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《終活の意外な落とし穴》「家じまい」「実家の後始末」をするときに知らないと大損?「庭じまい」の始め方

「親任せ」にするとトラブルに

ちょっとしたマイナーチェンジをするだけでも手入れがぐんと楽になる。

「たとえば生け垣などはこまめに剪定しなければならず、維持に手間がかかります。親が元気なうちに生け垣をフェンスにしてくれただけで、手入れが楽になりすごく助かったという話を聞いたことがあります」

親と相談して庭じまいを始めれば、子供の金銭的負担も軽減される。

「両親が庭にすごく凝っていて立派な池を作っていたり、ジオラマで線路を走らせていたりしていたらなおさら後始末が大変です。庭の一部をコンクリートで固めていたら造園業者では対処できないため、解体業者が重機を入れて取り壊すことになります。それこそ場合によっては数百万円など高額になるかもしれない。親が亡くなってからにしようと庭じまいを先延ばしにしていると、すべての費用を子供が丸抱えすることになってしまいます」

いざ庭じまいの意思が固まっても、業者探しを「親任せ」にするのは危険だと渡部さんが続ける。

「親が“自分でできるから”といって頼んだ結果、高額な費用を請求されてしまったケースもあります。特にひとり暮らしの高齢者や、男性に比べて抵抗力の弱い女性は思わぬトラブルに巻き込まれるかもしれないので、注意が必要です。

見積もりを取る際や工事当日には、親と一緒に自分もできるだけ立ち会いましょう。自分の庭じまいをやるときも、ひとりではなく誰かに立ち会ってもらうことをおすすめします」

見積もりは複数の業者に相談して相見積もりを取るのが鉄則だ。

「見積書に“庭整理一式”などと書いてくる業者は要注意。伐採費、運搬費、処分費など明細が具体的に書かれている方が信用できます。追加料金が発生する場合があるのかどうか、作業中に隣に被害が起きた場合のために保険に加入しているかどうかなども確認しておくと安心です」

知らないと大損!“庭じまい”にかかる費用の目安
知らないと大損!“庭じまい”にかかる費用の目安
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施工後に連絡を絶つ悪徳業者に要注意

一方、庭じまいを請け負う立場から、井越さんは「業者に要望を明確に伝えることが大切」だと話す。

「庭じまいには明確なゴールがないんです。木を切るだけなのか、根っこも抜いて平らに整地するのか、さらに砂利を敷くのか、コンクリートで固めるのか、いろんなやり方があります。お客さん自身がゴールがわからないまま頼んでしまうと、施工した後に“思っていた仕上がりと違う”ということになりかねません」(井越さん・以下同)

砂利を敷くのか、コンクリートで固めるのか、いろんなやり方がある
砂利を敷くのか、コンクリートで固めるのか、いろんなやり方がある(写真/PIXTA)
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ネットで仲介サイトが造園業者や植木屋を紹介してくれるシステムもあるが、井越さんは注意喚起する。

「仲介サイトを利用すると、どこからやって来たのかよくわからない業者が来ることがあります。たとえば、埼玉県で依頼したのになぜか神奈川県の業者が来たりする。しかも名刺を持っておらず、施工後にトラブルが起きて問い合わせたくてもどこに連絡したらいいかわからない、ということになりかねません」

信頼できる業者を見抜くポイントは「口コミ」と「自社施工」だという。

「できれば地域に根付いた、近隣での口コミの評判がいい業者が安心です。

もうひとつの大切なポイントは自社施工しているかどうか。見積もりに来た業者が仕事を取るために安く請け負って、別の施工業者がその金額内で収めるために安物を使うということもあります。たとえば防草シートはピンキリで、非常に品質の高いものからホームセンターで売っているような安いシートまである。施工業者が安いシートを使ったために、1年後にはもう1回違う業者に頼まなければならなくなるというのもよくある話です。要望を細かく聞いてくれたり、いろいろな提案をしてくれる業者は信頼できる可能性が高いです」

「とりあえず放置」も「安易な手出し」もNG。プロが教える正しい知識で、絶対に損をしない庭じまいを実現したい。

※女性セブン2025年9月25日・10月2日号

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