【けんちん汁】家庭でもできる!匠の味
具材を油で炒めて煮込み、しょうゆで味をつけるのがけんちん汁。精進料理のため、動物性の食材を使わないのが特徴だ。発祥と言われる鎌倉・建長寺の老大師直伝の味を教えてもららった。

ごま油がほんのり香る精進料理の代表的な汁物
「けんちん汁は建長寺が発祥の『建長寺汁』が由来とも言われています。精進料理ですから、動物性の食材はだしも含めて一切使いません。また、食材を無駄にしないことが基本なので、皮まで使い切ります。作り方はシンプルですが、野菜の甘みと旨みが奏でるだしは、滋味深く食べ飽きない味です。
炒めるときに使うごま油は調理で味も香りも飛んでしまうので、仕上げにも入れるのがポイントです。ご家庭で作る場合は、肉や魚なども入れて、楽しんでください」(禅茶寮 点心庵 料理長 高橋博文さん)
《材料》 (2杯分)

木綿豆腐…1/8丁(20g) 大根(葉含む)…1/20本 れんこん…1/6節 里いも…1/4個(各30g) にんじん…1/8本(15g) ごぼう…1/10本 こんにゃく…1/10枚(各10g) 好みの季節野菜/赤かぶ・ビタミン大根…各10g しょうゆ…大さじ2 塩・ごま油…各小さじ1
だし汁…2カップ(水…2カップ 干ししいたけ…1個(10g) 昆布…2g)※だし汁は前日に用意しておく。
《作り方》
【1】こんにゃくはそぎ、野菜は同じ厚さに

こんにゃくは、短時間でも味がしみこみやすくするため、包丁の柄尻で叩いて伸ばし、器の底などで食べやすい大きさにそぎ切る。
にんじんとごぼうはささがきにし、大根、里いも、れんこんは5mm厚さに揃えていちょう切りまたは短冊切りにする。だし汁の戻した干ししいたけは5mm厚さに切る。
【2】ごま油で食材を炒める

鍋にごま油を熱し、【1】のにんじんとごぼうのささがき以外を入れて強火で炒める。大根が透き通ってきたら、にんじんとごぼうを入れて軽く炒め混ぜる。
【3】しっかりあくを取り、澄んだスープにする

弱火にし、昆布を除いただし汁を入れる。ひと煮立ちしてから10分そのまま煮る。途中であくを取って澄んだ汁にする(家庭ではあくは取らなくてもOK)。
【4】豆腐をくずし入れ、ごま油で香りを

しょうゆ、塩を加え木綿豆腐をひと口大に手でくずしながら入れる。ひと煮立ちしたら器に盛り、刻んだ大根の葉少量(分量外)を入れ、ごま油少量(分量外)をたらす。
◆教えてくれたのは:禅茶寮 点心庵 料理長 高橋博文さん

建長寺の門前にある。食材は、自然豊かな鎌倉産のものを使用。坐禅の部屋にある円窓は必見。

住所:神奈川県鎌倉市山ノ内7
撮影/宮本信義、田中宏幸 取材・文/佐々木めぐみ
※女性セブン2025年3月13日号