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安田成美さん、歳を重ねて再認識「若い頃の“自分で生きていた”感覚が蘇ってきた気がします」

安田成美
安田成美さんが再び手にした自由と、新たなる挑戦とは
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柔らかな雰囲気に、自然体な笑顔。周囲をそっと明るく照らし、現場を和やかに包み込む、その空気感はまさに大人が憧れる“チャーミング”そのもの。年齢を重ね、活躍のフィールドをさらに広げる今、俳優・安田成美さん(58歳)が再び手にした自由と、新たなる挑戦とは。ナチュラルに輝く美しさの秘密に迫ります。10月20日発売の大人女性に向けたムックシリーズ『reShine2025年秋号』に掲載している記事から抜粋して紹介します。

自分が何もできないことを知っているから甘えられる

年齢を重ねるほどに、力むことなくしなやかさが増している成美さん。その答えは、自身の“足りなさ”にあるという。

「自分が何もできないことを知っているからだと思うんです。子育てもミスの連続でしたから。子供たちも『この人頼れないから自分でやらなきゃ』ってなるでしょ。それを“できる風”には装わなかった。 できない自分を受け入れて、失敗したらちゃんと謝る。そうすると甘えられるんです。次もダメだろうって思われているのは悔しいんですけどね(笑)。できないのがいいのかもしれないな」

安田成美
「虚勢を張らず正直でいる。それしかできないんです」
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柔和な雰囲気とは一変、仕事では厳しくモノを言う一面も。

「全然可愛いなんてもんじゃないですよ。 ダメなものはダメと言うし、なんでその時そう言ったの!?と詰め寄ることも。でも、本音で接しているだけで、駆け引きとかないんですよね、私の中に。虚勢を張らずに正直でいる。それしかできないから」

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コンビネゾン5万9400円、 カーディガン9万9000円/ともにデパリエ(デパリエ 伊勢丹新宿店) ネックレス 6万3800円、 リング3万800円/ともにリューク その他/スタイリスト私物
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歳を重ねて再認識した“生きている”感覚

お子さんが独り立ちをし、この1年で自分のために費やせる時間も徐々に増えてきたと言う。

「気づけば長いこと、自分の時間を優遇してこなかったので、寝る時も部屋のドアは開けっぱなしでした。 子供が小さい頃から、いつでも物音が聞こえる体勢にしていたんです。最近やっと、ドアを閉めるとよく眠れるんだってわかってきて(笑)。若い頃を思い出すようになりましたね。私は私を感じていいんだ、自由ってあるんだと。しばらくはお母さんの役割、奥さんの役割に徹していたのが、若い頃の“自分で生きていた”感覚が蘇ってきた気がします」

それでも安直に、若い頃の自分に戻りたいとは思わないと言う。その理由は、歳を重ねたからこその内面の成熟にある。

「今のほうが物事をちゃんと意識しながら、生きている感があるというか。昔は流れに身を委ねていた感じで、あまり深く考えていなかったと思います」

本当にやりたいことだけを、意志を持って取り組む。その言葉通り、ライフワークとして昨今、精力的に取り組んでいるのが朗読劇だ。稀代の名作「星の王子さま」に着想を得たエッセイ集を出版、朗読劇では自ら構成・朗読を手掛け、美術は画家である次男が担当している。

「自分から『何か手伝うことあったらするよ』と言ってくれて、トイレの案内板を描いてもらったり、駐車場の誘導や、チケット周りも息子たちが手伝ってくれました。そういった現場での協力もですが、子供が大きくなってくると、本や音楽など作品の感覚を共有できるようになって。対・人間同士の関係が今、すごく心地いいんです。 仲間が増えたような感覚ですね」

朗読劇のイベントひとつにも垣間見える家族の絆。家族であっても、ごめんなさいとありがとうの言葉は大切にしている。

「男の人は苦手ですよね、お礼。ない時は『ありがとうは!?』って言います(笑)。面白く言えば嫌味にならないし、そういうやりとりはずっとしてきたかな」

◆安田成美

俳優。 1966年生まれ、東京都出身。 映画『風の谷のナウシカ』主題歌で歌手デビューして以降、俳優として数多くの映画・ドラマに出演。近年は、執筆や朗読劇にも精力的に取り組み、著書 「星の王子さま 私をつくっている大切なものたち』 も話題に。プライベートでは3児の母。

◆朗読劇「星の王子さま」京都公演

日程:2025年11月11日(火)~11月12日(水)
会場:京都文化博物館 別館ホール
チケット:全席自由7500円
お問い合わせ:サンライズプロモーション東京

◆「星の王子さま 私をつくっている大切なものたち』(安田成美著 きずな出版1650円)

『星の王子さま 私をつくっている大切なものたち』
『星の王子さま 私をつくっている大切なものたち』
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「星の王子さま」の名言に着想を得て、日々の気づきや想いを綴ったエッセイ。子育てや仕事、家族との時間を通して見えた “本当に大事なこと” を、温かな言葉と挿絵で届ける一冊。

撮影/伊藤彰紀(aosora)  スタイリスト/梅山弘子(KiKi inc)
ヘア&メイク/北一騎(Permanent) 構成・文/栗原うらら

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『reShine2025秋号』では、気分が上がる美容・趣味・暮らしの実例やヒントを紹介。特集では“いくつになってもキレイ”の作り方や、ご機嫌でいるための秘訣を、reShine世代=(50~60代の女性たち)である、安田成美さん、高島礼子さん、南果歩さん、松本伊代さん、紫吹淳さん、鈴木砂羽さん、渡辺満里奈さんたちにインタビュー。誰もがおしゃれで粋に見える大人の着こなしについて、同世代の人気モデル、富岡佳子さん、前田典子さんがレクチャー。ほか、京都の大人旅や、白髪・薄毛対策、気になる美容医療など、役に立つトピックスをお伝えします。「付録付き限定版」では、3WAYに使えるマルチパウダー「レカルカ イルミネイトマルチ」の現品付き。

※『reShine』2025年秋号

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