健康・医療

【見逃してはいけない“がんの予兆”】皮膚がんでは「見慣れぬできもの」「できものから出血」、乳がんは「皮膚のへこみ」…注意すれば気づくことができる初期症状

「サイン」に気づいたら、病院へ(写真/PIXTA)
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早期発見、早期治療ができるかどうかが生死を分けるとされるがん。いつもと違う不調が長引くようなら、それはがんの初期症状かもしれない。体の異変を“いつものこと”と見逃してしまわないよう、がんの「危険なサイン」を知っておきたい。【全3回の第2回。第1回から読む

下着が湿ったら要注意サイン

見た目に変化が現れるため、注意していれば気づくことのできるがんもある。

「体の表面に近いがんは、普段の状態と比較しやすく、早期発見が可能になるケースが多いです」

こう話すのは帝京大学福岡医療技術学部教授で、がん専門医の佐藤典宏さんだ。

「皮膚がんの場合、見慣れないできものの突然の出現や、できものからの汁の分泌や出血、できものの色や形、大きさの変化などが初期症状として挙げられます。また輪郭がぼやけていたり色むらがあったりする、通常とは見た目が異なるホクロが出てきたら、それは皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)の恐れがあります」(佐藤さん・以下同)

女性特有の乳がんも、見た目で気づきやすいがんのひとつ。乳がんは乳房にある乳腺の組織に発生するがんで、女性の部位別では罹患数が最も多く年間9万人を超える。身近ながんだけに細心の注意を払いたい。

「がんができると、そこに周囲の組織が引っ張られます。そのため乳がんでは、乳頭がひきつれたり、がんができたところの皮膚がへこむといった変化があります。また、乳がんができた方向に乳首が引き寄せられて乳首が変形したり、乳首の向きが変わったりすることもあります」

乳がんはある程度進行すると、さらに別の症状が出始める。ベルーガクリニック院長で乳腺外科医の富永祐司さんが言う。

「普段はほとんど出ることがない乳頭分泌があったり、血が混じった乳汁が出たりしたら乳がんを疑ってみてください。触ったときに胸の一部に硬さを感じるなどしこりに気づいて見つかることもある。

乳がんは大腸がんや肺がんと比べると、ある程度がんが進行していても助かる確率が高く、早期発見により生存率も上がります」

国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長の小川朝生さんは「がんは体内の炎症なので出血しやすくなっている状態」だと指摘する。

「オレンジ色っぽい乳汁が出てきたら、それは血が混じっているからです。下着の胸あたりが湿っているというのもがんのサインである可能性があります」(小川さん)

出血は子宮頸がんでも初期症状の目安となる。子宮頸がんは子宮の入り口の子宮頸部にできるがんで30代後半から40代前半の比較的若い女性に多く、年間約1万人が罹患している。

「原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染で、性交渉の経験がある女性の80%以上が50才までに感染するとされています。サインとして現れるのは性交時の出血や不正出血、おりものの異常、下腹部の痛み、腰の痛みなどです」(佐藤さん・以下同)

子宮の入り口近くにできることが多いため、定期的に婦人科の検査を受けていれば発見しやすいが、進行すると治療が難しい。

閉経後の不正出血は子宮体がんの可能性

一方、閉経後の女性に多く、年間1万8000人近くが罹患するのが子宮体がんだ。佐藤さんが続ける。

「初期症状は不正出血やおりものの異常、下腹部や腰の痛みなどで子宮頸がんによく似ています。更年期の女性は生理不順の人が多いため、なかなかがんによる不正出血だとは気づきにくい。少しでも異変を感じたら“閉経に伴う生理不順”だと自己判断せずに、婦人科を受診することをおすすめします。

一般的な子宮がん検診では子宮頸がんのみのケースがほとんどなので、主治医に子宮体がんの検査を希望することをきちんと伝えましょう」

子宮体がんはステージIなら10年後の生存率は90%以上だが、ステージIVになると約17%に下がるとされている。早期発見が大切で、特に肥満や高血圧、糖尿病の人はリスクが高いため要注意だ。

年間約1万3000人が罹患する卵巣がんも子宮体がん同様、閉経後の女性に多い。40代から増加し、50代前半から60代前半に罹患数が最も多くなる。

「初期症状はほとんどなく、ある程度がんが進行すると、下腹部の不快感や下腹部の痛み、頻尿(膀胱刺激症状)などが起こります。

さらに進行してがんが大きくなると、お腹のしこり、お腹の中にがんが散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)によってお腹が張るなどの症状が現れる。ウエストまわりがきつくなったことで異常に気づく人もいます」

がんの危険なサイン
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(第3回に続く。第1回から読む

※女性セブン2025年7月31日・8月7日号

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