
ウイルス性肝炎を根絶する――杉良太郎はその決意を胸に、2012年から厚生労働省「知って、肝炎プロジェクト」を牽引し続けてきた。
7月28日、東京都内で「厚生労働省 知って、健康デー2026」が開催された。このイベントは「世界・日本肝炎デー(7月28日)」に合わせ、世界最大の感染症とされる肝炎の正しい知識や予防、治療への理解を深めるとともに、国民一人ひとりが自身の「健康」について考えるきっかけを発信するためのものだ。
会場には、厚生労働省特別健康対策監の杉を筆頭に「知って、肝炎プロジェクト」健康対策特別大使の伍代夏子らが出席した。
プロジェクトの活動は今年で15年目を迎える。杉はこれまでの歩みを振り返り、深い感慨とともにこう語った。
「副作用の少ない飲み薬でC型肝炎が完治できる時代になり、まずは医療の進歩に感謝したい。肝炎ウイルスは採血で簡単に検査できます。しかも無料です。その情報を伝えるべく、過去には肝炎デーの催しでブースを設けて記者の人たちに受けてもらい、C型ウイルスを持つ人や発症している人が見つかったことも。早期発見の一助を担えたことは、活動の励みになりました。この15年で全国的にもウイルス性肝炎は減少しています。根絶へ向けて、これからも啓発を続けていきたい」
著名人で構成されるプロジェクトのサポーターには宇宙飛行士の野口聡一さんが新たに加わった。この日のイベントでは、「宇宙でも地球でも『自分の健康は自分でつくる』が、命を守る絶対条件です。肝炎、がん、性感染症など、これらの病気は早期の発見と治療がカギとなります。未来の自分のために、まずは検査に行きましょう!」と、ビデオメッセージが紹介され、杉の思いを力強く後押しした。
近年、プロジェクトでは肝炎に限らず、杉が「新たな国民病」と警鐘を鳴らす脂肪肝やアルコール性肝炎など、より幅広い肝臓疾患へとアプローチしている。いずれも放置すれば肝硬変や肝がんに発展するリスクのある恐ろしい病だ。
そこで杉が着目したのはダンスを通じた健康づくり。「知って、肝炎プロジェクト」の一環として「健康一番プロジェクト」を立ち上げ、65才以上のヒップホップダンスチームの普及に尽力。いまやその輪は21都道府県40チームまで広がり、653名が活動する。
2022年より65才以上のダンス大会を立ち上げたほか、東京大学先端科学技術研究センターと協同でダンスの健康効果について研究も重ねてきた。このたび、高齢者のダンス継続参加と認知機能・歩行維持との関連の成果が、論文として国際学術誌に掲載され、同センター身体情報学・特任講師の宮﨑敦子さんと、特任教授の檜山敦さんが発表を行った。
約3年かけて6地域の高齢者102名(うちダンスをしている人は74名)を対象に調査を行い、ヒップホップダンスを継続することが認知機能と歩行維持に関連していることを実証。
「ダンスをしている人は認知機能の維持・向上、速く安定した歩行、下肢筋力と片脚バランスの時間の改善が見られました。ただし加齢により筋量の維持が難しくなり、栄養サポートや筋トレが必要であるともわかりました。運動、栄養、社会参加を柱として、今後は筋力を減らさない地域モデルの開発、研究をさらに進めていきたい」(宮﨑さん)