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宇多田ヒカルが「量子力学」に夢中 世界最大規模の素粒子物理学施設CERNを訪問し「コーチェラよりうれしいかも」楽曲作りのインスピレーションを得ることも 

スイスの素粒子物理学施設「CERN」を訪問した宇多田ヒカル(写真/GettyImages)
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頭にはしっかりとヘルメットをかぶり、巨大な研究機器を見上げて目をらんらんと輝かせるのは、希代の歌姫・宇多田ヒカル(42才)。彼女が少女のような表情を見せたのは、科学やテクノロジーを扱う雑誌『WIRED』日本版(3月26日発売号)の誌上でのこと。取材班とともに、スイスにある世界最大規模の素粒子物理学施設「CERN」(欧州原子核研究機構)を訪問した。

「CERNは1954年に欧州12か国が設立した研究所。各国から拠出される年間予算は約1000億円で、世界中から1万人以上の研究者が集まっています。目玉は全周27kmという『大型ハドロン衝突型加速器』。宇宙を構成する最小の粒子である『素粒子』を光速の99.9%まで加速して衝突させる実験を行い、宇宙の成り立ちを調べています」(科学ジャーナリスト)

宇多田にとってこの施設は、10年来の憧れの場所だったという。

「彼女は喜々として《正直、コーチェラのメインステージに立つよりうれしいかもしれません》と語りました。『コーチェラ』とは、アメリカで開催される世界最大級の野外音楽フェスのこと。アーティストにとって最高の舞台ですが、彼女は宇宙の謎を究める現場の方が興奮するんでしょうね(笑い)」(音楽関係者)

彼女が最先端の物理学に興味を抱くようになったきっかけの1つが、2014年公開のアメリカ映画『インターステラー』だ。

「人類が滅亡の危機に瀕するなか、新たな居住可能惑星を探索するために宇宙に旅立つというストーリーです。ジャンルはSFですが、のちにノーベル賞を受賞する理論物理学者が監修を務めるなど、リアルな物理学の知識もふんだんに盛り込まれた“超本格派”。宇多田さんはこの映画にどハマりし、大好きな映画としていちばんに挙げているのは有名な話です」(前出・音楽関係者)

宇多田にとってCERNは『憧れの場所』だったという(WIREDのHPより)
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物理学のなかでも特に宇多田が夢中なのが「量子力学」という分野だ。

「量子力学とは、原子などのミクロの世界の法則を探究する学問で、従来の物理学では説明できなかった現象を扱います。特に有名なのが『量子もつれ』という現象。ミクロな粒子同士が、宇宙の果てほどに離れていたとしても、ピタッとシンクロした動きをするという不思議な現象で、かつてはあのアインシュタインも“オカルトだ”ときっぱり否定していました。

しかし、2022年に『量子もつれ』を科学的に証明した研究者たちがノーベル物理学賞を受賞し、大きな話題に。今後、解明が進めば、テレポーテーションの実現にもつながるといわれています」(前出・科学ジャーナリスト)

日夜研究に励む現役の科学者たちをも唸らせる難解な分野で、感覚的には理解しがたい不思議な現象なのだが、天才的なセンスを持つ彼女は妙に引きつけられたようだ。

「仕事はしっかり選ぶ彼女ですが、NHKから『量子もつれ』をテーマにした番組のナレーションを依頼された際は、二つ返事で快諾。さらに楽曲作りでもインスピレーションを得ているとか。昨年、デビュー25周年という節目に発表した2曲は、どちらも量子力学の概念からヒントを得たそうで、実際《あなたはどの銀河系出身ですか?》などの歌詞が登場します」(前出・音楽関係者)

最先端の科学と彼女の音楽は、どこか通じるものがある──。

※女性セブン2025年5月8・15日号

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