「面倒な不動産」は会議の前から準備を
不動産は、家族間での情報共有が一層重要だ。利用価値がなく、管理費用や税金などがかかることで持っているだけでマイナスになる「負動産」をはじめ、どれも手続きがややこしく、損につながることが多い。『円満相続のための家族会議の始め方』の著者で司法書士・行政書士の太田昌宏さんが話す。
「処分しにくい共有名義の不動産は、処分も活用も名義人全員の同意が必要で、誰か1人でも所在不明になっていると手続きができなくなるため、できるだけ早く単独名義に変えるよう準備を始めておくといいです。
老朽化した実家は空き家にならないよう、リフォームや売却の相談を進めましょう。放置すると空家等対策特別措置法の対象になり、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がるケースもあります」
不動産の相続登記は2024年4月から義務化されており、過去の未了分も対象になっている。何代も登記しないまま放置されている不動産は、放置するほど相続人が増えて手続きが難しくなるので、一刻も早く登記を。ベリーベスト税理士事務所の税理士・中島麻子さんが言う。
「名義を変更していないだけで当時の分割協議が終わっているなら、それをもとに早急に変更してください。協議が終わっていないなら、いまいる人たちで分割協議をする必要があります。そのためには、その不動産をどんな経緯で手に入れ、誰が利用し、誰が固定資産税を払っているのか、また賃貸なら収入を得ているのは誰か、調べて共有しなければいけません」
実家の相続に関しては、確定はさせないまでも、方向性だけは会議の場ではっきりさせておこう。
「誰が住むか、資産として持ち続けるか、将来売るか、人に貸すかなどの方向性を共有しておき、詳細は相続時の状況に応じて決めるのが現実的です。実家に一定の資産価値が見込める場合、引き継がない子には代わりに何を分けるかについても、家族全員の意見を出させておくこと」(太田さん・以下同)
一方、主な財産が不動産のみで換金が難しいときは、「誰が相続するか、売るのか、貸すのか、解体するのか」を完全に決定すること。
「この場合は会議で確定させて、決定内容をもとに遺言書の作成に進みましょう。実家が空き家になりそうな場合も、方向性を決めてできるだけ早く手続きに着手することが重要です」

(第3回に続く)
※女性セブン2026年6月25日号