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ブランド品の買い取り店が人気 高値でも手放せない理由は?68歳オバ記者が綴る経験談

オバ記者
ブランド品手放せる?
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ブランドショップやブランド品の中古品販売店が、外国人で賑わっているという。ならば、売る側にとってもチャンス到来だが、いざ売るとなると手放せない人が多いようだ。そんな人たちにライターのオバ記者こと野原広子(68歳)が自らの経験を綴る。

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有名ブランドショップが品薄に?

「不要品、売るなら今だよー」と人を見れば言っている私。

コロナ前、いや、それ以上だよね。インバウンドっていうの? 銀座、日本橋、新宿、渋谷に外国人を乗せた観光バスが押しかけて、有名ブランドショップでは商品がないというではないの!

「ほんとなんだって。会社を定年退職した記念にブランド店にスカーフを買いに行ったら、店内に商品はあるけどただの飾り。『お売りできるのはこれとこれだけです』と店員がしれっと言うのよ」と、新品のスカーフを首に巻いたA子ちゃんは口を尖らせるの。

別に有名ブランドショップに用事はないけれど、ここまで言われたら見ずにいられない。いやいや、ほんとなんだね。どこの店とは言えないけれど、商品がないせいか店員さんも顔から正気が抜けている。

手放せないのは「あの時」があるから?

売れているのは新品ばかりじゃない。去年、金の値段が高騰していると聞いて、ありったけの貴金属を売り払ってから、ときどき出入りしている上野のブランド品買い取り店のYさんは、「外国の観光客がなんでも買ってくれます。ブランドではない靴や着物、汚れたスカーフもブランド品なら売れます」と言うんだわ。それからときどき店をのぞくんだけど、まぁ、大きなバッグを抱えた人が次から次よ。

そうなんだよね。68歳の私にとって「ついこの間買った」と思っていてもよくよく考えると10年、いや、20年経っていたりする。「流行に左右されない」と言われて買った金の指輪もピアスもしみじみ見ると古物感が滲み出ている。ブランドバッグも重く感じたり、古びて見えたりして最後に使ったのはいつだったか思い出せない。それでも手放せないのは「あの時高かった」「あの時、誰かにほめられた」と「あの時」があるからなんだよね。

オバ記者
去年断捨離した時に処分してしまったエルメスのニットジャケット
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あのねー、なら聞くけど、そんなに「あの時」に未練がある? もう一度、「あの時」やりたい? いや、やりたいと言ってもムリ、ムダだし、早い話、寝言だよね。寝言いってないでさっさと片付けちゃおうよと、自分と自分の周りの人に言って回っているわけ。手放す時はちょっと寂しい物もあるけれど、不思議と目の前から消えると忘れちゃうよ。

“びんびん”の野村宏伸さんと

先日、ちょっとした用事で新橋に行った帰り、歩けるところまで歩こうと思い立って、古いガード下をくぐったところで動けなくなったの。「新橋二丁目」の表示の横に「東海道線 二葉橋ガード」とある。ふむふむ、町名と旧国鉄の表示名が違ったのねと見当をつけてからググっと視線を下に下げたら「烏森町橋」と3つ目の名称が! 新橋みたいに古い町は橋の名前も上書きしたのが残っているんだね! それから銀座までのガード下を歴史散歩。こういうことを面白いと思えるのも私が歳を重ねたからだよね。

オバ記者
歩いていたら通りかかったニコライ堂
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で、先日は田原俊彦主演の『びんびんシリーズ』で榎本英樹役だった俳優、野村宏伸さんと、へへへ、ちゃっかりツーショット。彼が経営する高田馬場栄通りの割烹居酒屋『ひさご』で、ほぼ初対面の人が集まる飲み会だったんだけど、面白かったなぁ。

オバ記者
野村宏伸さんとオバ記者
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野村さんに「いいお顔になって歳をとりましたね。若いころはいい男過ぎて怖かったけど」と言ったら、「ああ、うれしいなぁ〜。実はオレもそう思うんですよ」と返ってきてこの笑顔。芸能界だけじゃないね。若いうちは性格の悪い美男美女がけっこういるけど、40代に入ると顔立ちより顔つきが表に出てきて、ただの性格の悪い顔になる。てか、美男美女はそのお人柄が際立ってくると私は勝手に思っているの。

で、野村さん。良いことも悪いことも一般人なら経験しないことをくぐり抜けてきたはずなのに60歳でこのお顔! お見事です。

そんなこんなで、身辺をスッキリ片付けて、私もいい顔で歳をとりたいなとそう思った1週間だったのでした。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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