【本当に必要なのか?】見直すべき「治療」「薬」「健康食品」 人気の自由診療、民間療法に潜むリスク、「にんにく注射」や「高濃度ビタミンC点滴」には健康効果のデータなし
健康効果のデータがない「にんにく注射」や「高濃度ビタミンC点滴」
日本人の死因1位であるがんも、医療の進歩により「治る時代」になった。しかし、治療を進めるうえで安易に近づいてはいけないのは自由診療だ。銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんが言う。
「がんのNK細胞療法など保険適用のない免疫療法は、高額なうえにエビデンスが不充分。頼ることで標準治療を受ける機会を逃し、助かる命が助からないリスクもあります」
美容や健康目的の自由診療や民間療法のリスクを指摘するのは、室井さんだ。
「採取した血液にオゾンガスを入れて体内に戻す『血液クレンジング』や、培養した幹細胞を点滴で体に入れる『幹細胞培養上清液(エクソソーム)療法』が人気ですが、受けるべきではありません。老化防止や疲労回復、さらに免疫力アップでがんにも効果があるとうたわれていますが、有効性が証明されていない。
がん細胞を活発化させる可能性もあり、実際、肺がん患者にエクソソーム療法を行ったところ、がん細胞が異常に拡大したケースがあります」
産業医・内科医の森勇磨さんは疲労回復の「にんにく注射」や、美容目的の「高濃度ビタミンC点滴」には得られる健康効果のデータがないと注意を促す。

「プラセボ(偽薬)効果を得られる人はいますが、実際の効果はありません。ビタミンは点滴で摂っても尿として排出されてしまいます」
長澤さんによれば、「ホメオパシー」もプラセボ以上の効果がなく、持病のある人が行えば悪化して重篤になることがあるという。
サプリメントや健康食品をせっせと口にする人もいるが薬ではない以上、治療効果を得られることはない。
「膝関節用のサプリとして人気の『コラーゲン』『グルコサミン』『コンドロイチン』は、いずれも臨床的に明確な効果は認められていません。日本整形外科学会も推奨しておらず、食品扱いです。サプリをのむなら軟骨のから揚げを食べた方が効果が期待できるかもしれません」(長澤さん)
医療情報は玉石混交。自分で何が正しいのかを考え、健康と向き合おう。




※女性セブン2025年5月8・15日号