
5月になり東京の各地でお祭りが行われているが、江戸三大祭りの1つである神田祭が開催された。久しぶりに参加したというライターの野原広子(68歳)がその様子をリポートする。
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神田祭に多数の神輿が!
朝から奇声が聞こえてきて飛び起きた! 私の住む集合住宅は築20 年以上とはいえ、わりと防音装備がしっかりしている。人の声が届くことはまずないんだよね。
「なにごと?」
と、階下に降りて行く途中で「そうか、神田祭だ」とガッテンした私。神田明神のお膝元の町内から多数の神輿が繰り出したそうだから、神田の端っこのわが町会もそりゃあ賑やかよ。
秋葉原に住んで8年。29歳から40年、東京でひとり暮らしをしているのだが、どこでも健やかに寝起きできるものではなくてね。「ひとり暮らしに向く街、向かない街」という情報が出回っているわけではないし、不動産屋さんに聞いても「人それぞれ」と言われるのがオチだけど、こればかりは野生の勘だよね。

家族連れと外国人観光客がごちゃ混ぜの秋葉原はくつろげる
あえていえば何かあった時に走って逃げられないから治安の悪い街はダメ。かといってガッツリ家族連れで固まっている安全安心の街はもっとダメ。気持ちが落ちている時に子供の騒ぐ声、親が叱る声、または笑い声は“害毒”なんだよね。「これまで気楽なひとり暮らししておいて何寝ごと言ってるのよ!」と怒る人もいるけど、鋼鉄の心臓だって不整脈を起こすこともあるの。
そんな意味で家族連れと外国人観光客とひとり暮らしがごちゃ混ぜの秋葉原はものすごくくつろげるんだわ。さらに区のスポーツセンターで声をかけてくれたのが20 歳で隣の町内に嫁いできたM子ちゃんでね。50代後半というけれど週に5日はジムで鍛えているだけあって、まぁ、ほれぼれするほどの体型の人よ。
さらに並外れたコミュ力の持ち主で”神田の女”のお仲間が大勢いる。そして何かにつけてその輪の中に私を入れてくれるんだわ。そんなM子ちゃんの体型がますます絞れてきたと思ったら、毎日、神田祭で叩く太鼓の稽古をしているのだとか。
「毎日?」「そう、毎日よ」とこともな気にいうM子ちゃん。祭りにかける意気込みが伝わってきて私まで江戸っ子みたいな気分になるから不思議。祭りに関わっているご近所が出来ると、こんなに見える景色が変わるとは思わなかったわ。
そうそう。神田祭の写真を撮りまくって気が付いたんだけど、何か規制がかかっているのかしら。神田祭は活気はあるけどどこかお上品! そう思えたのは私の気のせいかしら。
◆ライター・オバ記者(野原広子)

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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