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【内藤剛志インタビュー】70歳を前にして語る“きわめて自立した家族”と“これから”「自分から引退するとは言いません。依頼がある限りやり続けたい」 

27クール(6年9か月)連続でドラマに出演した日本新記録を持つ俳優の内藤剛志
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「連ドラの鉄人」という異名を持ち、主演・助演にかかわらず、ドラマに欠かせない人気俳優として活躍する、内藤剛志さん(69才)。27クール(6年9か月)連続でドラマに出演したという、日本新記録を持つ内藤さんだが、仕事以外には趣味がなく、普段はとくになにもしていないという。そんな内藤さんのプライベートと、これからについて聞いた。【全4回の第4回。第1回から読む

互いを尊重するきわめて自立した家族

ブレのない人だ。唯一、趣味に近いものは読書だという。

「読書が自分の内面に与えるものは大きいと思う。好きな作家は、開高健さん、中上健次さんや内田樹さん……あたりでしょうか。でも、いちばん好きなのは、太宰治のように、宛先が自分に向けて書かれていると感じる作品ですね。これは自分のことだと思う。

最近読んだのは、脳科学者の中野信子さんのものを数冊。文芸とは違いますが、こんがらがった脳を整理してクリアにしてくれるんです」(内藤、以下「」内同)

1982年に結婚。子女がひとりいる家庭だが、「きわめて自立した家族」だそうだ。帽子デザイナーとして活躍する夫人と、娘さんは長年、スタジオジブリで働く。いわばクリエイティヴな一家である。

趣味に近いものは読書だという
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「妻はずっと旧姓で仕事をしていますから、ポストにはふたつの名字が書いてありますし、娘は独立してひとりで暮らしています。家族仲はよいですが、昔から互いの生き方を尊重しますし、干渉するようなことはないですね。

ふたりは僕が俳優をしていることで、特別扱いされるようなことも、すごく嫌います。たとえば人気店で皆が並んでいるのに、先に通されるようなことがある。そういうことをとても嫌がる。ごく普通の感覚を持っている人たちです」

何年も前から東京と横浜、京都に家を所有、往き来している。

「そのとき住んでいる家が本宅というか。ええ、妻と一緒に移動します。僕自身は、昔から漂流したいというか、ノマドじゃないですが、心身共に自由でいたい願望が強い人間なんです。旅も好きで休みが3日もあれば、すぐどこかに行ってしまう。ただこの頃は、京都に定住して老後を過ごしたいという気持ちが生まれまして、住民票を東京から移しました。大阪で生まれ育っているので、京都は身近でとても好きな街なんです」

今年で、70歳を迎える。

今年で70歳を迎える俳優の内藤剛志
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「いつのまにか(笑い)。定年退職という考え方もできるし、仕事が来なくなったら、もう自然消滅してもいいかなって思うんですよ。ただ、今のところえげつない仕事量でして、おかげ様ですごい忙しさですから。健康ですし、そもそも肉が好きで、ステーキ400gなんて軽くいけますし(笑い)」

そして背筋を伸ばしたまま、真っ直ぐな視線を向けた。

「自分から引退するとは言いません。依頼がある限りはやり続けていきたい。これは自分に与えられた、やるべきことですから」

俳優人生を全うしようとする、凜とした言葉だった。

(第1回から読む) 

【プロフィール】
内藤剛志(ないとう・たかし)/1955年大阪府出身。1980年、映画『ヒポクラテスたち』で映像デビュー。以降、映画、ドラマ、バラエティーと活躍。代表的ドラマに『警視庁強行犯 樋口顕』『警視庁・捜査一課長』シリーズほか。声優としても活躍し、『千と千尋の神隠し』では、千尋の父親役を担当している。現在、主演ドラマ『旅人検視官 道場修作』の新作を撮影中。

取材・文/水田静子

※女性セブン2025年3月6日号

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