健康・医療

《医師が解説》見逃すと“命にかかわる予兆”「歯痛は“心筋梗塞”」「ものが二重に見えたら“脳腫瘍”」「肩こりが周囲に広がったら“大動脈解離”」…部位別の危険信号

【肩・背中・胸】こりが痛みに変わってくる

 肩こりや背中のちょっとした痛みは、「疲れがたまっているだけ」とやり過ごしてしまいがちだ。しかし、命にかかわる病気が隠れているケースもある。

「肩こりのような症状が首から肩、背中、腰に広がっていくときは、大動脈解離の可能性が非常に高い。『こり』がだんだんと痛みに変わってくるのも特徴です。一刻を争うので、痛みがどんどん強くなる、痛みの範囲が広がっているなど思い当たる症状があればすぐに救急車を呼んでください」

 胸の痛みも見逃してはいけない重大信号だ。

「胸全体に痛みがあり、しめつけられるような感じがするときは、狭心症か心筋梗塞かもしれません。心臓の病気による痛みは、左胸を中心に胸全体に痛みがあるのが特徴です。一方、指で『ここが痛い』とピンポイントで指せるような痛みなら、心臓の病気である可能性は低い」

放っておくと命にかかわる危険な「予兆」
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 健康診断や検診を受けていても、病気を確実に防げるとは限らない。2年に1回は乳がんのマンモグラフィー検査を受けているという会社員のBさん(53才)は、乳房のしこりで乳がんに気づいた。

「乳がん検診では異常がなかったのに、お風呂で体を洗っていたときにしこりに気づきました。すぐに病院に行ったところ乳がんだと診断され、治療は順調に進んでいるものの、ショックでした」

 Bさんのように、次の検診までの間にがんが見つかるのは珍しいことではない。日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授で腫瘍内科医の勝俣範之さんが言う。

「乳がんは、自分で気づきやすく、乳房のしこりから見つかることも珍しくありません。また、がんになると耳の下の首筋や脇の下、鎖骨、鼠径部などのリンパ節が腫れることがあります。かぜなどの感染症でもリンパ節が腫れることはありますが、通常は1週間程度でおさまります。2週間以上続くなら病院を受診した方がいいでしょう」

【腹・手・足】がまん強くて腸が壊死することも

 高齢者の場合は、家族が異変に気づくケースも少なくない。埼玉県に住むCさん(52才)も母の異変に気づいた。

「家に帰ると、母が“お腹が痛くて、便が出ない”と横になっていたんです。もともと便秘症だったので、市販薬をのんで様子を見ていましたが吐き気も出てきました。そこで嫌がる本人を説得して病院に連れていったところ、腸閉塞でした。放っておいたら腸が壊死することもあるそうなので、ぞっとします」

 秋津さんが言う。

「腸閉塞はお腹の激痛や吐き気が主な症状で、血便が出ることがある。便秘で病院だなんて恥ずかしいからとがまんする人もいますが、そのままにしておくと手遅れになることもあるので、早めの治療が大事です」

 お腹まわりの変化にも注意が必要だと話すのは、勝俣さんだ。

「お腹が張る、ぽっこり出てきたという違和感から、卵巣がんが見つかることがあります。卵巣がんは初期症状がほとんどありませんが、腫瘍が大きくなって腹腔内に腹水がたまるようになると、お腹が出てきます」

 同じくお腹の張りや腹水がきっかけで、腹膜がんが見つかることもあるという。

「腹膜がんは、女性にしか発生しないがんです。卵巣がんに準じた治療を行いますが、診断が難しく、適切な治療につながらないことも少なくありません。がんの場合、病院の診断に疑問を感じたら必ずセカンドオピニオンを受けてください」(勝俣さん)

手足のしびれは脳梗塞のサインのことがある(写真/PIXTA)
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 手や足の異変にも病気が隠れていることがある。

「手足のしびれは脳梗塞のサインのことがあります。『手口感覚症候群』といって、唇や口のまわりと手指が同時にしびれることがあり、体の片側だけに症状が出るのが特徴です。脳梗塞は、発症から4.5時間以内でないと血栓を溶かす薬が使えなくなるので、治療効果が大きく低下します。

 歩行時に体が傾く場合も、脳梗塞が原因で体の半分に異変が起きている可能性があります」(舛森さん)

 年齢やストレスのせいと見過ごしている不調も、体からのSOSかもしれない。

「疲れがとれない、気分が落ち込むといった疲労感やうつ症状は、『慢性炎症』が原因かもしれません。慢性炎症は体の中で小さな炎症が起きている状態のこと。裏にがんなどの大きな病気が隠れていることもあります」(一石さん)

 出血はがんを見つける手がかりになると話すのは、勝俣さんだ。

「がんの典型的な特徴は、出血です。喀血や血痰は肺がん、血尿は膀胱がんや腎臓がん、不正出血は子宮頸がんや子宮体がんの可能性があり、血便は大腸など消化器系のがんが疑われる。卵巣がんや子宮がんでは、おりものに変化が見られることもあります」

 勝俣さんは「何かおかしいと思ったら、まず受診してください」とアドバイスする。

「受診すべき科がわからなければ、家庭医療専門医か総合診療専門医がいいでしょう。親身になって話を聞いてくれて、症状が改善されない場合には専門の病院を紹介してくれる病院がおすすめです」

 体が出している異変を「いつものこと」と見逃さないことが大切だ。

※女性セブン2026年6月11日号

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