
コーヒー人気は勢いを増し、産地や味わいはより複雑に進化中。「基礎知識を身につけると、自分好みの味を選びやすくなります」と『猿田彦珈琲』ヘッドバリスタの伊藤大貴さん。日本一のバリスタが素朴な疑問を分かりやすく解説!
Q.産地による味の違いを知りたい
A.4つのエリアで覚えると選びやすい!
「コーヒー豆の生産地は主に赤道直下の暑い国。ワインのようにテロワール(土地・風土)の影響が強く、産地によって味が異なります。アフリカ、中米、南米、アジアの4つのエリアの特徴を覚えれば、味を区別しやすくなりますよ」(伊藤さん・以下同)
アフリカ
標高2000m級の産地が多く、フルーティーで酸味がある。キリマンジャロなどおなじみの銘柄も。
主な生産国:エチオピア、タンザニア、ケニア、ルワンダなど。
中央アメリカ
苦味と酸味のバランスがよく、比較的飲みやすい。
主な生産国:パナマ、コスタリカ、グァテマラなど。
南アメリカ
世界一の収穫量を誇るブラジルを筆頭に、酸味が少なく、ナッツやチョコのような香ばしい風味が特徴。
主な生産国:ブラジル、コロンビア、ペルーなど。
アジア
スマトラ島のマンデリンに代表されるように、どっしりとした苦味と濃厚な旨味がある。
主な生産国:インドネシア、パプアニューギニアなど。
Q.レギュラーコーヒー(粉)をおいしく淹れるコツはある?
A.粉はガスが少なく湯抜けが早いので、ゆっくり注いで
「粉は豆を挽いてから時間が経っているので、酸化が進みガスが抜けています。そのため、湯の抜けも早いので、なるべくゆっくり注いで抽出すると、よりおいしく仕上がります」
点滴のようにポタポタ抽出
95℃の湯を粉全体に注ぎ、40秒蒸らしたら粉の中央めがけて10秒に1回程度ゆっくり注ぐ。コーヒーがポタポタ落ちればOK。

2分経ったら湯量を増やす
粉が膨らんで沈み切る前に次の湯を注ぐ。これを繰り返し、開始から2分経ったら、コーヒーが線状に落ちるまで湯を増やす。

3分30秒で抽出量は200ml
湯を全て落とし切ると渋味が出るので、抽出量が200mlになったらドリッパーを外すこと。

抽出時間は3分30秒を目安に。

Q.挽き方で味は変わるの?
A.細かいほど苦味が強くなります
「粒子が細かいほど濃く抽出できるので苦味は際立つように。粗くなるほど酸味が出て、味は薄くなる傾向に。家庭でペーパーフィルターを使う場合は、バランスのよい“中挽き”が適していますよ」

Q.家でも使いやすいおすすめのドリッパーは?
A.1つ穴の円錐型が失敗しにくい
「穴が1つのタイプは湯の抜けがよいため、注ぐ速度や量を調節しやすく、えぐみや渋味も出にくい印象。

特にハリオの『V60』は世界中で親しまれており、初心者にもおすすめ。500円前後で買えるものも!」

ペーパーフィルターは白と茶色の2種類がある。漂白された白の方が、紙の香りがコーヒーに移りにくい。
Q.長持ちする豆の保存法は?
A.密封して冷凍保存が正解!
「コーヒー豆は焙煎後2週間くらいが飲み頃。袋を開けた瞬間から酸化が始まるため、密封できる保存袋に入れて空気を抜き、冷凍室に入れれば1か月以上保存できます。湿気を嫌うので冷蔵室は絶対にNG!」

最高峰のバリスタを輩出するカフェに注目!
伊藤さんおすすめの店など、注目の2店を紹介。
大学とコラボして新たな味を追求『猿田彦珈琲』
『猿田彦珈琲』は、昨年駒沢大学駅店をオープン。コーヒーと地域とのつながりを大切にしており、駒澤大学珈琲研究会の学生らとコラボした『駒澤ブレンド』も提供している。

4月27日に東京大学構内に最高級豆のみを使用した新店舗が開店!

◆猿田彦珈琲 駒沢大学駅店

住所:東京都世田谷区上馬4-3
世界が認めたトップバリスタの店『REC COFFEE』
オーナーの岩瀬由和さんはジャパンバリスタチャンピオンシップ2連覇、ワールドバリスタチャンピオンシップで準優勝した経歴を持つ。

トラックでの移動販売から始め、福岡に6店舗、東京と台湾に各2店舗を展開。

黄金比率で仕上げた『レックコーヒーラテ』(600円〜)は、エスプレッソとミルクのシナジーを感じる逸品だ。
◆REC COFFEE 薬院駅前店

住所:福岡県福岡市中央区白金1-1-26 1F

◆教えてくれたのは:『猿田彦珈琲』ヘッドバリスタ・伊藤大貴さん

国内最高峰のバリスタを決める『ジャパン バリスタ チャンピオンシップ』の2024年大会で優勝。今年10月に開催される世界大会に出場予定。
撮影/玉井幹郎、深澤慎平、田中麻以 取材・文/岸綾香
※女性セブン2025年5月8・15日号