定です。必要なのに事前に申請がないと、最悪の場合には飛行機に搭乗できないことも。必ず入国に際して必要な申請、パスポートの残存期間など最新の入国条件をチェックし、必要な手続きをしましょう。

外国人観光客で混みあう関西国際空港
外国人観光客で混みあう関西国際空港
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インバウンド旅行客の増加により、国内の空港はどこも国際線のチェックインカウンターはかなり混雑しています。搭乗に際しては余裕をもって空港へ向かうと同時に、出発前にWEBチェックインをしておくとスムーズです。

また航空券によっては事前に座席指定ができない場合(あるいは有料で対応)がありますが、WEBチェックイン時には、多くの旅行会社で座席指定が無料でできるようになります。WEBチェックインの開始時間は、航空会社により搭乗72時間前や24時間前などまちまち。飛行時間が長い場合は、機内の座席位置により快適度も変わりますから、WEBチェックインの開始時間を確認し、早めに対応することで、座席なども希望を押さえられる可能性が高まります。

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いかがでしたか? 日本国内も素晴らしい地がたくさんありますが、文化や歴史が違う海外は、国内とは異なる刺激や発見に満ちています。ぜひ機会があれば、安全・安心に配慮して、海外へも出かけてみては? 特にスマホが現地で自由に使えるようになると楽しみの選択肢も増えます。

◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

村田和子さん
旅行ジャーナリスト・村田和子さん
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旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを務めた。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)

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