《親が住む“モノだらけの実家”》どう片付ければいいのか? まず目指すのは「ワンルーム化」 親の寝室を中心にトイレまでの動線を確保、その範囲内によく使う日用品を配置

「総人口の約3人に1人が65才以上」という超高齢社会のいま、「親の老後」は子供にとってこそ大問題だ。自分自身も年齢を重ねながら、“老い先長い”親の介護や相続、さらには墓守まで、次から次へと難題が降りかかってくる。いったい何から手をつければいいのか、どんな準備が必要なのか……。「実家の大問題」の解決法を専門家が解説する。【全5回の第1回】
モノだらけの実家は「ワンルーム化」で応急処置しておく
帰省のたびに、親は年を取って弱っていき、生まれ育った実家は古びていく。時が経つ早さを寂しく思う一方で頭をよぎるのは「親の介護はどうすればいいのだろう」「親が亡くなったら、実家や財産の整理はどれだけ大変だろう」という、超現実的な「大問題」だ。
都内で夫と2人の子供と暮らす、Aさん(62才)は9年前の夏、岡山県の実家にひとりで住んでいる当時75才の母から一本の電話を受けた。「お父さんが死んじゃってしばらく経つし、終活のために家の片づけを始めたの。お兄ちゃんにも声をかけたから、2人で手伝ってちょうだい」──。
2日間の休みを取って新幹線に乗り、関西で暮らしている3才上の兄と久しぶりに実家に足を運んだAさんは、「片づけどころではありませんでした」とため息交じりに振り返る。
「とにかくモノが多いんです。一戸建ての2階は亡くなった父のものやほこりをかぶった家具・家電で倉庫状態。1階は生活用品や書類、衣類、私たちが子供の頃からある小さな置物や母の趣味の道具などであふれ返っていました。母は“あなたが中学生の頃に旅行先で買ったの”“もうこの形のものは売ってないのよ”“いつか使えるわよ”などと、何かと理由をつけて捨てたがらない。
結局、どこから手をつけていいかもわからず、ほとんど何も進まないまま帰ってきてしまいました」
終わりどころか始まりも見えない実家の片づけは、何から手をつけるべきか。実家片づけアドバイザーの渡部亜矢さんは「実家の片づけは長期化するのが大前提」と話す。

「最初から完璧を目指してしまうと失敗します。まずはワンルーム化をめざしてください。つまり、親の寝室を中心にトイレまでの動線を確保すること。その範囲内に、よく使う日用品を配置すれば充分です。
どうしたらいいかわからないものは潔く後回しにして別の部屋にまとめておき、使わない家電など捨てやすいものから順に処分していきましょう」(渡部さん・以下同)
親がモノを捨てたがらない場合も、無理に処分しようとしなくていい。焦るあまり親子関係がこじれたり、親が頑なになってしまっては元も子もない。「もしもの場合」にどうするかを話しておくだけでもいい。
「自分から片づけを手伝ってほしいと頼む親御さんはかなり意識が高いと言えます。ここは一歩踏み出して、子供自身も将来に備えて終活を始めていることを伝え、『お金の話』を切り出してみてはいかがでしょうか。
親には銀行口座や印鑑、保険証券などをひとまとめにしてもらうだけ。ただし口頭だけの確認では間違うこともあるので、保管場所と中身を確認し、リストアップや、必要に応じて不要な口座の解約まで進められれば上出来です」
掘り出し物の売却が相続トラブルになる可能性
片づけ中に思いがけず高価な“掘り出し物”が出てきても、すぐに売却したり、こっそり自分のものにしたりしてはいけない。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが言う。
「焦って売って、相場より安く買い叩かれてしまったらもったいないですし、価値のあるものを勝手に持ち出せば、のちのち『相続財産の先渡し(特別受益)ではないか』と主張されて、相続時の取り分をめぐるトラブルや争いにつながる可能性もあります。

スマホで写真を撮り、発見場所や状況をLINEなどで家族全員と共有しましょう。その上で専門業者に見積もりを取り、売却や贈与など、全員が納得できる方法を取るのが最善です。家族が集まっているなら、品物を全部並べて、親の意向も確認しながら、誰がどれを引き取るのかを決めておきましょう」
専門業者の力を借りるのも一手。不要品を処分するなら「一般廃棄物の収集運搬業の許可」を持つ回収業者に、買取を希望するならリサイクル業者に、片づけも任せるなら遺品(生前)整理業者に依頼しよう。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんが言う。
「無料回収をうたっていたり、極端に安い業者は避けて。女性1人だと足元を見ようとする業者もゼロではないので、見積もりは誰かに立ち会ってもらうことをおすすめします。口頭ではなく必ず書面で見積書をもらい、2〜3社に依頼して比較してください」
(第2回に続く)
※女性セブン2026年9月3日号