4月上旬、豊川の姿は自宅近くの神奈川・鎌倉にあった。その日、豊川は愛犬の黒いトイプードルを連れて海沿いの道を散歩したのち、地域住民との交流を楽しんだ。
「見た目はいたって元気そうですが、実は豊川さんは重い病気を抱えているそうで、その病気と向き合いながら仕事を続けていると聞きます」(豊川の知人)

大阪出身の豊川は関西学院大学中退後に上京し、劇団員を経て1989年に映画『君は僕をスキになる』でデビュー。1992年のドラマ『NIGHT HEAD』(フジテレビ系)でブレークして以降、中山さんとの映画『Love Letter』やドラマ『愛していると言ってくれ』、『青い鳥』(ともにTBS系)などの人気作品に立て続けに出演し、1990年代を代表する売れっ子俳優となった。
プライベートでは1997年に12才年下のヘアメイクと結婚して1男1女に恵まれるも、2005年に離婚し、子供は前妻が引き取った。
「その後、元エステティシャンの女性と事実婚状態が長く続き、2015年に彼女が女児を出産したタイミングで入籍して、家族で鎌倉に居を移しました」(前出・芸能関係者)
新たなスタートを切った豊川はますます俳優業に精進を重ねた。
「若い頃はトレンディードラマがメインでしたが、年齢を重ねるとともに役の引き出しが増え、渋さや迫力がある演技が光るようになりました。私生活では年に数回、大好きなハワイで息抜きするものの、基本は仕事第一。多いときは年に十数本の映画出演をこなし、常にストイックに演技に打ち込んでいます」(前出・映画会社関係者)
撮影できないシーンもあった
近年は『地面師たち』だけでなく、2022年公開の映画『キングダム2 遥かなる大地へ』、2024年にAmazonプライムで配信された『No Activity』シーズン2など話題作への出演が相次いだ。だがその間に体は少しずつ悲鳴をあげていた。昨年11月、豊川はかねて痛めていた腰の手術に踏み切った。
「豊川さんは若い頃から腰痛持ちで、2018年公開の映画『パンク侍、斬られて候』の撮影中にギックリ腰を発症し、少しでも症状を和らげるべく、共演の綾野(剛)さんに1時間近くマッサージをしてもらっていたことがありました。
古代中国の覇権争いを描いた『キングダム2』では合戦シーンの撮影中に腰痛の強烈な痛みにより動けなくなり、激しいアクションシーンなど、一部撮影できないシーンもあったそうです。責任感の強い豊川さんは今後の仕事で迷惑をかけないためにも、忙しいスケジュールの合間を縫って腰の手術に踏み切りました」(前出・豊川の知人)
しかし、手術をしてもなお、この腰の痛みが続いているという。
「腰だけでなく背中や首筋にも激痛が広がり、鎮痛剤をのんでも効果がなかった。かなりの回数に及ぶ通院や治療を重ねるなかで、あらゆる可能性に備えなければいけない状況になっていったそうです。要はただの腰痛ではなかった。これから長期にわたって治療が必要で、長くつきあっていかなければならないと考えているようです。
いまは元気ですが、数か月先にどんな体調の変化があるか……だから、この秋の『地面師たち』の続編の撮影を、大事をとってキャンセルしたのでしょう」(前出・豊川の知人)

3年前に還暦を迎えた豊川は、健康志向を強めていたという。
「もともとかなりの愛煙家でしたが、数年前に“体に悪い”と禁煙を開始しました。最近は健康を気遣って仕事のペースを少し落とし、家族と過ごす時間を増やしてワークライフバランスを大切にするよう心がけていたそうです。本人は“なんでこのタイミングで……”という思いが強いでしょうね」(前出・豊川の知人)
所属事務所に尋ねたところ、こう回答した。
「現状、明確な診断が下されてはおらず、腰の治療と同時にさまざまな検査にあたっているところです。今後もお仕事は続けてまいります」
人生の難所にさしかかったが、豊川は逆境に動じない「美学」を持つ。
「豊川さんは若い頃から素の自分を表に出したくないという意識が強く、『笑っていいとも!』や『徹子の部屋』といったトーク番組は何度出演依頼が来ても断っていました。彼は“勝ち目のないことには抗わない”“何かを失えば、必ず何かが手に入る”という信念を持つことを度々口にしており、いまは自分の状況と向き合いながら、そこから何を得ようか思案しているところでしょう。この先は大切な家族のために壮絶な闘病を続ける強い覚悟を持っているようです」(前出・豊川の知人)
豊川の苦悩と悲哀に満ちた演技を待ち望むファンはあまりにも多い。
※女性セブン2025年5月8・15日号