料理・レシピ

《おうちで極上レシピ》グルメな人が全国から通う代官山の名店『TACUBO』が教えるパスタのコツと絶品レシピ

皿にパスタを盛っている
東京・代官山にある人気イタリアン『TACUBO』のシェフが伝授
写真11枚

東京・代官山の住宅街にある『TACUBO』は、ミシュランで星を取り続けるイタリアンの名店。素材を活かした美食の数々は、多くの食通に支持されている。今回はオーナーシェフの田窪大祐さんが家庭でも作れるレシピを特別に考案。店の味に近づける、パスタの極意とレシピを披露してくれた。

イタリアンに欠かせないパスタの極意

『TACUBO』のスペシャリテといえば、ボロネーゼに代表されるパスタ料理。イタリアンの定番ながら奥が深い料理を、おいしく仕上げるポイントを聞いた。どれも家庭で簡単にマネできる、プロならではのワザばかり!田窪さんが伝授する。

パスタはたっぷりの湯でゆでなくてよし

「『パスタはたっぷりの湯で、泳がせるようにゆでる』というのは昔の話。泳がせるとパスタの表面が削れて、ドロッとしてしまいます。ゆでるときの火加減も、“ボコボコ”と沸騰させるのではなく、“ぐらぐら”程度でOK」(田窪さん・以下同)

パスタを茹でている
パスタは“ぐらぐら”程度のお湯で茹でる
写真11枚

家庭で作るならパスタは“テフロン”がおすすめ

「パスタには、表面がつるつるした質感のテフロンタイプと、ざらざらした質感のブロンズタイプの2種類があります。ブロンズタイプはドロッとした仕上がりになりやすいため、家庭では扱いが難しい。あっさりと仕上がり、いろいろなソースに合わせやすいテフロンタイプ(『バリラ』など)がおすすめです」

素材の味をしっかり引き出したら水を加えて、パスタに“だし”を吸わせる

「素材本来の味を活かせば、シンプルな調味でも豊かな味わいになります。そのためには、まず、食材を充分炒めて旨みを引き出すこと。その後水を加えて、旨みが溶け込んだ“だし”をパスタにしっかり吸わせると、味わい深く仕上がります」

フライパンに水を注いでいる
“だし”をパスタにしっかり吸わせる
写真11枚

ワンパンで作るならショートパスタ

「ワンパンで作るなら、ペンネなどのショートパスタを使うのがおすすめ。具材とパスタを一緒に煮込むと、パスタが煮汁を吸いがちなのですが、ショートパスタなら多少水分量が多くなってもおいしく仕上がります。加熱具合に神経質にならなくてよい点でも作りやすいですよ」

ペンネを茹でている
ワンパン調理なら、ショートパスタがおすすめ
写真11枚

“おまじないの塩”で食材の旨みを出す

「野菜などの素材を加熱するときは、火にかける前にほんの少しの塩を振ります。こうすると、素材からほどよく水分が抜けて、旨みが引き出されるんです。厨房ではもはや当たり前のひと手間になっているため、 “おまじないの塩”と呼んでいます」

「牛ひき肉のラグービアンコパスタ」のレシピ

素材の旨みが際立つ絶品ソースが長時間煮込まなくても作れる。

「水を加えたあとは弱火でコトコト煮込みます。薄力粉が入っているので、長時間加熱しなくてもとろみがつきますよ」

「牛ひき肉のラグービアンコパスタ」
「牛ひき肉のラグービアンコパスタ」
写真11枚

《材料》(2人分)

スパゲッティ(ゆで時間9〜10分のもの)…150g 牛ひき肉(赤身)…200g 玉ねぎ…100g セロリ…100g にんじん…30g にんにく…4g ブラウンマッシュルーム…3個
薄力粉…4g 白ワイン…40ml バター…15g 塩…適量 オリーブオイル…10g(大さじ1弱) チーズ(あればグラナ・パダーノ)・粗びき黒こしょう…各適量

《作り方》

【1】玉ねぎ、セロリ、にんじん、にんにくはみじん切り、マッシュルームは薄切りにする。

【2】フライパンに油をひかずにひき肉を入れ、薄いきつね色になるまで焼きつけるように炒める。にんにくを加えてさっと炒め、玉ねぎ、セロリ、にんじんを加えて5分ほど炒める。薄力粉を加えてさっと炒め、白ワインを加えて水気がなくなるまで煮詰める。水500ml(分量外)を加え、煮立ったらとろみがつくまで20分ほど煮る。

【3】鍋に湯を沸かして1%量の塩を加え、スパゲッティを袋の表記時間より30秒短くゆでて湯を切る。

【4】別のフライパンにオリーブオイルを熱し、マッシュルームを入れて塩少量を振り、さっと炒めたら【2】と水100ml(分量外)を加えて温める。【3】を加え、水分量と塩味を調整する(水分が多ければ煮詰め、足りなければゆで汁を適宜足す)。

【5】バターを加えて混ぜ、器に盛る。チーズ、粗びき黒こしょうをかける。

《Point》

・ひき肉にほどよく焼き色をつけてコクと旨みを出す

ひき肉はほぐしすぎず、焼きつけるように炒める。

「こうすると肉に焼き色がつき、旨みのかたまりに」

ひき肉を炒めている
ひき肉はほぐしすぎない
写真11枚

・玉ねぎをたっぷり入れて短時間で甘みをプラス

「玉ねぎを多めに入れることで、甘みと旨みが加えられます。飴色になるまで炒める必要がなくなります」

刻んだ野菜をひき肉に加えている
たっぷりの玉ねぎで甘みと旨みをプラス
写真11枚

・白ワインを加えたらしっかり汁気を飛ばす

白ワインを加えたら、雑味や酸味が残らないよう、水気がなくなるまでしっかり加熱する。

ひき肉と野菜を炒っている
水気がなくなるまでしっかり加熱
写真11枚

・水を加えたらとろみがつくまで煮詰める

「店のボロネーゼはソースが完成するまで、1週間かかります。この作り方なら、焼いたひき肉の脂で野菜を炒めて、白ワインと水で煮るだけだから簡単。ポイントさえ押さえれば、素材の味を引き出し、店の味に近づけます。最後にかけるチーズは、熟成期間が短くてクセが少ない、グラナ・パダーノがおすすめです」

鍋に水を入れている
とろみがつくまで煮詰める
写真11枚

◆教えてくれたのは:TACUBO オーナーシェフ 田窪大祐さん

料理を盛り付ける男性
TACUBO オーナーシェフ の田窪大祐さん
写真11枚

国内外で修業後、2016年、東京・代官山に『TACUBO』をオープン。薪で焼き上げる肉など素材にこだわった料理が人気で、予約枠は即埋まるほど。白金台店、テイクアウトのドルチェを扱う『DOLCE TACUBO』も展開。

◆TACUBO 代官山

TACUBO 代官山の内観
TACUBO 代官山の店内
写真11枚

東京都渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山1F
16:00〜23:00(L.O.20:00)※完全予約制
日曜定休(不定休あり)
https://tacubo.com/

撮影/澤木央子 取材・文/平井薫子

※女性セブン2025年10月16・23日号

関連キーワード