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《死後離婚》『姻族関係終了届』提出件数が再増加、その目的は“義父母に対する法的な扶養義務がなくなること” 考慮すべきは“孫と祖父母の関係”への影響

いま再び増えている「死後離婚」

 死後離婚が脚光をあびたのは2010年代。年間2000件ほどだった姻族関係終了届の提出件数は、2014年に『あさイチ』(NHK)で取り上げられたことで認知が広がり、2017年度には4895件で過去最高に。2021年度に2000件台にまで減少したが、そこから3年連続で増加している。

《「義父母の介護・扶養はイヤ」 死後離婚、年3600件に再増加のワケ》

再び増加する「姻族関係終了届」の届出件数
写真3枚

 5月21日には、日経新聞がそう報じた。

 一因として考えられるのが、人口の多い「団塊ジュニア世代」が50代に入り、死亡数が増えていることだ。単純に、夫と死別する女性が増えている一方、平均余命の延びもあって義親が存命というケースが目立ってきた。前出の岡野さんは次のように分析する。

「コロナ禍の間に夫婦関係や自身の人生について見つめ直す女性が増えたことも、死後離婚の再増加に拍車をかけたのかもしれません。わざわざ役所にまで行って手続きをするくらいですから、“これからは自分の人生を自由に生きる”という決意表明のような側面もあるのだと思います」

 実際に、死後離婚がトラブル解消につながったケースもある。前出の椎葉さんのもとに寄せられた相談を、プライバシーに配慮したうえで明かす。

「ある会社の後継者候補だったBさんが、50代の若さで亡くなりました。Bさんの父親は社長で、会社を継がせる前提で、計画的にBさんに財産を譲渡していたのです。Bさんが亡くなったことで、彼の財産は妻に相続されました。

 しかし、“会社を継がせるために譲渡したカネが嫁に渡るのは納得できない”と、父親が遺産の返還を求めたんです。本来、父親に相続の権利はないにもかかわらずです。結局、妻はいくらかのお金を渡したものの“これを機に縁を切りたい”ということで、届けを提出しました」

裏を返せば「自分も頼れない」

 死後離婚は配偶者に先立たれた人にとって、一定のメリットがあるようだ。終了届を提出しても、遺族年金の受給は続けられる。しかし、実行に移す前に考慮しなければならないことがある。

 前述したように、義親の扶養義務から解放されるが、裏を返せば「自分も頼ることができなくなる」ということだ。夫と死別して独身になったことで、何事も自分で対処しなければならなくなる。経済的な援助はもちろん、子供の面倒をみてもらう、といった日常的な頼みごともできなくなる。

 義実家の墓の継承や管理といった面倒からも距離を置けるが、自分が亡くなったときに備えて、永代供養墓や納骨堂など別の埋葬先を手配する必要があるなど、新たな対応も必要となる。

 さらに、影響は自分だけに留まらない。

「姻族関係終了届を出して終わるのは、自分と義理の親族の関係のみ。子供と祖父母や親族の関係は変わりません。たとえば、『孫と祖父母の関係』は良好なのに、独断で“死後離婚”したことで、義両親からしたら“嫁に孫を取られた”という感覚になるかもしれないし、子供も悲しむかもしれません。少なくとも自分の子供には相談した方がいいでしょう」(椎葉さん)

 何より重要なことは、死後離婚は二度と取り消すことができないことだ。一時の悪感情や勢いで終了届を提出してしまえば、おいおい前述したような落とし穴にハマリかねない。自分は「すべき」か「やめるべき」か―メリットとデメリットを理解したうえで、慎重に決断した方がいいだろう。

※女性セブン2026年6月11日号

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