健康・医療

高血圧、がん、心筋梗塞など…さまざまな病気のリスクを下げる「100年免疫力」のつくり方 重要なのは“腸内環境”や“ストレスをためない生活習慣” 

再婚したら免疫力がアップした?

 生活習慣も免疫力に大きな影響を与える。石原さんは「起きたらまず太陽の光を浴びる」ことをすすめる。

「“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが分泌され、自律神経のバランスが整い、免疫機能にプラスの効果をもたらします」

 朝、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜のいい「眠り」にもつながる。睡眠中に分泌される成長ホルモンが免疫細胞を活性化させるため、睡眠時間と質は免疫力アップに欠かせない。

「睡眠時間が5時間未満の人と7時間以上の人では、かぜをひく確率が4倍違うという研究があります。6時間と7時間ではそこまで大差がないので、最低6時間は寝た方がいい。

 寝ているときは究極のリラックス状態になり、腸にとってのゴールデンタイム。ぐっすり眠ることで善玉菌の活動がよくなり、免疫力も上がります」(石原さん・以下同)

 ただし、食べてすぐに寝るのは睡眠の質を悪くする。暴飲暴食や脂っこいものは避け、夕食は就寝の3時間前には終わらせたい。

「飢餓状態がオートファジー(細胞が自らの一部を分解して再利用する作用)を活性化させ、免疫機能を高めることがわかっています。腹八分目を心がけ、なるべく空腹タイムを確保すること。可能な人は『1日2食』にして、16時間のプチ断食を実践するのもいいと思います」

免疫力・腸年齢チェックシート
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 入浴も免疫力アップに効果的だ。

「リラックス効果や冷え取りだけではありません。40〜41℃のお湯に15〜20分つかると、『ヒートショックプロテイン』(HSP)というたんぱく質が数日後をピークに作られます。これが免疫力と代謝のアップ、老化防止につながり、ストレスにも強くなるといわれています」

 日常生活で何より大切なのは、ストレスをためないこと。リラックスし、副交感神経が優位になることで、腸内細菌の活動も活発になり、免疫力が高まるという。

 神奈川県に住むBさん(62才)は、60才を超えてから健康のために塩分や糖分などを気にして、食生活を制限してきた。それ以来、体調がスッキリせず、季節ごとにかぜをひいたり腹痛を起こしたりしていたという。

「そんなとき同窓会で友人たちと再会し、週に1回待ち合わせて一緒に街歩きをすることにしたんです。

 ストレスをためないためにもおいしそうなお店を探して、最後は“自分へのご褒美”にみんなでデザートを食べたりして(笑い)。気がついたら、体の不調をほとんど感じなくなっていました」(Bさん)

 趣味を持つのもいい。

「特に歌って声を出すことはストレスを軽減させ、気分改善につながります。合唱なら社会交流も含まれるので、心理的な面からも免疫にいい。楽器や語学など、新しいことへの挑戦は免疫力だけでなく認知機能の維持にも役立ちます。

 疲れていたら、休日はダラダラ過ごしてもいいでしょう。疲労がたまっていると免疫力が低下しますから」(佐々木さん)

 2024年8月にステージ3Aの乳がん(浸潤性小葉がん)を公表し、11月に右乳房全摘手術を受けた梅宮アンナ(53才)は今年5月に再婚を発表。現在はのむ抗がん剤とホルモン剤による治療を続けているが、ほとんど不安定な状態がないという。

 今年9月に行われたトークショーでは、「再婚して免疫力がアップしたから?」との質問に「結婚したからだと思います。間違いなく!」と笑顔で答えていた。

 石原さんが分析する。

「恋愛のように楽しく、笑顔になることは気持ちが前向きになり、免疫力の向上につながります」

 つまりネガティブな気持ちでいると、免疫力を低下させてしまうということ。

「孤立は心理的ストレスを増大させます。人づきあいがストレスだという人は、いつも行くお店の人や宅配便などの荷物を届けてくれる人など、日常で会う人に“ありがとう”と感謝の気持ちをこめて挨拶することでも効果があります」(佐々木さん・以下同)

インナーマッスルを鍛える

 体を動かすことも、免疫力を高めることにつながる。

「適度な運動は全身の血流を促進させ、免疫細胞が体内を効率よく巡るのを助けます。少し息が上がる程度の早歩きを30〜45分、週に3〜5日が目安。水分を摂りながら行うと循環が保たれてさらに効果的です。座りっぱなしも避けて、こまめに歩くだけでも効果があります」

 筋肉には免疫細胞の材料になるアミノ酸の供給源の役割もあるため、意識的に筋肉を鍛えることも必要だ。

運動は大事だが、長時間のランニングなど過度な運動は逆効果に(写真/PIXTA)
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「体幹や下半身の筋肉を鍛え、加齢によって筋肉量が減少する『サルコペニア』を防ぐことは免疫機能を保つうえでも重要です。

 おすすめは、腰やひざに負担がかからない範囲で行うスクワット。最初は1日5回から始め、慣れてきたら10回を1日に2〜3セットくらいに増やすといい。足を肩幅よりやや広めに開き、椅子の背などに手を添えると安全に行うことができます」

 現在77才の辨野さんは、「スクワットに救われた」と話す。

「実は73才の頃に初めて便秘になり、非常に苦しい思いをしました。そこで腸の周りの筋肉を鍛えるためにスクワットを始めたところ、すっきり解消したんです」

 辨野さんがほかに推奨するのは、速歩とゆっくりを繰り返すウオーキングと、下りの階段歩き。いずれもインナーマッスルが鍛えられて、「腸活」につながるという。

 運動は大切だが、無理をする必要はない。汗だくになって息が上がるほどの運動は逆効果になることも。

「過度な運動は免疫機能を一時的に抑制し、かぜなどの上気道感染症のリスクが高まるとされています」(佐々木さん)

 食事も生活習慣も運動も、明るく前向きに取り組むことで「100年免疫力」を手に入れよう。

女性セブン2025109日号 

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