
開幕してから4か月以上経った「大阪・関西万博」(以下・万博)だが、人気のパビリオン以外にも見どころはたくさんある。特に、この万博でしか行けない国や地域のパビリオンに行くのも一手だ。今回は万博取材担当記者が実際に足を運んで、多くの人におすすめしたいと思ったパビリオンやスポットを、その理由とともに紹介する。
渡航困難国のパビリオンに行ってみる
今回の万博はビザや紛争、社会情勢の関係から渡航が困難な国や地域のパビリオンが目白押しだ。中でもビザがなかなか下りず、渡航が困難な国の一つとされる中央アジアの国「トルクメニスタン」は、ぜひ行っておくことをおすすめする。
トルクメニスタンという国名を初めて耳にする人もいるだろう。この国は大統領崇拝や厳しい情報統制が取られているため、日本ではなじみのない国だ。そのためすべてが謎のベールに包まれ、どんな産業があって、人々はどんな暮らしをしているのかわかりにくい。それがこの万博では産業、文化を知ることができるのだ。中に入るとまず目に飛び込んでくるのが同国のベルドイムハメドフ大統領の肖像画。威厳たっぷりで一度見たら忘れられないほどのインパクトだ。

トルクメニスタンの部族は犬と馬を宝物のように大切にしており、パビリオンでも馬が走る動画や犬の模型が展示されている。特に「黄金の馬」とも言われるトルクメニスタン原産の品種「アハルテケ」は、光り輝くほど美しい姿を動画で見ることができる。
1階には、トルクメニスタンの伝統的な衣装を着て記念撮影ができるコーナーもある。訪れることが難しい国に想いを馳せ、万博の思い出作りをするのにもピッタリだ。
1日で「世界一周の旅」ができるコモンズ館
複数の国が合同で出展している「コモンズ」では、なかなか行くことができない国や地域が一同に介している。出展している国の中には社会情勢の不安から渡航が制限されている国や地域もあるため、訪れるだけでかなり貴重な体験ができ、コモンズをすべて訪れると「1日で世界一周旅行」ができることになる。コモンズ館の建物はA〜Fまでに分かれており、国の振り分けは以下。
コモンズA:イエメン共和国、ウガンダ共和国、キルギス共和国、ケニア共和国ほか
コモンズB:エチオピア連邦民主共和国、ガンビア共和国、コートジボワール共和国、ジャマイカほか
コモンズC:イスラエル国、ウクライナ、ウルグアイ東方共和国ほか
コモンズD:カメルーン共和国、キューバ共和国、スーダン共和国、赤道ギニア共和国ほか
コモンズE:(イベント用)
コモンズF:アルメニア共和国、カザフスタン共和国、ブルネイ・ダルサラーム国の3か国



コモンズ館では、さまざまな国の買い物も楽しめる
さまざまな国が出展しているコモンズだが、A~Fでそれぞれ雰囲気が違う。コモンズAは全体的にゆったりとした展示でのんびりと回ることができる。中でも異色なのがイエメンのブース。キラキラとした宝飾品が販売され、それを販売員と客が電卓を叩きながら交渉をしている。イエメンでは「値切り」が当たり前で、万博でもその「値切り」体験ができるのだ。一度、やってみると恥ずかしさも消え、値切りが楽しくなるのでぜひ、トライしてみてはどうだろうか。
コモンズの中でも特に買い物が楽しめるのはコモンズD。その国の特産品が販売され、立ち寄るだけで楽しい。モンゴルのショップスペースではチンギス・ハーンのマグネットやキーホルダー、元横綱の朝青龍のグッズなども販売されていた。

コモンズなら、スタンプも効率よく押せてしまう
今回の万博の楽しみの一つでもあるのが、各国、地域のパビリオンに設置されているスタンプ台。会場を訪れた人たちが公式グッズとして販売されているスタンプ帳やノートにスタンプを押して回る姿がよく見られるが、効率よくスタンプを集められるのがコモンズだ。コモンズ1館訪れるだけで複数のスタンプが集められ、なおかつ最後には重ね絵スタンプなるものもある。これは各コモンズの最後に設置されているスタンプを重ねて押していくと1枚の絵になるといういわばシークレットスタンプだ。
スタンプは持参したノートに押してもいいが、やはり押しがいがあるのは公式ショップで販売されているスタンプ帳。各エリアでスタンプが押せるようになっており、コモンズで押すことができる「重ね絵スタンプ」も公式のスタンプ帳で押すからこそ楽しい作りになっている。公式のスタンプ帳は会場内にあるショップで売られており、手に入れやすいので万博の記念として一冊購入することをおすすめする。

大屋根リングの柱に自分の名前を刻んで記念に
大屋根リングの柱に注目していると、野球ファンなら思わず立ち止まってしまうポイントがある。それは阪神タイガースの選手やコーチたちの名前が刻まれているプレートが柱に貼り付けられている箇所。

ほかの柱を見ても、個人名や団体名が刻まれた木のプレートが柱に貼り付けられている。これは「万博の柱に名前を刻む!プロジェクト」によるもの。申し込みをすれば誰でも名前を刻むことができ8月29日までに申し込み(入金・データ送信含む)をすれば、9月中旬頃にプレートを設置してもらえるそうだ。個人及び法人以外の任意団体であれば料金は3万7500円で1日券1枚と感謝状1枚が贈呈される。万博に貢献した証を残す、一生の記念になりそうだ。
取材・文/廉屋友美乃