《肥満や高血圧に関連》年齢を重ねることで腸内の「やせ菌」が減り、「デブ菌」が増える理由 内蔵や体力が衰えると腸内環境が悪化、そのせいで悪玉菌が優勢になる悪循環

私たちの腸には約1000種類、100兆個以上の腸内細菌が棲んでいる。腸活をして、腸内環境を改善するうえで、菌が私たちの体の中でどう作用するかという“生態”を知ることは何より大切。さて、あなたは「やせ菌」と「デブ菌」についてどれだけ知っているだろうか。【前後編の前編】
腸内環境の乱れが肥満や高血圧と関連
年齢とともに着々と体重が増えている、食べる量は減ったのにやせるどころか太っていく──これを老化と片づけてはいけない。腸にいる「やせ菌」と「デブ菌」のバランスが悪くなり、太りやすい体になっている可能性がある。
やせ菌とデブ菌が注目される背景について、辨野腸内フローラ研究所理事長で腸内細菌学者の辨野義己さんは「腸内環境の乱れが肥満や高血圧と関連することがわかってきたことによるもの」と説明する。
「21世紀の初めにアメリカの研究グループが、やせている人と肥満の人とでは腸内細菌のパターンが違うことを報告し、腸内細菌を『バクテロイデーテス』と『ファーミキューテス』の大きく2つに種類分けしました。このうち難消化性の食物繊維すらエネルギーに変えてしまうファーミキューテスが多い人ほど肥満で、バクテロイデーテスが多い人はやせている、または肥満ではないという現象がありました。
また、このバクテロイデーテスが産生する短鎖脂肪酸が肥満に抑制的に働くことも明らかになり、腸には“『やせ菌』と『デブ菌』がいる”といわれるようになったのです」(辨野さん)

腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在し、やせ菌とデブ菌はいずれも日和見菌だ。犀星の杜クリニック六本木院長の川本徹さんが解説する。
「腸内細菌の理想的なバランスは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7の割合で存在することです。そして腸内の7割を占める日和見菌が“いい働き”をすること、すなわちやせ菌として働くことでやせやすく、いい腸内環境がつくれます。
一方のデブ菌は、腸内に残る食べ物のカスから栄養を過剰に吸収し肥満を招きます。食料が充分になかった太古の時代にはプラスの働きをしていましたが、現代では余分なエネルギーを脂肪に変える存在といわれます」
やせ菌が働くカギをにぎるのが、腸のぜん動運動を促したり脂肪の蓄積を抑える働きのある短鎖脂肪酸だ。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが短鎖脂肪酸の作用について続ける。
「腸内にいる悪玉菌はアルカリ性を好み、善玉菌は酸性を好みますが、腸内細菌が食物繊維などを発酵、分解する過程で生み出される短鎖脂肪酸は腸の粘膜を弱酸性にするため、善玉菌が増えやすい腸内環境になります。
短鎖脂肪酸が増えると、腸の粘膜から血液に入って全身を巡り、内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積を防ぐほか、腸のぜん動運動を活発にして代謝を促進。太りにくい体にしてくれます」