
糖尿病治療薬「マンジャロ」を“ダイエット薬”として使用することによる健康被害が拡大している。そこでいまひそかに話題になっているのが同じ糖尿病治療薬である「メトホルミン」だ。“マンジャロより安心なやせる薬”という声もあるが、果たして──専門家を取材した。
都内在住のAさん(46才)がため息をつきながら、こう話す。
「子供の頃からぽっちゃり体形だった私が、マンジャロをのみ始めたらあっという間に10kg以上のダイエットに成功しました。運動も何もしていないのに簡単に体重が落ちて喜んでいたのも束の間、激しい腹痛と熱が出ました。吐き気もあったので、病院を受診したらマンジャロの副作用の可能性が高いと言われました。すぐにのむのをやめましたが、ダイエット成功のあまりにも大きな代償に後悔しています」
糖尿病治療薬「マンジャロ」をダイエット目的で服用したことで、吐き気や胃もたれなどの強い副作用に苦しむケースが多数報告され社会問題となっている。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。
「マンジャロは2型糖尿病の薬で、BMI27以上で高血圧や脂質異常症などの生活習慣病がある人、またはBMI35以上の病的な肥満の人を対象とした薬剤で、血糖値を下げたり胃腸の働きを抑制するなどの作用があります。
しかし、その基準に該当しない人でも自由診療で処方を受けることができるため、ダイエット目的での使用が急増。処方自体は違法ではありませんが、オンライン診療で安易に購入できる点や、個人間での違法転売にもつながっていることが問題視されています」

マンジャロの懸念は、健康被害のリスクにも及ぶ。
「比較的新しい薬であり、まだ高い安全性が担保されているとは言い切れません。実際、吐き気や腹痛のほか腸閉塞やすい炎など重篤な副作用が報告されており、マンジャロと同じ『GLP-1受容体作動薬』であるリラグルチドを用いた研究では、筋肉や骨が減少する可能性を示す臨床試験結果が出ました。過剰な減量により体が栄養不足状態にさらされると、10年後や20年後に寝たきりになってしまうリスクも高まると指摘されています」(室井さん)
血糖値の急激な上昇を抑え、腸内環境を整える効果に期待
そうしたなか、同じ糖尿病治療薬でありながら副作用が比較的少ないとして、「メトホルミン」を使用する人たちが話題となっている。ビラビューティークリニック統括院長の大村亞蘭さんが説明する。
「メトホルミンはマンジャロと同様に2型糖尿病の治療薬で、糖が脂肪として蓄積されるのを防ぐ効果や、血糖値の急激な上昇を抑え内臓脂肪の減少を導く効果、腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスを整える効果などが期待できるとされ、実際にマンジャロ同様にダイエット目的で服用する人もいます。
2022年に承認されたばかりのマンジャロとは異なりメトホルミンは承認されてからの歴史が長く、作用する仕組みや人体への影響についても安全性が高いとされています。ただし、あくまで糖尿病の薬であることは留意すべきです」
摂取する場合は、どのような服用方法なのか。
「服用のタイミングは食後で、胃腸への負担を軽減しながら血糖値をコントロールします。糖尿病の治療以外で服用する場合には少量からスタートし、医師の診察時に効果や副作用の様子を確認しながら増量するケースもあります」(大村さん・以下同)