マネー

《税金をゼロに近づける方法》「非課税世帯でなくでも住民税は減らせる」「相続税対策になるリフォーム」フル活用すべき控除や制度…賢いワザ13を解説

「非課税世帯」でなくても住民税は減らせる

所得税率は所得によって変わるが、住民税は所得にかかわらず10%。扶養控除や寡婦控除などを利用すれば、その分税金を減らすことができる。

「【8】年金収入168万円以下のみ(65才未満は118万円以下)の親と同居、または仕送りをしている場合、扶養控除が適用されて住民税を下げられる場合があります。また、配偶者と死別または扶養家族を抱えて離婚すると『寡婦控除』が使えることを知らない人は多い。離婚や死別し、合計所得金額が500万円以下なら対象です」(板倉さん)

前出の医療費控除や所得控除とあわせてフル活用して税制上の所得を減らせば、収入状況によっては住民税非課税世帯になり、住民税を文字通り「ゼロ」にできる可能性もある。

「65才以上なら世帯主の年金収入が211万円以下で配偶者の年金収入が155万円以下なら住民税非課税となるので、夫婦で366万円未満の収入だと、非課税世帯と見なされます」(山本さん)

扶養控除や寡婦控除などを利用すれば税金を減らすことができる(写真/PIXTA)
写真4枚

【9】公的年金の受給を繰り下げて収入をなくし、住民税非課税世帯になるのもひとつの手。住民税非課税世帯になると、国民健康保険料や医療費の負担軽減、給付金の受給、公共料金の割引なども受けられる。

「ただし、住民税非課税世帯になろうと公的年金を繰り下げれば後々受給額は増えるので、受給開始後は非課税から外れる可能性が高い上、繰り下げ受給前の生活費を賄えなくなっては本末転倒。充分な貯蓄がある場合に初めて検討できる方法です」(西原さん)

働いているなら、【10】「iDeCo」を活用して住民税を減らす方法もある。2022年5月の法改正により、65才までは新規加入と掛け金の拠出ができるようになっている。

「主婦などの月々の掛け金の上限は2万3000円なので、60才から加入しても5年間で138万円拠出でき、これが全額所得控除され、住民税も安くなります。所得が195万円以下なら所得税と住民税は合わせて15%なので、138万円の15%、すなわち20万7000円もの節税になる。iDeCoは老後資金づくりの手段として注目されがちですが、節税のメリットも大きいのです」(山本さん)

一方、人気のふるさと納税には、節税効果はない。

「任意の自治体に寄付した金額が本来の納税額から減額されるだけ。減税されるわけではないので、出て行く金額は変わりません。ただし、寄付金額に応じた返礼品がもらえるのでお得であることは間違いありません」(板倉さん・以下同)

相続税対策には「リフォーム」が一石二鳥

自分が亡くなった後は、財産を相続する子供や孫に「相続税」がかかる可能性がある。手っ取り早く相続税を減らすには、【11】生命保険金の控除が使える。法定相続人1人につき500万円まで非課税になるので、相続人3人なら1500万円、4人なら2000万円分の節税だ。それ以外では【12】「元気なうちに財産を減らしておくこと」に尽きると、板倉さんは言う。

「財産を減らす方法は大きく3つ。子供や孫に贈与するか、自分で使うか、評価額を変えるかです。贈与には贈与税がかかる場合がありますし、不動産の購入は評価額を減らす効果は大きい一方、値下がりで“負動産”になるリスクも大きい。それよりも、相続時に自宅の土地の評価額を8割減にできる『小規模宅地等の特例』の方がメリットは大きいでしょう」

ただしこの特例は、被相続人と同居しているなど、一定の要件を満たしていなければ使えない。また、【13】自宅のリフォームも効果的だ。

「きれいにリフォームしても、家の相続税評価額は原則変わりません。リフォーム費用の分だけ預貯金を減らしながら住み心地をよくすることができて一石二鳥です。さらに、住宅ローン減税やリフォーム促進税制などを利用すれば、所得税や固定資産税の節税にもつながります」

家計を圧迫する税金の中には、よくよく調べると「実は控除として引けるもの」は少なくない。損せず手取りを増やそう。

※女性セブン2025年9月4日号