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《体験レポート》68歳オバ記者が「“市中引き回し”を辿る」イベントに参加 「厄落としにもなりそう」「背筋がゾクッとした」

オバ記者
オバ記者68歳になりました
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ライター歴46年を迎えたライターのオバ記者こと野原広子。3月で68歳となり、上京50年目という節目の年を迎えた。そんなオバ記者が「上京50年目」にふさわしい(?)イベントに参加。『“市中引き回し”を辿る』と題するそのイベントの様子をリポートする。

* * *

上京して50年、ついに68歳に

3月に68歳の誕生日を迎え、茨城の農業高校を卒業して上京してちょうど50年。これまでダラダラと時の流れるまま、野生の勘を頼りに暮らしてきたけれど、半世紀となると話は別だって。

なにせ18歳で文京区の靴屋の住み込み店員になったときは、人様の足元にひざまずいて「とてもお似合いでございます」と神妙な声を出せと南方帰りの社長に仕込まれていたのよ。それが何がどうなってこうなったのか、われながら不思議で仕方がない。

野生の勘がまったくはたらかないこともよくあるしね。そんな時に私が頼るのが占術家で心理テスト作家の森冬生さんなの。

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占術家で心理テスト作家の森冬生さん
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11月から来春まで「強運」

まぁ、ご縁がある人って赤い糸が一本じゃないんだね。たとえば森さんの誕生日は私の母親といっしょ。私が生まれるずっと前に亡くなった祖父の出身地は森さんと同じ。「そのおじいさんの生家の住所、わかる?」と聞かれたから「前に戸籍を調べたら近くに川が流れていたよ」と言うと、「うちもそうだよ」だって。

でね、森さんの「五季十色占い」によると私は“萌木(もえぎ)の風”で注目されると張り切るタイプ。で、都合の悪いことはすぐにリセットしちゃうんだって。反面、飽きっぽい。ノリがよすぎて秘密を漏らしてしまいがちって、言われたらその通りだけど私、そうとうヤバくない? そして今年は11月から来年の春まで強運だからそこを目掛けて仕込むといいんだって。

「どのみち仕事運はずっといいですよ」と言うから、「良縁はないの?」と欲を出したら、「またまたぁ。本気で言ってないでしょ。本気じゃないことは占えません」とバッサリ。

“市中引き回しを辿る”イベントに参加

もうひとつ、先日は上京50年にうってつけのイベントに参加したの。名付けて『“市中引き回し”を辿る』。このイベントの首謀者、いや、主催者は立正大学法学部教授の丸山泰弘さんで専門は刑事政策や犯罪学。というと何やらおっかなそうだけど、以前、お会いしたときに自己紹介で「主に薬物やってます」ってそう言ったのよ。「えっ?」と顔を見たらインテリ顔。「あ、犯罪学の研究者は『詐欺やってます』とか『殺人やってます』って言うから誤解されるんですよ」とかわされた。ほんと、エッジが効いた教授だわ。

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イベントの主催者である立正大学法学部教授の丸山泰弘さん
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でね、その丸山ゼミの皆さんに混じって、市中引き回しに「行くよね?」と私をたぶらかしたのは、『めざせ!ムショラン 三ツ星』の著者で刑務所の管理栄養士の黒柳桂子。私の”ムショ仲間”のひとりだ。市中引き回しは時代劇で見聞きした程度で、本当のところは何も知らない。だけどものすごく興味はある。引き回された江戸の罪人の気持ちに想いを寄せたら厄落としにもなりそうな気もする。

黒柳桂子さん 阿部祐介さん 串田大我さんとオバ記者
オバ記者の右側が黒柳桂子さん
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というのも、私の住まいの地域は江戸時代の地図そのまんまなのよ。当時のままの細い横道を見ると江戸の裏長屋が立ち上がってきそうよ。市中引き回しの出発点の小伝馬町牢獄跡地までは徒歩10分。

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小伝馬町牢獄跡地
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「さらし首がズラッと並んだ」で背筋がゾクッ

当日は牢獄跡から出発してまずは日本橋。ここで丸山教授から「昔はこの広場にさらし首がズラッと並んだんですよ」と教えられたら背筋がゾクッとした。そこから八丁堀、京橋、銀座、新橋から三田まで神社から神社の渡り歩き。日本橋市中引き回しをされる罪人は馬に乗せられた後、後ろ手に縛られたていたけど、それを引率する大勢の見届け人は徒歩だったんだって。

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牢獄跡を出発して日本橋へ
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なぁ〜んて話を聞いているうちはよかったのよ。東京に住んだことがない黒柳はしだいに無口になり、三田でランチ休憩をしたら「お先に失礼します」と離脱しちゃった。「ふん、意気地なしっ」と私は慶應大学の前を通ってどうにか飯倉まで足を運んだけれど、あああ、神谷町までの登り坂でピタリと動かなくなった! 聞けばこのあと溜池から赤坂、市ヶ谷、小石川、上野、浅草へ向かい、また小伝馬町まで戻っていよいよ処刑という段取り、ムリムリ、冗談としか思えません。気づいたら挨拶もそこそこに近寄ってきた都バスに飛び乗っていたのでした。

後で調べてみたら私が歩いたのは1万8000歩でせいぜい12、13km。全行程の半分にも満たなかったんだよね。ああ、悔しい。悔しすぎるわ。というわけで68歳。目先の目標ができちゃった。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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