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「努力が報われる人」になるためのメソッド “報われない人”には「3つの思考の傾向がある」とメンタルコーチが指摘

ガッツポーズをする日本人女性・ビジネスウーマン
(写真/イメージマート)
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「私って運が悪いから、どうせ今度も失敗するに違いない」「努力が報われないのは頑張りが足りないからだ」と諦めがちなあなた。それ、頑張り方を間違えているだけかも。習慣を見直すだけで、「努力が報われる私」にアップデートできます!

「努力が報われる人」と「報われな人」
「努力が報われる人」と「報われな人」の違いとは?(イラスト/こさかいずみ)
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「自分視点」では報われない

思った通りの成果が出なかったとき、「もうダメだ」と落ち込み、「不公平だ」と誰かを恨んで「ああ、もうやーめた!」と放り投げた経験はないだろうか。

「私たちは、物事が順調に進んでいるときには感情の起伏が少なく、心が落ち着いているものです。頑張っているのに不満や落胆を感じたなら、諦める前に努力の方向を変える必要があるでしょう」と、習慣形成コンサルタントの吉井雅之さんは語る。

「私の講座に来る女性の中には、『自分は頑張っているのに、うまくいかないのは同僚や夫、姑のせい』と他者を非難するかたが結構います。彼女たちに共通するのは、自分の視点でのみ物事を判断しがちな点。報われているように見える人は、もっと広い視野で自分と相手を見ています。そこで私は、『自分視点を変えない限り、常に不満を抱え、何をやっても達成感を得られない』と忠告をしています」(吉井さん)

メンタルコーチの一条佳代さんは、“報われない人”には「3つの思考の傾向がある」と推察する。

「1つ目は、過去の評価に縛られる思考。失敗や報われなかった経験から、自分の可能性を無意識に閉ざしてしまうのです。自分が覚えていないほど小さい頃の失敗が原因という可能性もあります。潜在意識は時間の概念がないので、書き換えない限り消えません」(一条さん・以下同)

2つ目は、結果に意識が向きすぎる思考。「努力=成功」と捉えるため、失敗を無駄に感じてしまうのだ。

「取りかかる前から『やる意味あるの?』と発言する人は、特徴的な“ゼロか100思考”。しかし、努力の過程を自分の財産と思える人は、たとえ失敗しても『次はやり方を変えればいいことがわかったので、やってよかった』と前向きに捉えられます」

3つ目は、「自分は変われない」という思考。

「もう年だ、学歴がない、時間がない、家族が…と、できない理由をいくらでも見つけて、自分の未来を小さく見積もってしまいます。

“努力が報われる”とは、誰かに認められることではなく『自分自身がやってよかった』と思えること。そこに気づいてほしいですね」

[努力が報われる人の思考]と[努力が報われない人の思考]
《努力が報われる人の思考》と《努力が報われない人の思考》
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吉井さんや一条さんが指摘する思考のクセを改めるには、日々の「習慣」を見直すこと。それが、下記の20項目だ。当たり前のことばかり、と思いきや、案外できていないことも多そうだ。

「努力が報われる人」の20の習慣
「努力が報われる人」の20の習慣
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“人が離れる人”にならない努力を

「重要なのは、自分との約束を守り、それを継続すること。『よし、今日はこれをやるぞ』と張り切っても、あっという間に時間が経ち、『明日でいいか』ということ、よくありますよね。私たちは、そんなダメな自分を知っているので、基本的に自分を信用できないんです(笑い)。

だから、1日1ページだけ本を読む、1行日記をつけるなど、ハードルを下げた約束を決め、習慣にする。そうすると、約束を守っている自分自身のことが好きになり、次はもう一歩先に挑戦しようと前向きな気持ちが育ちます」(吉井さん・以下同)

中高年以降は、特に人を大切にすべき、と吉井さんは強調する。

「“人が離れていく人”になったら報われるどころではありません。人が離れていく人の特徴は、時間にルーズ、小さな約束をおろそかにする、挨拶が雑、話すときに目を合わせない、人の話を聞かない、言い訳が多い、感謝の気持ちがない人。これとは逆の行動を実践したいですね」

人とのかかわりを円滑にするためにも、挨拶の習慣はとても大事だという。

「挨拶は子供や年下からするべき、と思ってはいけません。上下関係、年齢は関係なく自分から挨拶することを約束事としましょう」

挨拶の習慣はとても大事
挨拶の習慣はとても大事(イラスト/こさかいずみ)
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相手から挨拶が返ってこなくても、自分との約束と思えば気にならない。

「知り合いだけでなく、買い物をした先の店員さんにも『ありがとう』と伝えてください。誰かのために行動する習慣は、自分を強くしてくれます」(一条さん)

同じ志を持つ人とつながるのもいいそうだ。

「自分が憧れる人とのつきあいは、自分を高めてくれます。いまはLINEのオープンチャットなど、SNSで共感できる趣味嗜好の人とつながれる時代。これを活用して仲間を見つけるのもいいですね。

とはいえ、社会生活を送る中で悪口好きな同僚やママ友と接しなければならないこともあるでしょう。そのときは悪口に乗らず、“アホのフリ”をして『私はわからないな〜』と受け流すことです」(吉井さん)

そして、「どうせ」や「私なんて」というネガティブな言葉を使わないこと。

「人間の脳は最後に発した言葉を記憶するので、あえて前向きな言葉を口にして、脳をポジティブに変えていくのです。『過去がこうだったから無理』ではなく、『過去がこうだったから次はこうしよう』と未来志向の言葉を選びましょう」(一条さん)

5年後の自分を思い描く

そもそも「努力したいと思えるものが見つからない」という人は、どうすればいいのか?

『5年後の自分はどんな人間になっていたいか?』を想像して
『5年後の自分はどんな人間になっていたいか?』を想像して(イラスト/こさかいずみ)
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「『5年後の自分はどんな人間になっていたいか?』を想像してください。現状の延長ではなく、『毎日友達が遊びに来るような素敵な家に住み、彼女たちの相談に乗ってあげたい』など、自分のありようを思い描くのです。すると、『家を借りるためにお金を貯めよう』『カウンセリングの勉強を始めよう』と目的が見えてきます。

『年なんだから、もっと現実を見るべき』と思うかもしれませんが、自分の信念がなく『世の中がそうだから』と他人軸で物事を考えている限り、報われないと感じる人生になってしまう。

好きなことをしている人には、思い通りの結果が得られなくても、報われないどころか『まだ努力が足りない』という人が多い。果てしない楽しい夢を持って、自分軸でコツコツと頑張ればいいんです」(吉井さん)

今日の出来事やいまやってみたいことなどを「書きとめる」習慣をつけると、頭や心の整理にもなるという。

今日の出来事やいまやってみたいことなどを「書きとめる」習慣を
今日の出来事やいまやってみたいことなどを「書きとめる」習慣を(イラスト/こさかいずみ)
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また一条さんは、努力が続かない人に向け、次の習慣を提案する。

「自分のやる気スイッチに頼るより、環境を整えた方が早い。同じ場所にばかりいると脳の働きが停滞するので、日記や勉強が続かない人は、落ち着くカフェを見つけ、そこで書いてみてください。 家にいる場合は、おいしいコーヒーをいれる、音楽をかける、アロマをたくなど気分が切り替わる工夫を」(一条さん)

自分に厳しくしすぎないことも、自己肯定感を上げる一助になる。

「どんな人であっても、ここまで生きてきただけですごいこと。自己嫌悪に陥る前に、まずは『私、頑張ってる』と、自分で自分を認めてあげることが大事です。

人生をすごろくにたとえると、サイコロを振って6マス進むこともあれば、振り出しに戻ることもある。でもまたサイコロを振る。つまり、物事に挑戦する勇気があれば少しずつでも前進します。サイコロを振り続ければマイナスにはなりませんから」(吉井さん)

一条さんも、「変化は成長の証し。変化を楽しめることが『努力が報われる人』への第一歩」と言う。

私にもできそう、と思ったいまがチャンスだ。

◆習慣形成コンサルタント・吉井雅之さん

人間力戦略のコンサルティングや人材育成トレーニングを行い、これまで約6万人を指導。『習慣が10割』(すばる舎)、『人生の習慣を整える』(サンマーク出版)など著書多数。https://simpletask.co.jp/

◆メンタルコーチ・一条佳代さん

2020年に「Vision Navigation」を設立。2022年に人気コーチ養成講座を開講。「一歩を踏み出す勇気がもらえる」コーチングセッションで人気。近著に『行動力神メソッド55』(三笠書房)がある。https://visionnavigation.co.jp/

取材・文/佐藤有栄

※女性セブン2025年7月24日号

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