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《葬儀費用にまつわる誤解》“家族葬なら安い”わけではない、お香典のある一般葬の方が持ち出しが少ないことも 自治体が提供する葬儀でも安くなるとは限らない

葬式
葬儀にお金がかからないは間違っている(写真/イメージマート)
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結婚、子育て、家のローン、旅行や教育費など、人生にかかるお金はさまざまある。年を重ねてから考えたいのは、介護や看取り、葬儀や相続などをこれまでの貯蓄や年金収入でどうまかない、何を残すかという、まさに“総決算”だ。人生最後に大損しないための最新情報をまとめた。

家族葬や「互助会の積み立て」も安いわけではない

終活に関する情報サービスを提供する鎌倉新書の調査(2024年)によると、葬儀費用の平均は一般葬で約161万円、家族葬で約105万円、火葬のみの直葬で約42万円。コロナ禍を経て葬儀の規模は縮小しつつあるといわれるが、だからといって「葬儀にはお金がかからなくなっている」というのは勘違いだ。相続・終活コンサルタントの明石久美さんが言う。

「葬儀費用を左右するのは参列者の人数です。家族葬も一般葬も、違うのはこれらの規模。規模を小さくしても内容は同じですし、むしろ、お香典やお花をいただける分、一般葬の方が持ち出しは少ないことも。したがって“家族葬なら安い”というのは間違いです」

「互助会の積み立て」や、市民葬や区民葬といった「自治体が提供する葬儀」も、あてにしてはいけない。

「積み立てで充当されるのは、あくまでも葬儀費用の一部。また、市民葬や区民葬は役所と葬儀社が提携しているだけで、安くなるとは限らず、葬儀に必要なものすべてが含まれているわけではありません。葬儀社独自のオプション料金がかかり、結果的に家族葬より高くなるケースもあります」(明石さん・以下同)

葬儀費用を抑えたければ、事前に見積書をもらって葬儀社の候補を決めておくこと。そして、できるだけ小さな部屋にすること。“小さなホールでは貧相に見える”というのは勘違いだ。

複数の葬儀社から見積書をもらって候補を決めれば葬儀費用を抑えられる(写真/PIXTA)
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「いまは家族葬用に小さめのホールが増えましたが、葬儀でいちばんお金がかかるからと祭壇を小さくすると、ホールの大きさに対して貧相に見えてしまう。祭壇を小さくするなら部屋も小さくすることで、見栄えよく、費用も抑えやすい」

亡くなったときにかかるお金は葬儀費用だけではない。四十九日法要や納骨法要に一周忌法要なども続く。スマホ代やクレジットカードの未払い分、定期購入や年会費などにも注意が必要だ。請求を止めようと、銀行口座を閉じたり、クレジットカードを解約しても意味がない。

「契約を解約しない限り支払い義務はなくならず、“引き落としできませんでした”という通知が来るだけ。

亡くなるとすぐに銀行口座が凍結されると思っている人もいますが、凍結はあくまで銀行が死亡を知ったとき。とはいえ凍結されると記帳も入出金も振込もできなくなるので注意」

近年は子供や孫のことを考えて墓じまいをし、「永代供養の墓」を選ぶ人も増えている。しかし、永代供養の墓なら手間もお金もかからないと安易に選ぶと後悔するかもしれない。

「そもそも墓じまいには結構な金額がかかるうえ、お寺とトラブルになることも。永代供養の墓にも管理費や維持費がかかるものがあり、負担になりかねません」

高齢者施設の費用はこんなに幅広い
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※女性セブン2025年6月5・12日号

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