化粧の濃さまでバッシング
典型的な男社会である相撲界で女性初の横綱審議委員(横審)に就任したことも大きな功績だ。日本相撲協会の諮問機関である横審は横綱の推挙や稽古総見などを行う。社会的地位がある高齢男性ばかりの組織に、当時51才の内館さんが抜擢されたのは2000年だった。
「女性だからという理由で相撲ファンからは『横審の魔女』と揶揄され、化粧の濃さまでバッシングされました。でも彼女は毅然として臨み、角界で暴行事件や薬物事件が相次いだ際は親方たちの責任を鋭く追及した。素行不良が問題視された朝青龍との数々のバトルも注目されました」(相撲関係者)

泥酔暴行事件を起こした朝青龍が2010年2月に引退を表明した際は、「朝青龍は日本に、角界に、そして相撲という仕事に、敬意が欠けていた」と断罪した。元NHKアナウンサーで相撲ジャーナリストの杉山邦博さんが指摘する。
「内館さんの歯に衣着せぬコメントにはいつも同感でした。横審委員として任期最長の10年を務めあげた大功労者です」
自らのOL経験を背景に現代社会の男女不平等に異を唱えたが、2000年に太田房江大阪府知事(当時)が土俵の上から大阪府知事賞の贈呈を希望したときは、「女を土俵に上げてはならない」と反論した。
「女性が大いに活躍できる時代を求めつつ、相撲が持つ1400年の伝承文化の重みを胸に刻んでいた。信念をもって相撲を見ていたかたでした」(杉山さん)
そう話す杉山さんは、昨年内館さんの異変を感じていたという。
「昨年の夏に私が出版した本をお送りしたのち、返事がなかった。いつもなら必ずメッセージを寄せてくれるので、どうしたのかと案じていました。もしかしたら夏頃から体調が芳しくなかったのではと思います」
生涯独身の内館さんは、認知症の母を20年近く在宅介護し、2020年に看取ったばかり。自身は最後まで「終活しない」というスタイルを固持したのも、自分を貫く内館さんらしい土俵の割り方だった。
※女性セブン2026年1月22日号