
刺激的で便利な東京、自然に恵まれた下田、二つの住まいを行き来する藤原美智子さんと杉山絵美さん。4年前から夫婦で集う“下田の仲間”となり、心豊かな暮らしを楽しんでいました。エイジレスに輝く50~60代女性に向けた、すぐに役立ち毎日を前向きに過ごすヒントが詰まった実用ムックシリーズ『reShine春号』から藤原さんと杉山さんのインタビューを一部抜粋して紹介する。
年を重ねた今だからこそ“自分らしく”輝いて“
17年前から東京と静岡県・下田 の二拠点で暮らす藤原さん。目にする風景が変わることで、両方の魅力を再発見できるといいます。


「この年になると何ごとにも新鮮味がなくなってくるの。だから、自ら変化を演出し、脳や感覚を気持ちよく、くすぐるんです」
本来、人間は年齢を重ねると変化を嫌いがち。「でも、私は、老いても冒険を楽しみたい」と屈託のない笑顔で話す藤原さん。好奇心旺盛な藤原さんにとって、新しいことを始めるのは自然なことのようです。3年前に藤原さんはヘアメイクアップの仕事を卒業し、「ビューティ・ライフスタイルデザイナー」という新たなステージに立ちました。それは、「内面からの真の美を作りたい」という積年の思いからだったといいます。

「60代半ばを過ぎたとき、あと20年で平均寿命だ!と気づきました。もともと決断は早い方でしたが、それからは、よりスピーディーに。他人がどう思おうと関係ない、とシンプルに考え、生きられるようになったんです」
リシャイン世代は子育てなどを終え、自分が好きなように生きやすいはず。「今の時間を有意義に使わないともったいない」と藤原さん。
「SNSの影響で人と比べて自分に自信をなくしたり、あふれる情報にさらされて自分の好きなものが分からず、迷子になっている人が多い気がします」
藤原さん曰く、人の目や流行に左右されていては、自己肯定感が下がっていくばかり……。

「その人ならではの美しさは、ライフスタイルや生き方を通じ、内面を豊かにすることで育まれていくものだと思うんです。また、周囲を気にし過ぎると、決断や行動ができなくなり、次第に面倒に思うようになってしまいます。『面倒くさい』は、雪だるま式に増えていきますから」
「あれこれ考える前に、自分の感覚を信じて動いてみては?」と藤原さんは提言します。
「間違っていた、と気づいたら途中で軌道修正すればいいんですから。小さなことでも自分で決断し、行動できると自信がつきます。その積み重ねの結果、自己肯定感が高まっていき、自分らしく輝けるようになるはずです」藤原さんと“下田の仲間”料理家・杉山さんの一日を追いました。

春の陽気に誘われて海辺でピクニック
麗らかな春の午後、浜へピクニックに繰り出した藤原さんと杉山さん。ともに東京と下田に住まいを持ち、頻繁に食事をする”下田の仲間”です。藤原さんと気兼ねなく会える仲になったことは、「下田の奇跡」と杉山さんは言います。


「人生の師となる先輩ご夫婦に出会えたんですもの。夫は十紀人さん(藤原さんの夫、デザイナー・吉田十紀人氏)の大ファン。車やバイク、アウトドア、ファッションと趣味人な十紀人さんとお話をするのが楽しみなんです」
海と山に囲まれ、天然のBGMでアウトドアを楽しむ
事前の約束はなく、散歩中に会ってそのまま食事をすることも。「おおらかに集えるのは時間に縛られることなく過ごせる、この地だからこそ」と杉山さん。
海と山に囲まれた下田は波音、川のせせらぎ、鳥の声など天然のBGMを聴きながら、のんびりと過ごせる自然豊かな場所が豊富。十紀人さんの影響でアウトドアの世界を知るようになった藤原さん。折りたたみテーブル、クロス、鍋、食器やカトラリーと手慣れた様子で次々とセッティングがされていきます。


「子どものころのピクニック体験を思い出し、外で食べるご飯の美味しさを再認識できるんです」
十紀人さんはスウェーデントーチに着火。トーチが崩れて薪火になったらBBQが始まります。


杉山さんは手際よくチーズフォンデュの準備へ。チーズフォンデュは十紀人さんの十八番で、本場スイスでは誰もが気軽に食べる身近なものだとか。
「チーズフォンデュはスイスの国民食。家ごとに”おふくろの味”があるんだと思います。十紀人さんのレシピはエメンタールとグリエールチーズを白ワインで溶かしたシンプルな大人の味。恭は、神戸・弓削牧場のカマンベールチーズを入れてまろやかにアレンジしました」


チーズを溶かしながら手早く前菜やサラダを並べていく杉山さん。白ワインを片手に料理をつまみ、トーチの炎を眺めながら、会話も弾みます。芳醇なチーズの香りが漂いはじめたらフォンデュ鍋を囲み、薪火が整ったら、メインディッシュのBBQへ。心地よい潮騒と海風を感じながらいただく絶品料理とお酒。自然の中で優雅に過ごす、とびっきり贅沢な時間が過ぎていきます。
◆藤原美智子さん
ビューティライフスタイルデザイナー、MICHIKO.LIFEプロデューサー、信州大学特任教授。1958年生まれ。1980年に美容学校卒業後、松永タカコ氏に師事し、1982年に独立。美容の第一線で活躍中の1992年に事務所「ラ・ドンナ」を設立。受賞歴も多数。2017年からはオリジナルブランド「MICHIKO.LIFE」を展開。2022年にヘアメイクアップアーティスト引退と、「ラ・ドンナ」の解散を発表し、現職に。
◆杉山絵美さん
料理家、ライフスタイルプロデューサー。大学卒業後、渡英。フラワーアレンジメントやエンターテイニング、クッキングなどを学ぶ。帰国後はクリスチャン ディオールの広報職を経てPRエージェンシー「STEP inc.」を設立。その後、現職に。スイーツやレストランなど幅広く食のプロデュースを行う。ファッションメディア『VOGUE JAPAN』『エスクァイア』『25ans』をはじめ連載多数。著書は『おうちで作るセレブごはん』(中央公論新社)。また2冊目の料理本『杉山絵美の30分で完成!毎日のごちそう』(宝島社)が4月23日に出版。料理動画『GOOD FOOD SUNDAY』をYouTubeで配信中。
『reShine春号』では、山口智子さんが表紙を務める。インタビューでは山口さんが60歳からのリ・スタートについて語る。また、リアルに交友のある著名人同士<岸谷香さん×久保純子さん><木佐彩子さん×佐々木明子さん>らが、今だからこそできる日々の楽しみ方や自分アップデート法を本音でトーク。一方、「ソロ活でアラカンはもっと輝く!」をテーマに、子供が巣立った亜希さんのおひとり様レシピ、富岡佳子さんの自分の時間を豊かにするソロ活も紹介。白髪と薄毛完全対策、60歳からがかっこいいパリマダム式ヘアメイクなどの特集も掲載している。
撮影/神谷誠 構成・文/坂口みずき ヘアメイク/永田紫織(杉山さん分、Nous)
※『reShine』2025年春号