
人生100年時代は、“体も頭も元気なまま長生きすること”が課題に。そこで、脳卒中死亡率の高かった長野県を健康長寿県に導いた医師・鎌田實さんに、長生きの秘訣が詰まった食事術を教えてもらいました。ビタミンCやカロテノイドを含む野菜、イソフラボンが豊富な大豆製品、DHAたっぷりの青魚…。料理研究家・管理栄養士・沼津りえさんがレシピを考案した老化予防のカギとなる抗酸化食材がおいしく摂れる、健康おかずをご紹介。
老化とは、体が酸化した結果。防ぐためには食習慣の改善を
「老化は体の“酸化”によって起こります。さらに酸化により、動脈硬化や高血圧、がん、認知機能低下などのリスクが高まります。
老化防止のために意識して摂りたいのは、野菜を中心とした抗酸化食材。そのほか、たんぱく質やカルシウム、腸活食材などを取り入れる食生活を心がけましょう。“おいしく手軽に”が、無理なく続けるコツです」(鎌田さん)
抗酸化パワーの強い食材をたっぷりと
まずは、抗酸化に欠かせない野菜を1日350g摂ることを目標に。抗酸化力が強い緑黄色野菜は、特におすすめ。そのほか、鮭やナッツ、くだものなども◎。
たんぱく質、カルシウムも意識する
筋肉量や骨密度の低下は、寝たきりの危険につながる。たんぱく質やカルシウムを積極的に摂り、フレイルや骨折を防止。
腸活食材を効率的に取り入れる
腸は認知機能や免疫機能など体のあらゆる働きと関わっているため、いわば長生きの要。発酵食品とエサとなる食物繊維を一緒に摂って、効率的に腸活を。
【野菜1人分100g】「たっぷりにら玉ツナトマト炒め」のレシピ
ツナは旨み食材としても優秀。加熱しすぎず手早く仕上げて。
《作り方》(2人分)
【1】にら1束は5cm幅に切り、トマト100gはくし形切りにする。
【2】熱したフライパンにごま油小さじ1を入れ、【1】を入れて中火でさっと炒める。缶汁を切ったツナ缶(オイル漬け)1缶、しょうゆ・オイスターソース各小さじ1を加えて炒め合わせる。
【3】溶き卵3個分を流し入れ、菜箸でさっと混ぜながら卵が好みの硬さになるまで炒める。
《Point》
トマト、そしてこれから旬を迎えるにらも、抗酸化力の強い食材。ツナにはたんぱく質のほか、生活習慣病予防に役立つDHAやEPAも豊富に含まれる。
【野菜1人分165g】「鶏ハムサラダ にんじんドレッシング」のレシピ
にんじんの爽やかな甘みが広がる。

《作り方》(2人分)
【1】鶏胸肉200gは厚さを半分に切って開く。塩・砂糖各小さじ1/2を振り、筒状に巻いてラップでしっかりと包む。電子レンジ(600W)で3分加熱し、上下を返してさらに2分加熱し、そのまま冷ます。
【2】ブロッコリー80gは小房に分けてゆでる。アボカド100gは皮をむいて種を除き、1cm幅に切る。【1】は薄切りにする。
【3】にんじん50gはすりおろし、オリーブオイル・水各大さじ2、酢大さじ1、砂糖小さじ1、塩小さじ1/4と混ぜ合わせる。
【4】器に好みの葉野菜(レタスやグリーンリーフなど)100g、【2】を盛り付け、【3】をかける。
《Point》
にんじんは生のままおろしてオイルと合わせることで、β-カロテンの吸収力がぐんとアップ。抗酸化作用のあるビタミンEや不飽和脂肪酸が豊富なアボカドも加えて。
【野菜1人分85g】「高野豆腐のレンジ含め煮」のレシピ
時短でできるから冷蔵庫の野菜や豆類を加えても。

《作り方》(2人分)
【1】高野豆腐2個は水に5分ほどつけ、水気をしぼって2等分に切る。小松菜100gは5cm長さに切り、にんじん30gは乱切りにし、しいたけ2個は軸を除いて半分に切る。
【2】耐熱ボウルに【1】、水1/2カップ、しょうゆ・みりん各大さじ1、砂糖大さじ1/2を入れて混ぜる。ラップをかけて電子レンジ(600W)で5~6分加熱し、そのまま冷ます。
《Point》
抗酸化作用のある小松菜は、カルシウムや鉄分の量もトップクラス。高野豆腐はたんぱく質のかたまりで、カルシウムなどもたっぷり摂れるおすすめ食材。
【野菜1人分135g】「ぶりと彩り野菜の焼き浸し」のレシピ
少量の漬け汁でも充分味しみ!野菜がどんどん食べられる。

《作り方》(2人分)
【1】バットにかつおぶし2g、水大さじ2、しょうゆ・酢各大さじ1、砂糖小さじ2を入れて混ぜる。
【2】ぶり2切れは1切れを3等分に切り、塩少量を振って5分おき、水気を拭く。かぼちゃ100g、パプリカ50gは5mm幅に切り、なす80gは輪切りにし、さやいんげん5本は半分に切る。
【3】熱したフライパンにごま油小さじ1~2を入れ、【2】を入れて焼き色がつくまで中火で焼く。熱いうちに【1】に加えて絡める。
《Point》
青魚に含まれるDHA、EPAには、抗酸化作用や血液サラサラ効果、認知機能を維持する働きが。ビタミンたっぷりの緑黄色野菜を合わせて最強の一皿に。
【野菜1人分105g】「肉巻き豆腐ステーキ 秋野菜添え」のレシピ
木綿豆腐でボリューム満点。薄切り肉を使って加熱時間を短縮。

《作り方》(2人分)
【1】木綿豆腐200gは1cm厚さに切り、ペーパータオルで水気を拭く。かぶ100gはくし形切りにし、かぶの葉50gは5cm長さに、れんこん60gは5mm幅に切る。
【2】豆腐の全体に片栗粉小さじ1をまぶし、豚薄切り肉150gで巻く。塩・こしょう各少量を振る。
【3】熱したフライパンにサラダ油小さじ2を入れ、【2】を入れて強火で1分焼く。上下を返し、かぶ、かぶの葉、れんこんを加えて蓋をし、中火で5分蒸す。しょうゆ・みりん各大さじ1と1/2を加えて煮絡める。
《Point》
かぶの葉は、緑黄色野菜。栄養たっぷりなので、購入する際はぜひ葉つきを選び、料理に活用を。かぶの実やれんこんには、ビタミンCや食物繊維が豊富。豚肉のビタミンB1で疲労回復効果も。
【野菜1人分20g】「柿と水菜の厚揚げ白和え」のレシピ
厚揚げを使えば、水切りの手間いらず。水菜のほろ苦さに柿の甘みが好相性。

《作り方》(2人分)
【1】柿1/2個はいちょう切りにし、水菜40~50gは5cm幅に切る。
【2】ボウルに厚揚げ豆腐150g、白すりごま大さじ1、みそ小さじ2、砂糖小さじ1を入れ、厚揚げをつぶしながら混ぜ合わせる。【1】を加えて和える。
《Point》
柿も水菜も、ビタミンCやAが豊富で抗酸化力のある食材。柿はカリウム、水菜はカルシウムも多く含む。厚揚げでたんぱく質とカルシウム、イソフラボンもプラス。
◆教えてくれたのは:医師・作家・鎌田 實さん

諏訪中央病院名誉院長。地域医療の先駆けとして、食生活の改善や健康への意識改革の普及に努める。近著は『鎌田式 最強のズボラ朝メシ!』(エクスナレッジ)。
◆レシピ考案:料理研究家・管理栄養士・沼津りえさん

料理教室「COOK会」主宰。作りやすくてヘルシーなレシピを提案。著書に『切って漬けるだけ! やみつき しみしみ野菜』(ナツメ社)など。
撮影/川上朋子
※女性セブン2025年11月13・20日号