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オバ記者流「謝罪の流儀」。60才過ぎてドタキャンするときは、体調不良を理由に謝って!

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人間だれしも、失敗はつきもの。大切なのは、やってしまったことよりも、その後どう謝罪をするか――企業や著名人に限らず、謝罪の言葉を間違えると、大切な人間関係を壊しかねない。そんな悲劇を防ぐため、コミュニケーションの達人・オバ記者(68才)から、シチュエーション別に、謝罪に関する神回答をもらった。さてどんな“名言”と“迷言”が飛び出すか⁉

家族や身内にはどう謝る?

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【ケース1】夫に内緒でブランドバックを買ったのがバレた!

夫に内緒にしていたことがバレちゃったときは、初犯と再犯で謝り方を変えた方がいいと思うのよね。

初犯だったら、
「すごく言いにくかったんだけど‥‥このバッグを見たとき、“ああ、これをあなたからプレゼントされたらどんなにうれしいか‥‥”と思ったんだけど言い出せなかったの。勝手なことをしてごめんなさい」

――って言うかな。「すごく言いにくかった」で、うつむいてたっぷりタメを作るのがコツ。「事後報告でごめんなさい」なんてビジネス用語は決して使わないこと。仕事モードになった夫は、詰めよらなければいけない気持ちになり、夫婦関係をこじらせちゃう。

「もう、こんなことは二度とするな。今回だけだぞ」
「もちろんよ」
というところに持ち込めたら大成功。

再犯の場合はもう仕方がない。
「何でこんなことをしたのか自分でもわからない」

――と言って泣く。何回でも泣く。「働いて返します」と言ってみたりして。だいたい前科のある妻にクレジットカードを持たせたり、妻がわかるところにヘソクリを置いていたりする夫だって共犯みたいなもの!‥‥なんて言ったらダメよ。

で、とりあえずしおらしく謝って夫の怒りがおさまった後で夫に身を寄せる。もし拒否してきたら、あっさり引き上げてすごく寂しそうな顔をする。そしてこれからが謝罪の本番。そう、ようやくここからなのよ。ご機嫌取りの時間を2~3日、あるいは半月ほどかかける。この期間はひたすら食卓に夫の好物を並べてご機嫌うかがいする。そして定期的に夫に身を寄せる。夫がこちらの寝技に応じたら解決なんだけど、応じられない場合は、「寂しいなぁ〜」とポツリ。さもそれが買い物をしてしまった原因のようなニュアンスを込めて、でも決して口には出さないのがコツ。最初は妻の不実さを根にもって鬱陶しいことを言う夫でも、何度かこれを繰り返すと夫婦のコミュニケーションのひとつになる

‥‥という話を聞いたことがあるわよ。

【ケース2】パートナーや子供とけんか中、手が出てしまった。あるいは、言ってはいけないことを言ってしまった

手を出してしまったときは、即座に「ごめん。もうしない」と謝ること。ボクシングと同じで、リングの上で話を終わらせることが大切よね。ちょっとでも時間をおいたり、他の家族を巻き込んでの場外乱闘になると取り返しのつかないことになるものよ。

手を出すには出すなりの理由がある。言ってはいけないことを言うには言うなりの背景がある。だからつい、「だって‥‥」と言いそうになることもあるでしょう。でも、手を挙げた、禁句を言ったというのは最大の悪手で、その時点で“負け”なのよ。だから、どんな言い分があろうと、潔く負けを認めてあっさり謝ることが大切だと思うのよね。

とはいえ、どうしても「説明させてほしい」と思うなら、時間をおいて頭が冴えたら、再び謝罪したうえで、

「私の言い分も聞いて」

――と、問題点だと思うことと、どうして欲しいかを話すか、手紙に書くのがいいんじゃないかしら。

「ギャーッ! てめえ、やりやがったな」
「ああ、ならもっと言ってやるわ」

――などと大声での怒鳴り合い、猫のけんかのような泥試合が最短の解決法になることもあるにはあるのよ。関係性をマンネリ化させないためには修羅場を織り交ぜだ方がいいって場合もあることは、頭の片隅にでも置いておいて。

子供に対しては、“親なら謝るな”というのが持論。手を出したことも、言ってはいけないことを言ったことも全部引き受けて、“私はあなたの親で責任者”という毅然とした態度を示した方がいいと思うの。子供が食ってかかってきたら、「そうだね。そうしたよね」と認めるけれど謝らない。ことあるごとに「⚪︎⚪︎ちゃん、ごめんね~」という親は自分が子供に救われたいという甘えを感じる‥‥っていうのは私が昭和の女だからかしら?

友人にはどう謝る?

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【ケース3】悪口を本人に聞かれてしまった!

「体調が悪かった」
「気の迷い」
「私、なんでこんなことを言っんだろう」
‥‥う〜ん、どれもダメな気がする。悪口の内容によるけれど、最悪のときは、
「言い訳はできないし、謝っても許してもらえないよね」

――と、全面降伏するかな。

だから私は基本的に人の悪口は言わないようにしているのだけど、悪口をいうことになったときは必ず逃げ道を作ることにしているの。たとえば「ケチ」とは言わず「しっかり者」、「仕事ができない」とは言わず「いるだけで和む人」というとかね。イヤミと言われようが、毒を抜いて話す癖をつけると舌禍が少なくなるんじゃないかしら。

【ケース4】ドタキャンしないといけなくなった!

中年期以降は「体調不良」を言い訳にして謝ると誰も何もいえません。ただし、本気で心配されるような病気は言わないこと。
「風邪をこじらせて治らないからごめんね、今日は遠慮させてもらえる?」

――って言うかな。みんなに迷惑をかけたくない、という気持ちを込めて。この方法は大昔、マナー講師の先生に取材したときに教わりました。67才になったいまは実感を伴って納得しています。老いには勝てないってことよ。

 

私は高校卒業後、すぐに就職したのだけれど、職場には同じ高校から就職したKちゃんという子がいたの。その子は私から見たら鈍臭く、決して社交的でもありません。ところがしばらく一緒に働いてみて、彼女にしかない才能に気づいた。

それは、高圧的な物言いをする社長に叱られたとき、肩を内側に入れて身を小さくし、「すみません」を繰り返すこと。言い分があっても言葉にはしないで、唇を尖らせ、上目づかいで社長をチラッと見る。
「なんだ、何か言いたいことがあるのかッ!」
と言われると、
「いえ、すみません。ありません」
と、さらに肩を丸くして“叱られている”という形を作る。そうなると、社長も怒りようがなくなって、しまいには笑い出していたわね。

頭ごなしに叱られると、人は詫びるより先に反論したくなるもの。でも言い返したら火に油。私はKちゃんから、“お詫びとは形が大事”ということを学んだ。この手法は私も活用し、仕事上でずいぶん役に立ちました。叱られる。黙る。俯く。一拍置いた後におずおずと、「あのー、いいですか?」とそろりこっそり言い分を言う。売り言葉に買い言葉で返すより、何倍もうまくいきました。

まぁ、これらの対処法は、あくまで私の場合。参考にできる部分があれば何よりです。

 

◆ライター・オバ記者(野原広子)

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1957年、茨城県生まれ。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、「AKB48」のなりきりなどにも挑戦。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)をはじめ、テレビ番組にも出演。現在は週刊誌『女性セブン』にエッセイ「いつも心にさざ波を!」を連載するほか、各地で講演会も開催。主な著書に『で、やせたの? まんがでもわかる人生ダイエット図鑑』(小学館刊)。

 

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