社会

《実録殺人事件簿》ホテル経営者の夫婦が最初に狙ったのは義母 “邪魔者がいなくなれば資産も会社も自分たちのもの”

ホテルの室内
ホテルの売り上げは月に1000万円ほどあったという報道も(写真/PIXTA)
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古今東西、家族関係の悩みはなくならず、とりわけ嫁姑問題は時代が変わってもなお永遠だ。実際の事件を紐解くと、深い憎しみが、一線を越えてしまう悲劇が明らかに──。

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インバウンドで盛り上がる東京。旅行者が楽しい思い出を作っている人気観光地で、連続殺人が5年にわたってひっそりと起きていた。

2024年2月、3人きょうだいの末っ子である広岡優香ちゃん(仮名・4才)を2023年3月に殺害したとして、東京都に住む夫婦が逮捕された。会社役員の夫・友一(仮名・43才)と妻の里美(仮名・37才)は、優香ちゃんに自動車の不凍液に含まれる有害物質「エチレングリコール」や向精神薬「オランザピン」を摂取させて殺害したとされる。

夫婦がホテル経営者だったことで世間の耳目を集めたが、この件から芋づる式に3人の殺人容疑が浮上。最初に命を狙われたのは里美の義母(68才)だった──。

友一は一代で財を成した経営者の父(73才)の跡取り息子として溺愛されて育った。里美が働く飲食店を訪れたのをきっかけに’09年に結婚。一時は千葉県で暮らしていたが、2016年に友一の父親が所有する都内のマンションに移る。その生活は平穏とは程遠いものだった。

「ふたりともだらしなく家はゴミ屋敷。里美はささいなことで癇癪を起こし、十数回も警察沙汰になっています。食器用洗剤を1本飲んで救急車を呼んだこともあるそうです。夫婦間のパワーバランスは里美が圧倒的に主導権を握る『主』で、友一は『従』だったといえます」(全国紙社会部記者・以下同)

「跡取り息子」への期待を操った妻の“魔の手”

友一の両親と姉(41才)も同じマンションの別室に住んでいたが、当然折り合いはよくなかった。

「義母は“里美は会社の手伝いも家事もしないで寝てばかり。注意すると怒鳴る”とこぼすことがあったそう。友一も父親からホテルの運営を任されたが、順調だったはずの経営は従業員の給与や資金繰りに困る事態に。父親は“息子に任せたら大変なことになった”と知人に漏らしている。会社の経理を担当していた姉も、友一の経費の使い方などについて周囲に不安だと語っていたとか。姉と友一は父親が社長を務めていたホテル運営会社の経営などを巡り争っていたこともわかっています」

そして、ついに事件が起きる。2018年1月、友一の母が亡くなった。同年4月には姉、6月には父が相次いで世を去る。当時は事件性はないとされたが、優香ちゃんの事件が発覚したのちに警察が執念の捜査を展開。

医療機関に保存された臓器組織片や血液検査データなどを鑑定したところ、各被害者から優香ちゃんと同様にエチレングリコールの成分が検出された。

「邪魔者がいなくなれば資産も会社も自分たちのものという短絡的な動機での凶行でした。さらに保険金などの金銭目的もあったとみられています。友一は優香ちゃんをのぞく3人の殺害容疑で起訴される一方、里美は4人全員の殺害容疑で起訴されている。捜査当局は、いずれの事件も里美が主導したとみています」

夫の家族とわが子を殺めた里美は何を思うか。公判は2026年に開かれる予定だ。

※年齢は事件当時。

※女性セブン2025年11月27日号