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《45万人への最高の贈り物》Nissy(⻄島隆弘)が2度目の6大ドームツアーで開花させた、究極の”マジカル”エンターテインメント

2022年に開催した初めての6大ドームツアーから約2年。ソロアーティストの中で、2度目の6大ドームツアーを成し遂げたのは歴史上初!
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常識をはるかに超えた唯一無二のエンターテインメント

Nissy Entertainment。その名の通り、これまでのライブの概念では語ることのできないステージをNissyが創り上げた。

従来のライブでは、映像は幕間の繋ぎとして使われることが主流の中、Nissyはその常識をエンターテイナーらしい発想で覆してみせた。音楽を主軸に映画のごとく映像作品としてストーリーを紡ぎ、その世界とライブ会場を完全に一体化させる。例えば劇中で花火が上がれば会場でも花火が華やかに打ち上がり、劇中で雨が降りしきると会場では雨を模した大量の噴水が上がるように。同時に観客は、それを見て楽しむだけの存在ではなく“演出担当”でもあり、楽曲やストーリー展開に合わせてペンライトの明かりが時に星空や炎のようにドーム全体を彩った。

「具現化するのは難しい」とMCで言っていたけれど、そのシンクロは細部にまで至り、物語の世界の中へと観客を完全に没入させる夢のような体験を実現。振り返ってみれば、過去のライブでもその片鱗はあったが、Nissyにとっては試行錯誤の過程だったのだろう。これまでのライブで創り上げてきた世界の究極が、このステージには集約されていた。

オープニングでステージに姿を表したNissy。その登場の仕方1つとっても、こだわりが光る。
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どの客席から見ても楽しめるように、演出はあらゆる角度から細部に至るまで計算し尽されていた。
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さまざまな試みを経てたどり着いた“最高到達点”。それは、音楽と映画仕立てのストーリー映像との融合にとどまらない。ボーカル&ダンサーとして一流の表現者であることは言うまでもなく、人気お笑いコンビのチョコレートプラネットと共演したコメディ映像では“TT兄弟”ならぬ“TTT兄弟”としてコミカルなやり取りで笑いをとり、Nissyが生み出したLippy(リッピー)とRujju(ルッジュ)というファンにはお馴染みのマスコットキャラクターを主役に、ショートフィルムのようなアニメーションも創ってみせた。

BEST DOME TOURとタイトルでうたっているように、Nissyのライブの風物詩となった恒例の楽曲&演出の数々ももちろん登場! 『DANCE DANCE DANCE』では約5万人の観客もダンサーとなって一緒に踊り、『The Days』では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンから駆けつけたピーナッツ&セサミストリートの仲間たちとNissyが盛大にパレードして、まさにテーマパークのようなハッピーな空気でドームを包み込んだ。

約3時間半以上のライブの中にあらゆるエンターテイメントをジャンルレスに詰め込みながら、それを一つの壮大な物語として紡ぎあげる。創造力とそれを実現させるスキルは、誰も真似することができない唯一無二の才能だ。

東京公演の2日目には、チョコレートプラネットがサプライズゲストとしてステージに登場! 『DANCE DANCE DANCE』でNissy&チアダンサーといっしょにラインダンスを披露して、会場を沸かせた。
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ピーナッツ&セサミストリートの仲間たちとは、『The Days』 のMVで共演した縁が。
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昨年11月に埼玉・ベルーナドームからスタートした今回の6大ドームツアーは、3月の北海道・大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム)まで全11公演、約45万人を動員した。
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構想から15年の歳月をかけてたどり着いた”最高到達点”

アンコールまで、MCは一切なし。その理由を、「前回のツアーで本編30分、アンコール30分、合計1時間も話していて。トークショーになっちゃうから、今回は時間制限を設けることにした」と笑いながら明かしたNissy。制限があると言いながらも、ついついタイムオーバーをしながらのMC中に、ふと、東京公演がツアーのセミファイナルだと口にして「言わなきゃよかった……」と寂しさを滲ませた。

アンコールでは、恒例の気球に乗った演出も! 今回はLippy(リッピー)をモチーフにしたバルーンを使った気球で登場。「少しは近くなったでしょ?」と優しく声をかけながら、スタンドを埋め尽くしたファンの近くまで飛んで喜ばせた。
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アンコールのあと、サプライズで再登場して歌った『どうしようか?』では思いがあふれ出し、その目には涙が。2013年8月にNissyとして初めて世間に発表したこの曲は、表層的には片思いをしている男性の心情をつづった歌詞だが、実は「何もかも八方塞がりで、生きることを諦めかけたときにつくった」という作品で、自分自身へ向けたラブソングでもあったという。

「ライブの構想は23歳の頃から考えていたけど、企画書を書いても全然理解されなくて、なんで分かってもらえないんだろうと思っていた」とMC中に明かしたように、ソロアーティストとして動き出すことさえ難しかったときを乗り越え、構想から実に15年の歳月をかけてたどり着いたNissy史上最高のエンターテイメント。

気がつけばそれは、Nissyのエンターテイメントを愛してやまないファンと共につかんだ2度目の6大ドームツアーの場で花開き、ソロアーティストとして史上初の快挙を成し遂げた。全公演ソールドアウトという満開の花を添えて。

“最高到達点”として完成させた今回のベストドームツアーは、まさにBest of the Best。この先のことはまだわからないが、ドームに集まった5万人に向けて、チケットを買って来てくれたことは当たり前のことではないと深々と頭を下げていたNissyは、感謝の気持ちを胸に、ファンのためへと次のステップを踏み出すだろう。ただただ目の前にいる人を喜ばせて、幸せにするために。それがどんな形であれ、Nissyの手にかかれば、それはNissy Entertainmentになることだけは確かだ。

涙を見せながらもラストナンバーの『どうしようか?』を歌いきったNissyは、「自分のことを自分自身でちゃんと愛してあげて下さい」という素敵なメッセージをファンに贈ってステージを後にした。
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(2月20日、東京・東京ドーム、『Nissy Entertainment “Re:10th Anniversary Final” BEST DOME TOUR』)

撮影/田中聖太郎

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