
羽生結弦(30才)の結婚生活は長くは続かなかったが、彼の人生観に大きな影響を与えたようだ。希代のスケーターとしてさまざまな人と出会い、ぶつかり、切磋琢磨してきた彼が、離婚を経て見いだした人づきあいの「極意」とは。
《周りの人を一〇としたとき、(中略)二割はまったく理解し合えない人》──6月10日発売の『文藝春秋』7月号で、プロフィギュアスケーターの羽生結弦(30才)は自分と他人の関係についてそう語った。
「普段はあまり掲載雑誌の宣伝をしない羽生さんが、わざわざ自身のSNSに『もしよろしければ一部だけでもぜひ!』と投稿したので、何が書かれているのか気になったファンが多かったようです。ただ、一定数の人を“拒絶する”告白だっただけに、ショックを隠せない人もいたでしょうね」(フィギュア関係者)
7月5日、宮城県仙台市に通年使用可能なスケートリンク「ゼビオアリーナ仙台」がオープンする。同日には羽生を筆頭に仙台ゆかりのスケーターが出演するアイスショー「The First Skate」が開催される。
「仙台市民限定のチケットの先行抽選には、定員1700人のところに1万1136件もの応募があり、いまも“羽生人気”が健在であることが示されました」(地元メディア関係者)
アスリートとして確固たる地位を築いている羽生は、スケート以外の私生活をあまり明かさないことで有名だが、最近は素の自分をさらけ出す機会を増やしている。たとえば自身のSNSでは、これまで多くを語らなかった2022年の北京五輪に関する思いを明かした。
「4位に終わり、三連覇を逃した自身“最後の五輪”になったわけですが、使用した音楽を聴くといまでも泣きそうになることや、当時の演技を見返したことはないといった告白を綴りました」(前出・フィギュア関係者)

そんな折、羽生は冒頭のように『文藝春秋』に『「262の法則」発見』というタイトルで寄稿した。羽生は同誌の「つながらない新生活様式」という特集のなかで、作家の角田光代さんや朝井リョウさんなど錚々たる顔ぶれとともに執筆者のひとりとして名を連ねた。雑誌への寄稿が初とは思えない筆力の高さだったが、ファンを騒然とさせたのは、文章の巧みさ以上に、その内容だった。
そもそもタイトルになっている「262の法則」とは、イタリアの経済学者が提唱した学説を基に生まれた法則で、どんな組織や集団でも「優秀な2割」、「平均的な6割」、「貢献度の低い2割」で構成されるという考え方を言い表したものだ。羽生はこの法則を人間関係に適用したのだろう。周囲の人間を、2割は《自分を理解し信頼し合える人》、6割ほどが自分に《ほどほどに好感を持つ人》で、残りの2割を《まったく理解し合えない人》と説明した。
「羽生さんは、わかり合えない2割の人に揺さぶられるのではなく、残りの8割の人の心を掴めるように日々研さんを積もうと心がけることで生きやすくなったと語っています。ただ、ここまで言い切ってしまうのは、これまでの彼らしくない言動のように感じます」(前出・フィギュア関係者)
天賦の才に恵まれた羽生の人生は孤独と隣り合わせだった。中学3年生のときに世界ジュニア選手権で優勝を果たすと、スポーツの名門高校として知られる地元・仙台の東北高校に進学した。
「入学時から世界を股にかけて活躍する羽生さんにやっかみを向ける人もいました。そんな空気感を感じとったのか、彼の方から周囲に壁をつくり、友達をつくらないようにしていたそうです。その後も、スタイルを崩さず、ずっと孤高の存在であり続けた羽生さんですが、ここまで“人間不信”を強めたきっかけとなったのは、一度は永遠の愛を誓ったあの人との別れなのかもしれません」(前出・フィギュア関係者)
信頼できるのは母だけ
スケート一筋だった羽生が《この度、私、羽生結弦は入籍する運びとなりました》と報告したのは2023年8月のことだった。妻はアイスショーで共演したバイオリニストの末延麻裕子さん(38才)だったが、2人の結婚生活はわずか3か月後の11月に終止符を打った。
「羽生さんとの結婚のために一度はキャリアを諦めた末延さんでしたが、いまはバイオリニストに復帰し、相川七瀬さん(50才)など親交のあるアーティストのコンサートや地元のイベントでの演奏をメインに活動しています。ただ、フィギュアスケート関連の仕事はゼロで、自身のプロフィールから“羽生さんとの共演歴”だけを削除している徹底ぶりです」(音楽関係者)
対する羽生も、一度も結婚生活に触れることなく、いまはひたすらスケートに邁進している。『文藝春秋』では「262の法則」に辿り着いた理由として、プロ転向後の難しさを挙げた。
「現役を退いた羽生さんの身に生じた最も大きな変化といえば、末延さんとの結婚と離婚でしょう。周囲の目を気にしてか、末延さんに対して一歩も外に出てはいけない、誰とも連絡を取るな、『一般人』で通すためにバイオリンは諦めること、などいくつもの制約を課したそうです。しかも、マンションの隣室には羽生さんの家族が住んでいて、末延さんは自由を感じられなかった。
羽生さんは妻に“羽生家の理想”を求めたわけですが、彼女はそれを理解できなかったのでしょう。結局、彼は妻ではなく家族を選んだということです。件の法則でたとえるなら、家族は信頼し合える“2”だけど、妻はわかり合えない“2”でしかなかったのかもしれません」(芸能関係者)

“信頼し合える2”のうち、羽生をいちばん近くで支え続けているのが母だ。
「現役時代は毎試合に帯同し、健康管理や衣装制作もしていました。いまでもメディアの取材や撮影には必ずといっていいほど同行していますし、写真集なども羽生さんと一緒に細かく監修しているといいます。
羽生家では、お母さんだけでなく、お父さんやお姉さんも羽生さんを全力でサポートしていて、それは結婚中も変わらなかった。妻なのに末延さんは入る余地がなかったわけです。両者の思いは通じることなく最終的に離婚に至りました。このとき、本当に信頼できるのは母だけだと痛感したのかもしれません」(前出・芸能関係者)
王者の気持ちは計り知れない。
※女性セブン2025年7月3・10日号