みそ汁は一石二鳥の効果
うるおいを取り戻す食品として、多くの専門家が挙げたのは「ヨーグルト」だ。
「ヨーグルトの約80%は水分で、乳酸菌が腸内環境を整える。ヨーグルトに含まれる乳たんぱく質には、水分を体内に保持する機能もあります」(望月さん)

3位の「みそ汁」も票を集めた。
「大豆製品のみそには、必須アミノ酸の『トリプトファン』が多く含まれている。リラックス作用がある『セロトニン』の原料となるため、自律神経を整えて腸の動きを活発化させます。発酵食品なので腸内環境の改善も期待できる。水分も摂取できるみそ汁は、これから寒くなる季節におすすめです」(医学博士の佐野こころさん)
11位にランクインした「オリーブオイル」を1位に推すのは、便秘外来を開設する松生クリニック院長の松生恒夫さんだ。
「オリーブオイルに含まれるオレイン酸は消化吸収されにくく、短時間で多めに摂ると腸を刺激して動きを活発化させる。油分は便の滑りをよくするのでスムーズな排便も期待できます」

石黒さんは、食事で重要なポイントは水溶性食物繊維だと話す。
「腸内細菌のエサとなる食物繊維が不足すると、代わりに腸の粘液が腸内細菌のエサとなり、失われてしまう。腸内の水分を保持するためにも、水分を含んでゲル状になる水溶性食物繊維が含まれる食品をしっかり摂るといいでしょう」
高い整腸作用が期待される食品でも、今回はランク外になったものがある。その代表がバナナだ。
「今回は“うるおい”がテーマなので、ランクインしなかったのでしょう。
バナナはカリウムを豊富に含み、ナトリウムとともに体内の余分な水分・塩分を尿中に排出する働きがある。その特徴からランク外になったと考えられます」(望月さん)
スクワットで押し出す力をアップ
日々の習慣も大事になる。ダントツは「充分な水分摂取」だ。消化器内科専門医の工藤あきさんが言う。
「気づかないうちに水分不足になっている人は意外と多い。温かい飲み物は血流を改善して、蠕動運動を促進します」
朝一番の炭酸水を推奨するのは川本さんだ。
「起きてすぐに水分を摂ると、夜に眠っていた自律神経が刺激され、蠕動運動が促進されます。特に炭酸水は、炭酸ガスが胃や腸を刺激して血流をよくする作用があるので、蠕動運動が導かれやすい」

2位につけたのは「運動」だ。医薬基盤・健康・栄養研究所ヘルス・メディカル微生物研究センター長の國澤純さんが言う。
「運動は腸管の働きを活性化し、便秘や腸の乾燥を防ぎます。ウオーキングのように負担が軽いものから始めて、習慣化するといいでしょう」
辨野(べんの)腸内フローラ研究所理事長で腸内細菌学者の辨野義己さんは、「ウオーキング」に加えて「スクワット」もすすめる。
「腸の周りのインナーマッスルである腸腰筋と腸骨筋を鍛えることで、便を押し出す力がアップします」
「ストレスを減らす」(7位)、「腹式呼吸」(8位)とストレスを緩和する習慣を推す声も多かった。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが言う。
「過度なストレスは交感神経を優位にするので、腸の働きが悪くなる。リラックスする時間を持つようにするといいでしょう」
食事と習慣を見直して、自分のペースで取り組もう。
※女性セブン2025年10月16・23日号