
見た目がかわいい、ブームだから、といった理由で飼うことも問題だ。
「近年、柴犬などの日本犬は世界的にも人気が高いですが、ちょっと気難しいところがあり、実際に保護されることも多いんです。柴犬は繊細な性格で過度なスキンシップを嫌うので、噛まれた飼い主が“こんなはずじゃなかった”と、放棄するのでしょう。性格や特性はネットで調べればすぐ出てきますから、飼う前に調べて、その子と幸せに暮らせるか見極めて迎えてほしいですね」(芦塚さん)
飼い主の気持ちは犬たちに伝わる――。上廣さんもそう語り、「心に傷を負った動物でも、時間をかければまた人間に心を開いてくれる。保護動物を迎える選択肢が当たり前にある、そんな社会の実現を願っています」と加えた。
伍代は保護犬の撮影で「敵意、おびえ、寂しさ、愛を欲する目」を捉えようとしてきた。それは「人がそうさせてしまった」と訴えるため。ネグレクト、さらに踏み込み「殺処分」も伝える必要を感じている。
「ピースワンコさんは殺処分ゼロに取り組み、広島県内では2016年からゼロを継続しています。でも、全国的にはまだ残っている(2023年度の犬の殺処分数は2118頭)。
殺処分の撮影は簡単じゃありません。処理場へ部外者は入れていただけないし、私もいざ犬たちの遺体に直面したら撮れるかわかりません……それでも、残さないと、知らせないといけない。戦争をしてはいけないのと、同じことです」
保護動物の存在をまずは知ってほしい。その先で保護動物を取り巻く環境に関心を寄せてほしい。飼育を放棄しない、里親として迎える、預かりボランティアをする、保護活動を支える寄付をする。保護動物のために、誰もがやれることがある。まずは一歩踏み出してもらえたら――。その想いで保護犬活動を続けていくと、伍代は語った。