《がん検診・がん治療》注意すべきデメリット「偽陽性で心身にダメージ」「治療の必要がないがんを発見」「高齢者には負担となる化学療法」…「早期発見・早期治療」の考え方を見直すべきとの指摘も
終末期の延命治療は日本だけ
がんと診断されると多くの場合、手術や化学療法を受けることになるが、高齢者は体の負担も含めて慎重に判断する必要がある。
「抗がん剤は健康な細胞も攻撃するので、副作用で体力が奪われて、かえって寿命が短くなることがあります。手術も同様です。
そもそもがんは、細胞が分裂する際の遺伝子の変異によって生じる病気です。そのため、細胞が分裂する限りがん細胞が体の中から完全になくなるとは言えません。治療によって一時的にがんが消えたようにみえても、転移・再発の可能性は否定できません」(富家さん・以下同)
そもそも、治療の必要がないがんもあるという。
「例えば甲状腺がんは、手術をしなくても5年生存率がほぼ100%、10年生存率が約99%です。ある程度の高齢者なら、経過観察をしているうちに別の病気で亡くなる可能性が高い。また、すい臓がんのように治療をしても死亡率が高いがんもあります。治療によってQOL(生活の質)が下がることも多く、よく考えて判断することが大事です」
がん以外にも、手術したからといって完治につながらない病気は存在する。高齢になると症状が出やすい脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアについて、たかせクリニック理事長で在宅診療医の高瀬義昌さんが指摘する。
「MRI検査などで異常が見つかっても、画像所見と症状は必ずしも一致しません。手術をせず薬物療法や運動療法だけで改善する場合もあるので、自分の症状や生活への支障を踏まえて慎重にかかりつけ医と検討してください」
実際に、自身も脊柱管狭窄症だという富家さんは、手術を受けずに保存療法を続けている。
「私自身が現在79才で、男性の平均寿命を考えると10年後に生きている保証はありません。それならば体に負担をかける手術を受けるよりも、運動療法を取り入れながら病気とつきあっていこうと思っています。
どんな手術でも、受けるか受けないかは、自分の年齢や生活スタイルに合わせて考えた方がいい」
さらに富家さんが見直すべきだと訴えるのが、終末期の胃ろうだ。
「終末期で回復する見込みがないのに、胃ろうや点滴などの延命治療が行われている国は日本くらいです。高齢者が長期にわたって胃ろうをつけると、寝たきりになりやすく、意識レベルが低下して、動かないから手足の関節も固まってしまう。患者さんの尊厳を考えるなら、胃ろうは安易にすすめるべきではなく、75才を過ぎたら拒否することを考えた方がいい。
自分の意思は家族に伝えておき、家族は本人の意思を尊重すべきです」
年齢を重ねるごとに、気づけば増えていく処方薬。特に高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬は、一度のみ始めると長期にわたって服用を続けるケースがほとんどだ。そのため、少しずつ薬の種類が増えていき、何種類もの薬をのんでいるという人が少なくないが、思わぬ副作用を招くこともある。

(第3回に続く)
※女性セブン2026年7月23日号