《ロッチ中岡創一の免疫年齢はなぜ18才なのか?》ノーベル賞受賞で注目「免疫」の新常識「いろいろな菌に触れて活性化される免疫細胞」「免疫力維持につながる食事」
免疫細胞の7割が集中する腸が健康であれば、体全体の免疫が底上げされる
コロナ禍を経て、2023年以降に子供の手足口病や季節外れのインフルエンザが流行ったのは、人との「3密」を避けたことで菌に触れる機会が失われ、免疫力が低下したからだとされる。
「免疫細胞を活性化させるには、ある程度いろいろな菌に触れることです。中岡さんのように泥の中に飛び込むわけにはいきませんので、食事で腸内の免疫細胞を活性化させてください。
そこで重要になるのが腸内細菌です。まず意識してほしいのはいろいろな菌を取り入れて、腸内環境を改善し、免疫を整えること。キムチや納豆、みそ、漬けものなどの発酵食品は菌の種類を増やすのに効果的です」(石原さん)
食物繊維を食べて菌そのものを増やすのもいい。飯沼さんは発酵性食物繊維を食べてほしいと話す。
「発酵性食物繊維とは、腸内細菌がエサとして発酵・分解する食物繊維のことです。多くの水溶性食物繊維と一部の不溶性食物繊維、レジスタントスターチを指します。具体的には大麦やきのこ類、酵母、海藻類、豆類、いも類、玉ねぎ、バナナ、小麦全粒粉、小麦ふすま、玄米などがそれにあたります。酪酸菌は酪酸を産生し、酪酸が分化前のT細胞を刺激すると制御性T細胞が多く作られます」
内藤さんは野菜や豆類を中心とする「プラントベース食」が、酪酸を増やして免疫力の維持と長寿につながると話す。
「健康長寿の高齢者は、主に魚と豆で良質なたんぱく質を摂っています。植物性たんぱく質である大豆は、酪酸菌のエサとなり酪酸を生み出す。免疫細胞の7割が集中する腸が健康であれば、体全体の免疫が底上げされます。抗酸化作用があるベリーやくるみもいいです」
寒さが厳しくなるこれからの季節、石原さんがすすめるのはいろいろな具材が入った鍋料理だ。
「体が冷えると自然免疫が働きにくくなるので、鍋でしっかり体を温めてほしい。しょうがやねぎなどの薬味のちょい足しもおすすめ。しょうがには殺菌効果があり、薬味は体を温めます。鍋の定番食材であるきのこ類は食物繊維が豊富なだけではなく、免疫バランスを整えるビタミンDも多い。にんじんやほうれん草、春菊、にらなどに含まれるβ-カロテンは、のどや鼻などの粘膜で体を守るIgA抗体を作るのを助けるので、意識的に食べてください」
同時に、生活習慣の見直しも行おう。
「免疫力を維持するにはストレスをためず、最低でも7時間程度の睡眠をとるのが基本。寝ている間は最も副交感神経が優位で、免疫が活発になります。意外と知られていないのが加湿。粘膜が乾燥するとIgA抗体の働きが低下してウイルスが侵入しやすくなるので、冬は加湿器を上手に使ったり、白湯を飲んだりして粘膜を潤してください」(石原さん)

免疫力を保つために、識者たちが口を揃えて推奨するのは運動だ。玉谷さんが言う。
「軽い運動なら何でもいいですが、ウオーキングなら1日7000歩がいちばん効果的だといわれています。いきなり上を目指さずに、最初は5000歩を目指して歩いてみるといいでしょう。以前は1万歩といわれましたが、そこまで歩く必要はありません。体が温まって血流がよくなると、免疫細胞が全身を巡りやすくもなります。ハードな筋トレなど翌日に疲れが残るような運動は、逆効果になることがあるので注意してください」
飯沼さんが言い添える。
「ウオーキングなどで肥満が解消されれば、脂肪細胞から出る炎症性サイトカインが減るので、慢性炎症も起きにくくなる。室内での運動も悪くありませんが、外出して日光を浴びれば皮膚でビタミンDが合成されるので、より免疫にいい。
体温36.5〜37℃くらいが免疫の働きがよくなるといわれているので、お風呂につかって体を温めるのも大事です。日常生活には笑いを取り入れるといいでしょう。笑うことでストレスが軽減し副交感神経の働きがよくなり、バランスのとれたいい免疫機能が活性化されます」
免疫は一朝一夕では高まらない。毎日着実に積み重ねていくことで、免疫が形成されるのだ。内藤さんが言う。
「毎日同じ時間に起きて、昼間は太陽を浴びて、夜は決まった時間に眠る。甘いものや塩辛いもの、動物性脂肪を摂りすぎないようにして、暴飲暴食はしない。そんな当たり前の生活リズムを守ることこそが、確実な免疫ケアです」
免疫は強すぎても弱すぎても病を呼ぶ。長く生きるとは、免疫のブレーキとアクセルをうまく使いこなすこと。私たちの行動の一つひとつが、健康寿命を支える免疫につながるのだ。


(了。前編を読む)
※女性セブン2025年11月27日号