
「おせちを作るのは大変だし、買っても食べきれない」――そんなあなたにおすすめしたいのが、グルメ界を代表する料理人たちの「逸品おせち」。家族や友人と食事を共にすることが多い年末年始のごちそうにぴったりの、とっておきレシピを「レ・コパン ドゥ ドミニク・ブシェ」のシェフ・野村法史さんが紹介してくれた。ワインの木箱をお重に見立て新春にふさわしい華やかな盛りつけに。
フランスの年末年始に欠かせない家庭料理
パリに本店を構えるフランス料理界の巨匠、ドミニク・ブシェ氏が手がけるビストロ風のレストラン。今回は、フランスの定番家庭料理を、華やかにアレンジしてくれた。
「フランスでは、大みそかに家族や親しい友人が集まってパーティーを楽しみながら、新年を迎えます。ワインと共に欠かせないのが、今回ご紹介したような家庭料理。
料理を並べたワインの箱は、日本のおせち料理の重箱のイメージ。お正月らしさと、フランスのパーティーの雰囲気をミックスしました」
「鴨肉のコンフィレンズ豆とベーコン、半熟卵のサラダ」のレシピ
低温で柔らかく仕上げた鴨肉にフレンチドレッシングで和えたサラダを添えて。

《作り方》(作りやすい量)
〈鴨肉のコンフィ〉
【1】鴨ロース肉300gに塩・黒こしょう各適量、ナツメグひとつまみをまぶし、タイム1枝、ローリエ1枚、にんにく薄切り1片分、オリーブオイル少量と共に湯煎ができるポリ袋に入れる。空気を抜いて形を丸く整え、冷蔵庫で一晩置く。
【2】鍋に湯を沸かし、沸騰したら【1】を入れ、1〜2分加熱する。火を止め、ふたをして20分、さらにふたを開けて20分ほど置く。
【3】【2】の鴨肉を袋から取り出し、余分な油とタイム、ローリエ、にんにくを除き、フライパンで皮目がきつね色になるように焼く。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
〈レンズ豆のサラダ〉
【4】ベーコン100g、にんじん1/2本、玉ねぎ1/2個は1cm角の角切りに、にんにく1片はみじん切りにする。
【5】深鍋にオリーブオイル大さじ1を入れて熱し、ベーコンを炒める。ややカリカリになったら半量を取り出し、ざるで油を切っておく。残りの半量のベーコンが入った深鍋ににんにくを加え、香りが立ったらにんじん、玉ねぎを加えてしんなりするまで炒める。さっと水洗いしたレンズ豆200g、ヒタヒタになるくらいの量のブイヨン(市販のコンソメなどを湯で溶いたもので可)、タイム1枝、ローリエ1枚を加えたら、ふたをして弱火で煮込む。レンズ豆に火が通ったら火を止め、そのまま冷ます。
【6】別の鍋に湯を沸騰させ、酢・塩各大さじ1、卵2個(Sサイズ)を入れる。6分ゆでたら取り出して氷で冷やし、殻をむく。
【7】ボウルにディジョンマスタード大さじ1を入れ、塩・こしょう各少量、赤ワインビネガー1/4カップを加え、混ぜる。少しずつオリーブオイル1カップ弱を加えて味を調える。
【8】【3】の鴨肉を好みの厚さにスライスする。【5】のレンズ豆をざるにあげて水気を切り、ボウルに入れて【5】で取り出したベーコンを加え、【7】のドレッシング適量で和えて味を調える。
【9】器に【8】、半分に切った【6】を盛り付ける。
《Point》
サラダの仕上げにカリカリベーコンを加えて食感をプラス。卵をゆでるときに酢と塩を加えると、黄身は半熟でも白身はしっかりゆで上がる。
「サーモンマリネと帆立ムースのポーピエット 柿と赤玉ねぎのドレッシング」のレシピ
柿を加えた甘酸っぱいドレッシングで目にも華やかに。

《作り方》(作りやすい量)
〈サーモンマリネ〉
【1】ディル2本は葉と茎に分ける。葉の半分はみじん切りにし、半分は飾り用にとっておく。茎は小口切りにする。
【2】粗塩70g、グラニュー糖100g、【1】の茎を混ぜる。
【3】ラップの上にサーモン(柵・刺身用)200gを置き、【2】で表裏を覆いラップで包む。冷蔵庫で一晩おく。
〈帆立ムース〉
【4】帆立貝柱(刺身用)100g、塩ひとつまみをフードプロセッサーに入れて攪拌し、ペースト状になったら卵白10gを少しずつ回しながら加える。卵白が馴染んだら、生クリーム60gも同様に少しずつ加える。
【5】【4】をボウルに移し、冷蔵庫でよく冷やしたら、ラップに包んで巻き、筒状にして両端を結ぶ。沸騰直前の湯に入れ、極弱火で破裂しないように3分ほど加熱して取り出す。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
【6】柿1個(硬め)と赤玉ねぎ100gは5mm角の角切りにしてボウルに入れ、レモン汁・はちみつ各大さじ1、オリーブオイル大さじ3、【1】のみじん切りにしたディルの葉を加えて混ぜ、塩・こしょう適量で味を調える。
【7】【3】の表面を洗い流して水気を拭き、薄くスライスする。
【8】ラップの上に【7】を並べて【5】を置き、巻き寿司の要領でムースが中心になるように巻き込む。
【9】器に【6】、食べやすく切った【8】を盛り、【1】の飾り用ディルとイクラ適量をのせる。
《Point》
カップでひとり分ずつ作り、切らずにスプーンで食べるスタイルに。初めてでも作りやすく、加熱時間もグンと短縮。
「パテ・ド・カンパーニュ」のレシピ
角切り肉を加えて食感&食べごたえ満点に。

《作り方》(作りやすい量)
【1】豚バラブロック肉100gは5mm角の角切りにする。鶏レバー100gは筋を取り、包丁で細かく叩く。エシャロット40gはみじん切りにする。
【2】ブロック肉の角切り、豚ひき肉200gをボウルに入れ、黒トリュフ塩3g、ナツメグひとつまみ、黒こしょう少量を加えてよく練る。鶏レバー、エシャロット、にんにくみじん切り小さじ1、砂糖ひとつまみ、ブランデー大さじ1、あればクォーターエピス少量を加えてさらによく混ぜ、耐熱容器に均等に入れる。上にローリエ各1枚をのせ、アルミホイルでふたをする。
【3】80℃に予熱したオーブンで30分ほど加熱する。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、好みでトリュフ塩を振る。
《Point》
フランスの家庭料理・ポーピエット(具材を薄切り肉で巻いた料理)を、お正月仕様に。ムースを作る際は、具材を少しずつ加えながら攪拌すると分離が防げる。
◆教えてくれたのは:レ・コパン ドゥ ドミニク・ブシェ シェフ・野村法史さん

東京でフランス料理の道を歩み始め、2012年渡仏。フランスやドイツのホテル・レストランで約5年間経験を積み、帰国。’25年、シェフに就任。

東京都中央区銀座5-1-8
銀座MSビル地下1階
http://www.lescopains.jp/
撮影/澤木央子 スタイリング/三谷亜利咲
※女性セブン2026年1月8・15日号