ライフ

《死後離婚》『姻族関係終了届』提出件数が再増加、その目的は“義父母に対する法的な扶養義務がなくなること” 考慮すべきは“孫と祖父母の関係”への影響

夫と死別した後の「死後離婚」が近年注目されている(写真/PIXTA)
写真3枚

 義実家との距離感が「頭痛の種」という女性は少なくない。夫と死別した後、その悩みはさらに深くなる。そんな憂鬱を一気に吹き飛ばす“最終手段”である「死後離婚」が近年注目されているが、人間関係同様、一筋縄ではいかないようだ。

義親に対する法的な扶養義務がなくなる

「義理の両親とは反りが合わず、子供の教育方法に口を挟まれたりプライベートに踏み込んでこられるのも本当に嫌で、長年苦々しく思っていました。夫に先立たれたいま、もうがまんする必要はないと思い、関係を断つことにしたんです」

 そう語るのは、都内在住のA子さん(59才)。結婚当初から義両親との折り合いが悪かったものの、夫が緩衝材となることで関係が保たれていた。しかし、頼りの夫が胃がんを患い昨年12月に死去。関東近郊に住む義両親は、80才を超えてなお健在だ。A子さんが下したのは、「死後離婚」という決断だった──。

 死後離婚という言葉自体は、正式な用語ではない。配偶者と死別した後に、本籍地か居住地の役所に「姻族関係終了届」を提出することで、義親や義きょうだいとの関係を終わらせることを意味している。司法書士法人ABC代表の椎葉基史さんが解説する。

「死後離婚の手続きをするのは、圧倒的に女性の方が多いです。大半は、義親との関係が悪いことが理由ですね。義理の親族の同意や告知の必要もないため、その後、一切の連絡を絶つ人もいます。姻族関係終了届と一緒に、名字を旧姓に戻す『復氏届』を提出するケースが多く、次の人生へのリスタートのように捉えている人もいるようです」

死後離婚の手続きをするのは、圧倒的に女性の方が多い(写真/PIXTA)
写真3枚

 死後離婚を選ぶ理由として挙げられるのが、義親に対する法的な扶養義務がなくなることだ。

 民法上、扶養義務が生じるのは直系血族や兄弟姉妹のみ。しかし、配偶者の死後も姻族関係が続いていると、家庭裁判所の判断によっては妻側に扶養義務が課せられる可能性がある。

「まだまだ世間には“嫁は義親の面倒をみるものだ”という考えが蔓延っており、夫と死別した女性の足枷になっている面もあります。介護や介護費の負担を求められるのではないかと不安を抱く人もいます。

 昔は、結婚というのは『家』と『家』が結びつくものと考えられていましたが、核家族化が進み、いまはもう夫婦同士であっても『個』と『個』の関係であるという感覚が広がっています。個を大切にしたい人にとって、“夫が死んだ後に義父母の面倒をみることはできない”と考える女性が増えているのではないでしょうか」(離婚相談士の岡野あつこさん)

関連キーワード