《ひとりで幸せに生きるための「お金の老後戦略」》投資で儲けるより無理せず働いて稼ぐ方が確実 年金額や生活費を試算して収支を“見える化”すれば必要額が見えてくる
大切なのは年金額や生活費を試算して収支を“見える化”すること
老後を幸福に生きるために必要不可欠なのがお金だ。大切な老後資金を枯渇させないためには働くことが優先される。精神科医の和田秀樹さんが指摘する。
「夫が先に亡くなると年金が半分以下になることが多く、いくつになっても働けることが大事です。昨今は新NISAなどの投資ブームですが、投資で儲けるには元手が必要です。大損をするリスクもあり、働いて稼いだ方が確実で老化予防にもなる。調理や介護など自分の特性を生かした職や、宅地建物取引士やヘルパーなどの資格取得が選択肢になります」
生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは「年齢を重ねるほど無理なく働ける仕事が望ましい」と語る。
「行政のシルバー人材センターに登録すれば、小学校の校庭開放の見守り役や簡単な事務職、清掃職など比較的負担の少ない仕事を時給1000円ほどで受注できます」
ファイナンシャルプランナーやカウンセリング系など得意とする分野の資格を取得すれば、老後の仕事に役立つはずだ。
行政書士の明石久美さんの80才の母は、実際にシルバー人材センターに登録し、いまも元気に働くという。
「無理をせず週に数回、1回数時間の働き方をして、稼いだお金で友人とバス旅行を楽しんでいます。80代にもなるとただお金のためではなく、社会交流するために働くという側面もあるようです」(明石さん)
そもそも老後資金はどれくらいかかるのか。2025年の総務省家計調査によると、65才以上の単身無職世帯の実収入(年金など)から社会保険料などを引いた可処分所得(実際に使えるお金)は月約11万8000円。対する月の消費は約14万8000円で、毎月約3万円を貯蓄などから持ち出すことになる。65才から90才まで毎月3万円不足する場合、トータルで900万円が必要額の目安だ。

ただしこれはあくまで平均値。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんは「状況によって必要な老後資金は大きく異なる」と指摘する。
「それゆえ大切なのは年金額や老後にかかる生活費を試算して将来の収支を“見える化”すること。そこから、大まかにいくら必要になるかが見えてきます」
ひとり暮らしのショコラさんに、いまの収支内訳を聞いた。収入は、企業年金と国民年金、厚生年金を合わせた手取りが月12万6000円。対する支出はマンションの管理費や光熱費など固定費6万円、食費2万5000円、趣味娯楽費や日用品費など4万円の計12万5000円で、収支はほぼトントン。加えて彼女は現役時代から老後に備えてコツコツと資金を積み立ててきたと語る。
「離婚後に年金受取額を試算し、月12万円だとわかったので、老後の生活費が不足したときのため50代から計画を立てて節約や先取り貯金をしました。
具体的には『ひと月分2万円×20年分』を目標としてボーナスや臨時収入をプールして節約に励み、そのお金でいま旅行に趣味にと楽しい生活ができています」(ショコラさん)
ショコラさんほど長期的な計画を実行しなくとも、いまからできることがある。
明石さんは「使える現金しか持たない」ことを推奨する。
「ひと月に使えるお金を財布に入れて、強制的にそれ以上使えなくすると目に見えて効果があります」
ショコラさんは月の生活費4万円を入れた財布を持ち歩き、食費2万円を入れた財布を家に置いている。
「外出先で食材を買ったら、食費用の財布から、生活費用の財布に使った分の現金を戻します。すると食費がいくら残っているか一目でわかり、使いすぎを防げる。
また食費以外の品物をクレジットカードで買ったら、生活費用の財布からその分の現金を口座に戻してお金の出入りを管理します」
夫が健在という人も“万が一”のために備えておくことは大切だ。ファイナンシャルプランナーの資格を持つママ芸人のフルマユコさんが言う。
「会社員の夫が亡くなると、子がいる配偶者がもらえる遺族厚生年金の最低ラインは月12万円ほど。子がいない配偶者だと月3万〜5万円ほどです。“おひとりさま予備軍”は将来年金だけで生活しようと思わず、早めに少しでも働き始めて収入を増やすことを考えましょう」

(第2回に続く)
※女性セブン2026年10月1・8日号